『ボックス!』市原隼人×高良健吾 熱く、鋭く…交錯する2つの才能
一見して、全く正反対のタイプに見える2人。そしておそらく、俳優としてのタイプも同じではないだろう。あえて言葉にするなら、市原隼人が凄まじいまでの“熱量”をもって役に挑みかかり、役を自分のものにしていくとするなら、高良健吾は“鋭”。冷徹に役柄に入り込み、作品ごとに別人のような表情を見せてくれる…とまあ、こちらの勝手な想像なのだが…。そんな2人が共演したのが高校のボクシング部を舞台にした青春映画『ボックス!』。やんちゃで向こう見ずな天才・カブ(市原さん)と彼に憧れてグローブを手にした努力家で優等生のユウキ(高良さん)。映画の公開を直前に控え、2人に話を聞く機会を得た。若き2つの才能はいま、どこに向かって疾走しているのか——?
最新ニュース
インタビュー
-
「思ったよりお似合い」イ・ジョンソクとムン・ガヨン、香港での目撃談が話題!
-
『ボックス!』李闘士男監督が明かす——市原隼人&高良健吾の“リアル”
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

カブとユウキという正反対の2人の存在にリアルなファイト、などなど映画の見どころを挙げればキリがないが、何より印象的なのは、敗戦を重ねることで2人に訪れる変化。特にカブは誰もが“天才”と認める才能を持ちつつも、よく負けるのだ。そこが魅力…という、こちらのこの言葉が終わらぬうちに、市原さんは堰を切ったように語り始めた。
市原:自分にはこれしかない、と思ったものでドン底に落とされて…。そこで「さあどうする?」ってなったときに傍らにユウキがいてくれる。それに最後の方で、もうひとり、大事な人がすごく素敵な言葉を掛けてくれるところがあるんです。
作品やカブの存在が“愛おしい”という言葉がぴったりの表情で語る市原さん。カブというキャラクターをどのように捉えたのか?
市原:ボクシングの中で生きているカブが少し切なくも見えて…。笑ってる表情からさえも切なさを感じて、やんちゃだけど愛くるしくて、何となく共感できました。「おれにはこれしかない」っていうところがね。自分と重なるところですか? 寂しがり屋の単独行動好きなところ(笑)? 不器用だからこそ、余計に頑張る姿が印象的です。
一方の高良さんは「最初に脚本を読んで、一番共感したのはカブだったんです。好きになっちゃったんですよ」と明かす。その上で、ユウキに対する思いをこう語る。
高良:自分の中で、ユウキを好きになったのがロッカールームで「やっぱり僕はNo.2です。カブちゃんがNo.1です」と言うところ。2人とも、最初は受け入れられないんですよ、勝敗や恥やコンプレックスを。でも、徐々にそれを受け入れ、乗り越えて…この言葉に行き着く。ユウキの言う1番とか2番ってのはカブとユウキの2人だけの世界でのことなんですよ。そこで「あぁ、ユウキは本当にカブが好きなんだな」って感じて、すごくユウキを好きになって入っていけたんです。
さらに高良さんは「隼人さんがカブを演じているからこそ、そう感じられたと思う」と語り、現場での市原さんの存在感について憧れの眼差しでこう語る。
高良:隼人さんが現場に安心感を与えてくれるんです。最近、隼人さんや松田翔太くん(※6月公開の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』で共演)と一緒にいて感じるのは、何か背負っているものがあるな、ということ。そう、“責任感”なんて、生きていく上で多くの人はできることなら背負いたくないって思ってるけど、2人は責任感とかそういうのを越えている。2人の話に、僕は圧倒されてしまうことがあります。
市原さんはそんな高良さんのストレートな褒め言葉に少し照れくさそうにしつつも、そんな生き方をこう説明する。
市原:全部、自分のせいにしたくなるんですよね。何かあったとき「あいつがこうだったから、おれもこうなっちゃったんだ」では成長しない。だから全部自分のせいにして、自分が変わればあいつも変わるかもしれない。そしたら互いにもっと上に行けるじゃないか、と思うんです。
そう語る市原さんからはポジティブな熱が強く感じられる。とはいえ当然、俳優を続けていく中で不安や苦悩を抱え、壁にぶつかったりすることもあるのでは? そしてそうした思いをどのようにふり切り、乗り越えてここまできたのか?
