『子供の情景』アフガンの現状と未来を語るレクチャー開催 日本が出来る貢献とは?
アフガニスタンを舞台に、子供たちの視点から戦争の愚かさ、戦争が人々の心に与える傷を描き出した『子供の情景』が昨月より岩波ホールを始め全国各地で公開され、好評を博している。これを記念して5月23日(土)、岩波シネサロンにてアフガニスタンの最新の状況と未来の展望を語るレクチャーが開催され、アジアプレス・インターナショナル代表のジャーナリスト野中章弘氏、ジャパンプレス出身のジャーナリスト・山本美香氏、日本国際ボランティアセンターの長谷部貴俊氏の3名が出席。会場には定員を超える70名もの人々が来場した。
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野中さんは、アフガニスタンへの支援状況について「国家、国益という高い視点から支援を語る場合、現地の人々が本当に求めるものが希薄になってしまう。一番の安定保障は村人との信頼関係であるが、時間と忍耐力が必要。『子供の情景』のような映画を観て、政治で語られる以外のところで活動を行うことが重要です」と語りかけた。
山本さんは、現地の治安状況について語り、「武力で根本的な解決を図るのは難しい。外国の軍隊が武力攻撃をすることによって、支援活動に悪い影響が出る場合もある。そのためにも、外国の軍隊の力ではなく、アフガニスタンの警察力を育てることが重要。日本は派兵しておらず、現地の人々は好意的なので、日本独自に出来ることがあると思う」と日本ならではの貢献を訴えた。
長谷部さんは「戦争という問題のほかに、アフガニスタンは医療問題や干ばつ、洪水などによる食料問題など様々な問題を抱えている。それらの解決にはNGOのように、軍事と一線を画した支援が草の根レベルで必要。軍事制圧では終わりのない憎しみを生むだけでテロは根絶しない。すでに一部では話し合いでの解決が始まっている」とNGO活動の重要性を説いた。
現地の映像や写真を使ったレクチャーに、参加者は熱心に耳を傾け、現地の教育や農作物の生産状況についてや、一般の日本人が簡単に出来る支援についての質問が出るなど、アフガニスタンに対する関心の高さを示す意見が活発に交わされた。
最後に野中さんが「アフガニスタンで起きていることと、我々の周りで起きていることは確実につながっている。まずは、アフガニスタンのことを知ることを始め、それを忘れずにいることで、少しずつ世界は変えられる」と呼びかけレクチャーは幕を閉じた。
なお、岩波ホールでは5月26日(火)の14:00の回上映後に、アフガニスタンの教育について社団法人「シャンティ国際ボランティア会」の三宅隆史氏が現地の実情を語るトークショーが行われる予定。
岩波ホールでの『子供の情景』は6月12日(金)まで。今後、全国にて順次公開予定。
『子供の情景』特集 ハナ・マフマルバフ監督インタビュー
http://www.cinemacafe.net/special/kodomo/interview.html
『子供の情景』公式サイト
http://kodomo.cinemacafe.net/index_pc.html
《シネマカフェ編集部》
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