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ペネロペ・クルス インタビュー  アルモドバルが公私で(?)認めたスペインの至宝

監督と俳優の関係…例えばファンタジー映画における最強のコンビがティム・バートンとジョニー・デップだとしたら、“愛”の映画における現代の映画界最強のコンビ、それはペドロ・アルモドバル×ペネロペ・クルスをおいてほかにはないのではないか? 『ライブ・フレッシュ』以来、ペネロペを世界へと羽ばたかせるきっかけとなった『オール・アバウト・マイ・マザー』、そして全世界の絶賛を浴びた『ボルベール<帰郷>』と数々の名作を生み出してきた、まさに黄金のコンビ。この2人が新たに送り出す『抱擁のかけら』でも当然のごとく、愛に生き、愛にとらわれる男と女が余すところなく描かれている。ペネロペにとってアルモドバルとは? その逆は? ペネロペが、そしてアルモドバルがこれまでについて、新作について、互いについて思いを明かしてくれた。

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『抱擁のかけら』 -(C) Juan Gatti El Deseo
『抱擁のかけら』 -(C) Juan Gatti El Deseo 全 9 枚
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監督と俳優の関係…例えばファンタジー映画における最強のコンビがティム・バートンとジョニー・デップだとしたら、“愛”の映画における現代の映画界最強のコンビ、それはペドロ・アルモドバル×ペネロペ・クルスをおいてほかにはないのではないか? 『ライブ・フレッシュ』以来、ペネロペを世界へと羽ばたかせるきっかけとなった『オール・アバウト・マイ・マザー』、そして全世界の絶賛を浴びた『ボルベール<帰郷>』と数々の名作を生み出してきた、まさに黄金のコンビ。この2人が新たに送り出す『抱擁のかけら』でも当然のごとく、愛に生き、愛にとらわれる男と女が余すところなく描かれている。ペネロペにとってアルモドバルとは? その逆は? ペネロペが、そしてアルモドバルがこれまでについて、新作について、互いについて思いを明かしてくれた。

『ライブ・フレッシュ』から『抱擁のかけら』までおよそ12年。アルモドバルとの関係の変化をペネロペはこう語る。
「お互いのことをもっとよく知り合うようになったわ。互いに考えていることが分かるの。仕事の関係もそれに似ているわ。でも、撮影が始まると、彼は私の監督で、私は彼の女優。友情はあるけれど、私たちはそれを乱用したりはしない。仕事関係を守るために、少し変化するの。それほど一緒に過ごすこともないし、自分たちの生活を語り合うこともないわ。でも映画が終わると、すぐに私たちの関係も変わるの。普通の友達に戻るのよ」。

『ボルベール〈帰郷〉』ではスペイン女優として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。その後、ウディ・アレンの手による『それでも恋するバルセロナ』で彼女は見事、アカデミー賞助演女優賞を受賞する。共に“鬼才”“異才”などと形容される2人だが、ペネロペから見た2人は?
「ウディとペドロは2人とも、とても才能があって、特別で、ユニークな人たちだと思うわ。ペドロは作品全てを自分で書くの。ウディも同じよね」。

アルモドバル監督に自身のこれまでの作品17本の中での最もお気に入りのキャラクターを尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「『オール・アバウト・マイ・マザー』のキャラクター全員が大好きだ。でも、ひとりを選ぶなら、『ボルベール<帰郷>』でペネロペが演じたライムンダだろうね」。

監督がいかにペネロペを愛しく思っているかがうかがえるが、一方で、彼女が活躍の場としているハリウッドの、女優に対する考え方には厳しい口調でこう語る。
「ハリウッドには女優に対する明確な見方がある。つまりリスクを負わないシステムなんだ。30代後半から40代前半の女優は旬が過ぎたと見なされる…メリル・ストリープ以外はね。ハリウッドは女優のキャリアを活かさないことで、大きな価値を無駄にしているんだ」。ペネロペは現在35歳。まさに監督はペネロペの美しさ、魅力を最大限に引き出すことで、そうしたハリウッドの潮流に抗しているようにも見える。

では、続いて本作『抱擁のかけら』について。ペネロペはどのように作品に入り込み、レナという役をどのように作り上げていったのか?
「ペドロは、役柄についてはいつも何か月も前から話してくれるの。1年前のこともあるわ。この映画のことを話してくれたとき、彼がとても撮りたがっていて、私に演じさせたいと思っていることが分かったわ。私は何もかも忘れて飛び込むだけ。だから自由でいられるの。(実際の役作りは)ペドロのオフィスで3か月半リハーサルしたわ。彼とはいつもそんな風に作業するし、そういう時間が私は好きなの。何かを見つけるための時間。間違ってたって構わないし、いろんなやり方でひとつのシーンにトライできるわ」。

そんな彼女でも、アルモドバルを前に演技するときに感じるのは“恐怖”であるという。
「撮影現場ではいつも恐怖を感じる。最初の週は自分が降ろされてしまうのではないかと感じるわ。いつだってそう感じるけど、誰よりもそう思わせるのがペドロなの。彼のことをとても大切に思っていて、失望させたくないから…。友情があり、何度もチャンスを与え続けてくれる人だからこそ、失望させたくないのよ」。

そんな風に思わせるのも、ひょっとしたらアルモドバルの戦略の一つ? そう勘ぐってしまうくらい、女性の心を深く理解し、ガッチリと掴んで離さない。彼がそのようにできるのは、彼が同性愛者であるからだと考える人もいるようだが…。そんな問いを監督自身にぶつけてみると…。
「(そういう人がいることは)知ってるよ! でも、女性を理解するには彼女たちに注意を払えばいいだけだ。そんなに難しいことじゃない!」とバッサリ。

そう言えば、アルモドバル監督はペネロペを「子供を持ちたいと思える唯一の女性」と言っているとか…? すばり、それについてペネロペの感想は?
「多分、彼のジョークね。それ、報道の場で言ったの? それなら…でも多分ジョークよ(笑)。分からないけど、(彼に)聞いてみるわ! でもジョークよ、彼ってそういう人だもの!」

スペインが誇る巨匠と彼が公私にわたって(?)認めたミューズ。あと10年、20年と成熟と共にまだまだ傑作を届けてくれそうだ。

《シネマカフェ編集部》

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