市原:恐怖はありますね。演じていて、本当の自分が分からなくなっちゃうんじゃないか、と。違う感情を持って、違う人間になるわけで、スイッチの切り替えが下手なので(苦笑)、自分が分からなくなることはあります。それは正直、怖いです。でも、そういうもの全部ひっくるめて好きなんでしょうね(笑)、役者という仕事が。『これだけだ』って思えて、真っ直ぐに熱くなれることって芝居しかないんです。
高良:僕も毎回、形は違えど悩みは襲ってきますよ、現場で。やり続ければ悩みが消えるかというと、そうでもない。逆に続けることで怖くなることだらけで…。でもいくら『やめたい!』とか思っても実際にはやめなくて…ということは続けたいんですよね(笑)。いまの自分にはこれしかなくて、したいからしてる。演じることに快感? うーん、多分、僕は現場が好きなんですよ。
さらに高良さんは、この作品を通じて得たもの、自身の中での成長や変化について、こう言葉を続ける。
高良:いつも自分が出た作品を観て「あぁ、もうこの芝居はできないな」って少し寂しく思うんです。いまはもう、そのときの感情の自分ではありえないから。いま『ボックス!』を観たら、もっと違う芝居ができるけど、映画に映っているものはあのときしかできない。それは成長であるかもしれないですが、たとえ下手でも寂しく感じますね。
では今後、どんな作品に携わり、どんな役柄を演じてみたいか? そう尋ねると、まず高良さんが口を開いた。
高良:今年は、自分で『あっ、怖いな』と思うことをしてるんですよ。『怖いな、できるかな?』って。そう思いつつ、いまはそうやって恐怖心を持ちながら、全部やってやるって気持ちです。
市原:僕は多重人格の役をやってみたいです。いろいろと仕込んで、役者として楽しめそうだな、と。最初にやらせてもらった『リリイ・シュシュのすべて』のようなある種、繊細な作品、役柄をもう一度やってみたい気持ちですかね。
高良:それなら、僕は“ギャル男”の役とかやってみたいです。ギャル男のチャラい感じってすごく不思議で独特じゃないですか! 見てて面白いし。
市原:健吾のギャル男、見たい(笑)!
…意外な答えが出てきたが、多重人格者であれギャル男であれ、やるとなったらとことんまで突き詰めて、観る者を引き込んでいってくれることは間違いなさそう。まずは、拳に青春をかける2人の姿を目に焼き付けてほしい。
《photo:Yoshio Kumagai》
特集
関連記事
-
『ボックス!』李闘士男監督が明かす——市原隼人&高良健吾の“リアル”
最新ニュース -
メイド喫茶 市原「一度行きたい」高良「一回行った」
最新ニュース -
市原隼人 “初ライヴ”で初ダイブ「夢、あるだろ!」
最新ニュース -
市原隼人、『ボックス!』試写会で『ROOKIES』“安仁屋”口調で悩み相談!
最新ニュース -
市原隼人と高良健吾が銭湯で裸で“あんな”ことを…? 意外な見どころに会場大興奮
最新ニュース -
市原隼人 ボクサー生活は「鳥肌が立つ」 『ボックス!』撮影現場レポート
最新ニュース -
Twitter旋風やまず 『ボックス!』完成披露試写会の応募に“フォロワー枠”を創設
最新ニュース -
『ボックス!』主題歌でRIZEと市原隼人のコラボが実現! 熱いラップ披露
最新ニュース -
あのシーンも原作の種田そのまま! 『ソラニン』高良健吾の落書き顔公開
最新ニュース -
市原隼人の“セクシー半裸”画像を携帯待受にゲット! 『ボックス!』前売特典
最新ニュース -
亀田興毅が映画デビュー! 市原隼人主演『ボックス!』で友情タッグ
最新ニュース -
【文豪を演る】インタビューvol.2 優香 as お慶 太宰に敗北感味わわす女に快感?
最新ニュース -
市原隼人と共演できる! 『ボックス!』クライマックス・シーンでエキストラ大募集
最新ニュース
この記事の写真
/