年末年始はコレを観よう!vol.2 “奇跡”を観よう! 『アラビアのロレンス』
『アラビアのロレンス』をご覧になったことはありますか? 壮大なスケールで描かれる“最後の超大作”。第35回アカデミー賞7部門受賞作。映画史に名を残す名作中の名作です。TVで何度も放映されているので、ご覧になった方も多いと思いますが、では、劇場では? 昔の名作は、なかなか劇場で観る機会がないものですが、この作品は違います。幾度か、映画ファンの要望に応えるかのように劇場公開されていますが、実はこの年末もチャンス。12月20日(土)から、テアトルタイムズスクエアで完全版が公開されます。デビッド・リーン監督の生誕100周年を記念しての公開なのです。
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「でも、話の筋は知っているし、何度かTVで見たから、わざわざ劇場に行ってもう一度観なくてもいいか」と思ってしまった方。早まらないで! この作品、スクリーンで観るのと、TVで見るのとはまるで別物。もちろん、TVで見ても十分素晴らしい作品なのですが、劇場で観ると迫力が違う! ぜひこの機会に本当の凄さを体感していただきたいのです。
しかも上映されるのは、ニュープリント・バージョン。広大な砂漠がスクリーンいっぱいに映し出されるシーンなどは、息をのむ美しさ。CG効果でちょちょっと修正できたり、無いものをあることにしたり、あるものを無いことにしたりすることが簡単に出来る現代の作品とは違います。何しろ初公開は1962年。全ては、苦労の果てに実現された実写なのです。
ロケハンに8か月。砂漠のど真ん中に町を建設して行った撮影は、計1年6か月。大群衆シーンを動かすため、リーン監督が“アクション”の号令のために用いたのはヘリコプターからのロケット弾。反乱軍とトルコ軍の戦闘シーンのためだけに、3か月がかりで敷かれたレールは600メートル。用意された撮影機材は1億8,000万にも及んだとか。さらに、集まったのは、3万の砂漠パトロール隊、1万5,000のベドウィンの家族・家畜。モロッコ近衛師団からは騎兵800、ラクダ兵700、歩兵1,000、騾馬480頭が貸し出されたそうです。プロダクションノートには、ほかにもいろいろ凄い数字が並んでいるのですが、要は、これだけの時間と労力を、もはや現代の映画界で費やすことが不可能となっているということ。たとえ望んだとしても。
この作品が“奇跡”、“映画史上最大の遺産”と称されているのは、そういったスケールの大きな真実の数々のせいばかりではなく、それだけの苦労とこだわりが全て、作品の素晴らしさと直結している点。これもある意味では奇跡。長年生きてきた人ならお分かりでしょうが、全ての努力が報われるわけではないのがこの世ですからね。
そんな、実に奇跡的なこの偉業を、頭ではなく体で感じるためには、もうスクリーンで観るしかありません。この年末年始、人間がなし得た奇跡のひとつを目の当たりにしてみては?
『アラビアのロレンス』公式サイト
http://www.lawrenceofarabia.jp/
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