『子供の情景』トーク開催 アフガンの教育の現状を語る 「本は子供の心の栄養」
イラン出身の新鋭監督ハナ・マフマルバフが、世界が見落としているアフガニスタンの現状を切り取った『子供の情景』。本作の公開を記念して、公開劇場の岩波ホールではこれまで2度にわたって、アフガニスタンで活動するNGOの方々に現地の実情を語ってもらうトークショーを開催してきた。5月26日(火)には、社団法人シャンティ国際ボランティア会の三宅隆史氏が来場し、アフガンの教育の現状について語った。
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三宅さんは、映画の主人公・バクタイのように教育を受けられない子供たち、特に女の子が多い現状について説明。貧しさのために教育のための費用が出せない家庭が多いことや、小さい弟たちの世話など、教育よりも家庭の仕事を優先させる傾向にあること。さらに、男性を優遇する社会や、女子生徒を受け入れるための学校側の環境が整っていないといった実情を明かした。
さらに、2002年の3月からユニセフが開始した「BACK TO SCHOOL」キャンペーンという学校再開のための取り組みを紹介。それまで小学校に通う子供たちが90万人だったのに対し、現在では430万人にまで増加したという(うち女の子が占める割合は35%)。
三宅さんが所属する「シャンティ(サンスクリット語で“平和”という意味)」は、アフガン東部のジャララバードを州都とするナンガルハール州を中心に活動しているが、日本人の誘拐事件が起こるなど、現地の治安は決して良いとは言えない。現地の人々と協力しつつ、子供たちの教育のための活動を継続して行っているという。特に、三宅さんたちが力を注いでいるのは読書の普及。子供たちに絵本を届ける活動はもちろん、現地の人々と共に民話絵本を製作することもあるそう。加えて、教育する立場にある学校の教師たちのために、研修を開き、読み聞かせの必要性を説いて回ることもあるという。
三宅さんは「苦労は本当に多いのですが、子供たちに本を配ることが出来て良かったと思います。先生方も良かったと言ってくださるし、子供たちも喜んでいます」と充実した表情で語った。そして「子供の肉体的発達のためには食料が必要ですが、精神的な発達には本が必要。本は心の栄養です。映画のバクタイのような子が減って、絵本が読める国になるようにこれからも復興に協力していきたいです」と語り、会場は大きな拍手に包まれた。
岩波ホールでの『子供の情景』は6月12日(金)まで。今後、全国にて順次公開予定。
『子供の情景』特集 ハナ・マフマルバフ監督インタビュー
http://www.cinemacafe.net/special/kodomo/interview.html
『子供の情景』公式サイト
http://kodomo.cinemacafe.net/index_pc.html
シャンティ国際ボランティア会
http://www.sva.or.jp/
《シネマカフェ編集部》
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