ジェシカ・アルバ インタビュー 娼婦役で新たな境地へ「私にとっては魅力的」
「リスキーなキャリアを選択する恐怖に打ち勝つことは、どれだけ重要でしょうか?」——。ジェシカ・アルバは自らの女優としての果敢な挑戦をそんな言葉で表現する。スティーヴン・キング、スタンリー・キューブリックら名だたる面々から激賞された、ジム・トンプスンによる傑作中の傑作「おれの中の殺し屋」(扶桑社海外文庫刊)を映画化した『キラー・インサイド・ミー』で彼女が演じたのは、娼婦として体を売って生計を立てるジョイス。新境地と呼ぶにふさわしいこの役に彼女は何を感じ、どのような思いでこのリスキーな勝負に身を投じたのか?
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「悲劇的なラブストーリーが気に入ったの」
周辺の住人の苦情を受けて、ケイシー・アフレックが演じる主人公の保安官助手ルーはジョイスの元へ向かう。そこでの彼女との出会い、彼女が彼に投げかけた罵声が彼の中に眠っていた何か——タイトルの示すところの“殺人者”——を呼び覚ますことになる。ジェシカは「登場人物はみな、暗い一面を持ち合わせている。映画は人々の内側を深く掘り下げ、 内面にある一番大きな恐怖や暗闇と向かい合っているの」と語り、こう続ける。
「最初に脚本を渡されたときはエイミー役(※ルーの婚約者である教師/ケイト・ハドソン)だったの。でも、ジョイスの方が好きだったわ。私にとっては魅力的で…何よりバッドガールを演じるのはとても楽しいことなの。白と黒だけでは、(世の中の全てを)語ることはできない、ということがこの映画の魅力…見た目と中身は必ずしも一致しないもの。ジョイスが本当にバッドガールとは思えないわ。彼女はとても悲しい人。そんな彼女がルーの殺人鬼という一面に火をつけてしまったという悲劇的なラブストーリーが気に入ったの」。
さらに、ジョイスが抱える背景についても言及。冒頭の「リスキーなキャリアを選択する恐怖」とは、自身のみならず、演じたジョイスの人生をも重ねた上での思いと言えるのかもしれない。
「1950年代には、自立した考えを持つ強い女性にはほとんど選択肢なんてなかった。結婚してその後の人生を幸せに過ごすか、結婚しないか。男性に養ってもらえなければじゃじゃ馬扱いされる——この考えが彼女の行動に繋がっていたのだと思うわ。彼女は冒険心を持っていて、“答え”を持たないことが好きだったんだと思う。人はセクシャリティの善悪を決めたがるものだけど、多くの女性が男性の目を惹くためにそれを利用してる。彼女がそうした道ではなく、もっと難しい道を選んだことに、ある意味、感心してるわ」。
挑戦する志——「突き進むことは、必要なこと」
ジェシカもまた“難しい道”を選んだ。この選択、挑戦について彼女はこう語る。
「(2008年に)娘を産んでから、人生は短いと感じてるわ。怖いと思っていることや自分への挑戦になると思われることに突き進むことが、唯一、必要なことだと思ってる。それが、私にとって良い結果に繋がるってね。この役でそうした全てを具現化できると思ったの。私は演じる役の職業を細かく分析しようと思わないし、それが役の魅力につながるとも思わない。人はみな、悲しさだったり、愛されたいという欲望や誰か、もしくは何かの一部として必要とされたいという気持ちを持ってる。その人間らしさの深さが、良い演技や興味深い役柄に繋がるのだと思うわ」。
そして、最後にこの映画のプロジェクトが持つ意味を人生に喩えながらこんな言葉で表現してくれた。
「多くの物語は人々の暗い一面を敬遠しがちだけど、これは完璧にさらけ出している。それはとてもかっこいいことだと思うわ。人は美しいもので包み隠すことが好きで、全ての物事があたかも、甘く素敵で美しいかのように思い、キャンディランドのジンジャーブレッドハウスに住んでいるフリをするものよ。でも、それは人生の10%の部分でしかないわ。残りの90%は幸せを手にするために、頭や心の中で何を考えているかを問い正しながら、そこまでたどり着く道のりなの」。
きれいに飾り立てられてはいない道のりを、己の意志で歩んだひとりの女性。ジョイスという役を経て、今年30歳を迎える彼女はどのような一歩を踏み出すのか? その先に何を掴むのか? 期待して待ちたい。
《シネマカフェ編集部》
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