林遣都「強すぎる女の子はちょっと引きますね(笑)。迫られるのはもっとダメ!」
幼い頃からずっといじめられてきたダメ男子・稔とそんな彼を守り続けてきた最強の女子・亜紀。ひょんなことから稔がボクシングを始めたことで、2人の関係に微妙な変化が…。どうしようもなく不器用な2人の一筋縄ではいかないラブストーリー『ラブファイト』。主人公の稔を演じるのは『バッテリー』で鮮烈なデビューを飾り、その後も『ちーちゃんは悠久の向こう』、『DIVE!! ダイブ!!』と話題作への主演が続く林遣都。林さんに本作の魅力を語ってもらった。
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——まず最初に脚本を読まれたときの感想を聞かせてください。特に、稔についてはどう思われましたか?
情けない奴だな…と(笑)。もうちょっとがんばれよ、と思いましたね。自分が演じる上で、何で稔がそこまでいじめられるのかを考えたんですが、多分、見ててイライラするからなんですね。他人をイラつかせるようなヘタレを演じるのは初めてでしたが、どこまで弱っちく、ダサい男になれるかだと思い、まずは外見から役を作っていきました。メイクさんと相談して、前髪を揃えて、制服の着方も『いまどきそんな高校生いないだろ!』っていうくらいズボンをしっかりと上げて。そうしてみると自分でもものすごいヘタレに思えてきたんです。
——ボクシングのシーンに関しては、撮影前から相当な練習を重ねたとうかがいました。実際にやってみていかがでした?
元日本チャンピオンの方に付いて、撮影前の3か月と撮影中の2か月間トレーニングを積みました。と言っても、撮影用に特別なことをするのではなく、普通のボクサーの方がされる練習をみっちり、という感じで。稔がボクシングを習い始めた頃のシーンは、まさに僕自身がジムに通い始めた頃を思い出しながら演じていました。ジャブを教わった稔が、嬉しくなって笑ってしまい、怒られる場面があるんですが、あれは僕の経験そのままなんです。体のことに関して言えば、前作の『DIVE!! ダイブ!!』で基礎体力と筋力をきっちり付けたことも大きかったです。芝居についても言えることですが、“前作あっての今作”ということは毎回実感させられますね。
——亜紀のような女の子が実際にいたら林さんは惹かれますか?
強すぎるところにはちょっと引いてしまいますね(笑)。喧嘩になったらボコボコにされそうで。でも、外に対する強さだけでなく内面的な強さを持ってるところ、辛くても誰にも弱さを見せずにいられるところは魅力的だと思います。高校生にして一人でがんばれる力を持っているのはすごく素敵です。
——では、亜紀と正反対の性格で、稔を慕う恭子のような女の子は?
絶対無理です! いくらかわいくても迫られるのはダメなんですよ(笑)。「何でこの子は俺のことをこんなに好きなんだろう?」って分からなくなっちゃいますね。(恭子が稔に迫る)誕生日のシーンは、演じながらあの場から消えたくなりました…。
——共演された北乃きいさんとは現場でどのようなやり取りをされたんですか?
僕もきいちゃんも、実は人見知りするタイプで決して現場でよく話をしたわけではないんです。でも、言葉は交わさなくても彼女と共演できたことはすごく大きな経験になりました。きいちゃんはボクシングだけでなく、関西弁やバレエの練習もあったんです。スケジュール的に僕より絶対辛いんだけど、決して弱音を吐かない。そばで見ていて刺激を受けました。一度、きいちゃんがキックの練習しているとき、僕も足は上がる方なので試しにサンドバッグを蹴ってみたんです。そしたら即座に「違う」って言われまして…。「もっと足を寝かせて」とか指導されました。蹴りに詳しい女の子です(笑)。大きな声じゃ言えないですけど、きいちゃんのキックをくらったら、本当に気絶しますよ!
——大沢たかおさんの存在もかなり大きかったようですね。
大沢さんは本当にそのまま(役柄の)大木のような存在でした。口数は少ないけど肝心なところで声をかけてくださるんです。僕が演技で悩んでるときも、何も言わなくても気づいて「そんなに悩まなくても大丈夫だよ、君は出来てるから」と。その言葉にすごく安心しました。きっとこの先もずっと見守っててくださる気がするんです。だからこそ、いい報告ができるようにがんばろうという気になりますね。
——先ほどの誕生日のシーンについて「消えたくなった」とおっしゃってましたが、あのシーンをはじめ、今回の作品ではこれまで以上にコミカルな部分が多かったようですね。
自分のやったことでみなさんに笑っていただけるのが一番嬉しいです。普段は恥ずかしくて出来ないことも、芝居でなら思い切ってやれますしね。あの誕生日のシーンは試写会でもすごく多くの方が笑ってくださって、自分でも意外なほどでした。関西出身だからなのかもしれませんが、ああいう笑いのシーンは『俺がやらなきゃ!』という気持ちになりますよ! これからも“笑い”には関わっていきたいです。
デビューからまだ1年足らずとは思えないたくましさを感じさせてくれた林さん。ボクシングは撮影後も続けており「今後、ボクシング映画のオファーが来たら絶対出たいです!」とも。さらなる活躍に期待したい。
《photo:Yoshio Kumagai》
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