シャネルの生涯の恋人を演じたアレッサンドロ・ニボラ「少年のようなココの服が好き」
20世紀を代表するファッション・デザイナーであり、現代女性のカリスマ的存在として崇められる、ココ・シャネル。類まれなる才能と反骨精神を糧にして、田舎の仕立て屋のお針子から伝説のデザイナーとなった彼女だが、その成功の裏には、ある一人の男性の存在がいた。彼の名は、アーサー・“ボーイ”・カペル。現在公開中の『ココ・アヴァン・シャネル』で、シャネルが生涯唯一、本当に愛したと言われるイギリス人実業家・カペルを演じた、アレッサンドロ・ニボラに話を聞いた。
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異国の地・フランスで支えになったオドレイの存在
深い教養と先見的な視野を兼ね備え、出会った瞬間にシャネルの心を射止めるカペル。流暢なフランス語でココを口説く紳士に、女性の心は虜に。ニボラは、今回ハリウッドを離れ、異国の地・フランスでこの役に挑んだ。
「今回、僕にとっての一番のチャレンジは、やっぱりフランス語で演技をすることだった。とにかくリアリティをもたらすために、言葉に集中しながら、かなり細かく指導を受けながら台詞を覚えました。普段、自分が慣れている仕事のやり方とも違ってとても難しかったよ」。
そんな中、主人公・シャネル役のオドレイ・トトゥが、力強い支えになったようだ。
「オドレイは何作か英語での役をやったことがあったから、なじみのない言葉で味わう境遇をよく理解してくれたんだ。撮影初日、僕は死にたい気分だったんだけど、彼女が僕を呼んでこう言ってくれたんだ。『最悪なのは最初だけよ、そこからはもう良くなるしかないわ』とね。とても心強いパートナーだった。彼女は、見た目はとても小柄で細くて、脆くてデリケートで純粋な、鳥のような生き物のように見えるけど、実際はタフな女性なんだ。とても野心的だし、知的で強い面を持った女性でした」。
フランスでの撮影は3か月にも及んだ。改めてハリウッド映画の撮影との違いを尋ねると、時折いたずらっぽい笑顔を見せながら答えてくれた。
「フランスのスタッフとは3か月の撮影の間ずっと一緒にいたから、家族のような気持ちになったよ。アメリカとの違いは、いつも昼にワインとチーズが出ることかな(笑)。そんな贅沢はアメリカでは味わえないからね。あともう一つの贅沢といえば、いつも朝の8時から夜の6時までしか働かないことだね。アメリカのインディペンデント映画では、1日14〜16時間働くのも普通だから。この作品は3か月かかったけど、アメリカだったら1か月で終わってたんじゃないかな(笑)」。
また、本作でカギとなるのは、シャネルのスタイルを象徴する衣裳の数々。そのヒントとなったと言われる男性たちの衣裳も然り。目の前で話す、カジュアルルックなニボラと、髭を蓄えスーツを上品に着こなす劇中のカペル、どう見ても同一人には見えないのだが…。
「衣裳というのは仮面舞踏会の仮面みたいで、別人のようにちょっと大胆になれますよね。でも今回、撮影の初日に監督に『カウボーイみたいな歩き方をしている。イギリスの貴族に見えないからダメ』と指摘されたんだ。僕としては、労働者階級から出てきた人物だったから、もう少し荒削りのほうがいいと思ったんだけど」。
では、お気に入りの劇中のシャネルの衣裳は…?
「僕の好きな衣裳は、シャネルとカペルが初めてキスするときに着ている少年っぽい服だね。小さい帽子に、小さなジャケットと短いズボンを合わせて。何でかは分からないけど、すごくセクシーだったよ。実は、(シャネルに言う)『少年の服を脱がせるのは慣れてないんだ』というのが一番のお気に入りの台詞なんだ(笑)」。
男性視点での、ココ・シャネルの魅力
カペルはシャネルの生涯の恋人であったのと同時に、男性中心の社会の中で、彼女の才能を開花させた立役者の一人でもあった。最後に、カペル役を通して見た、シャネルという女性の魅力を語ってもらった。
「シャネルは最初の現代的な女性の一人だったと思います。女性がまだ社会に出て働いていない時代に仕事を持っていたからね。そのためには、多大な勇気と情熱、そしてときには残酷さも必要だったと思うし、それらの要素が彼女の能力と成功を支えていたんだ。現代においても男女関係なく、成功するためにはそんな資質が求められると思うけど、この時代では、常に競争の世界で生きる男性に対して、残酷さに関しては、女性が露骨にそれを出すのは敬遠されていたんだ。もちろん、女性だって残酷さは持ってるけどね(笑)。女性が自分の力を示しつつも女性らしさを保つのは困難なことだけど、シャネルはその両方を持ちあわせていた。そんなうまいバランスをいまの女性は追い求めているんじゃないかな」。
《シネマカフェ編集部》
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