『マリリン 7日間の恋』ミシェル・ウィリアムズ 尽きることない映画愛、女優への愛
ソファの上にちょこんと、けれども背筋をピンと伸ばしてたたずむ姿は天使か女神か。キュートでいてエレガント、朗らかでいて静謐なミシェル・ウィリアムズが放つ何層もの魅力に触れ、グラマラスなセレブの顔と繊細な少女の心を併せ持つ存在、マリリン・モンローに、彼女が驚くほどナチュラルに寄り添えた理由が分かった気がした。世紀のスターを演じ、アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされたミシェル自身、「マリリン・モンローを演じる上では外見的な変身に苦労させられるのと同時に、彼女の魂に近づくことが大事だった」と語る。
最新ニュース
インタビュー
-
『トンイ』女優ハン・ヒョジュ、ミラノで自由を満喫!飾り気のない姿に“ほっこり”【PHOTO】
-
新スーパーヒーロー軍団の映画化作品で主役候補に!期待の新星エディ・レッドメイン
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

「喋り方から指の動かし方まで、外見的な役作りをここまで徹底させたのは初めてよ!」と思わず苦笑するミシェル。セックス・シンボルとしてハリウッドを賑わせたマリリン・モンローと化すにあたっては、「目一杯お化粧すること!(笑)」の次に「自分自身を研究し尽くすこと」が重要だったという。
「そもそも私は自分の顔を見るのがすごく嫌い。家の鏡を大きな地図で覆ってしまっているくらいなの。でも、今回は覚悟を決め、自分の顔を隅から隅までじっくり研究したわ。どうすれば彼女のように魅力的に見えるか? どうやって完璧なマリリンになればいいのか? を考えるためにね。その甲斐あって、いまは自分の顔と向き合うのに以前ほどの抵抗はなくなった。あとは…そうね。『エンジェルズ・メイクアップ』のコラーゲン・アイパッチを使えば、もっと抵抗がなくなるわ。12時間寝て目覚めた後みたいにスッキリした目元になるから、ものすごくオススメよ(笑)」。
透き通る美肌の秘密をこっそり教えてくれるさまもチャーミング。ただし、「私自身が真の美を感じるのは、風がそよぐ草原を見たり、友人の笑顔に触れているとき。“人生”を感じられる瞬間にこそ、自分自身を美しいと思えるの」とも明かし、「マリリンの光り輝く魅力も内面から来るものだったんじゃないかしら」と続ける。
「彼女の出演作や写真を見ると、守ってあげたい気持ちになる人が多いと思う。彼女は様々な方法で内面の脆さを隠そうとしたけれど、少女の頃に負った痛みや傷が消えることはなかった。隠そうとしても見え隠れしてしまう部分が、謎めいたものとして大勢を惹きつけたのね。いままでの役もそうだけど、やっぱり重要なのは役の精神を理解すること。その点、マリリンという存在に共感できる部分は多かったわ。彼女ほどではないにせよ、自分自身を信じられなかったり、力不足を嘆いたりする葛藤は女優業に付き物だもの。とは言え、役を演じるときは自分と似ている部分よりも異なる部分を見つけようとするものよ。似ている部分は何もしなくても似てくるし、意識することで誇張されてしまったりもするから」。
『マリリン 7日間の恋』で語られるのは、マリリンが『王子と踊り子』の撮影でイギリスを訪れた7日間。ストーリー自体、実体験に重なるところがあったという。
「撮影が始まる前は少し近い気持ちだったわね。というのも、映画の中のマリリンも撮影当時の私も30歳で、アメリカ人なのも、イギリスで撮影するのも同じ。伝統的な演技法に長けたイギリスの名優たちと共演する状況も一緒だったわ。私はそういった演技のレッスンを受けたこともなければ、シェイクスピア劇に出たこともないから、力不足じゃないかとひるむ気持ちすらあった。でも、映画の中のマリリンとは違い、私の場合は信頼し合える共演者たちに恵まれたの。彼らは私を温かく迎え入れてくれたわ」。
歩んできた道はイギリスの名優たちと異なれど、いまやミシェルがトップ女優の1人であるのは紛れもない事実。演技の道に足を踏み入れた少女時代をふり返り、「12〜3歳の頃はメソッド演技の俳優たちに興味津々だったわ」と明かす。“メソッド演技”とは役の感情を追体験する演技法で、マリリン・モンローも取り入れた手法だ。
「同世代の子たちが興味を持つスターには関心がない子供だったの。どうしてかしらね…(笑)。ジェームズ・ディーン、マーロン・ブランド、モンゴメリー・クリフト、もちろんマリリン・モンローと、いろいろなメソッド俳優たちの伝記を読み漁ったわ。たくさんの俳優に憧れ、影響を受けているのはいまも昔も同じね。日本に来る飛行機の中で『ハンナとその姉妹』('86)を観たのだけど、ダイアン・ウィーストが本当に素晴らしかった。ケイト・ウィンスレットやホリー・ハンター、ティルダ・スウィントンも大好きな女優よ。尊敬する仲間の名前を挙げればきりがないわ」。
ヴィム・ヴェンダース、アン・リー、トッド・ヘインズら、共に作品を作り上げてきた名匠も多数。「作品に取り組むたびに、監督たちから多くのことを学ぶの」と、女優業に対する尽きない想いを口にする。
「演技を始めて20年経ったいまもお芝居への愛を持ち続けていられるのは、どの作品でも学ぶことが大きいから。まだまだ知らないことがたくさんあるし、求められるものも作品ごとに違う。好奇心が満たされ、決して飽きることがないの。私の仕事は監督が望むものを提供すること、そして彼らが思い描くフレームを埋めていくこと。それぞれの作品が誇らしいし、いままで仕事をした全ての人たちが私にとっては特別な存在だわ」。
演技に対し、映画に対し、惜しみない愛情を注ぐミシェルにこんな質問も。アカデミー賞に輝いた『アーティスト』や過去に組んだこともあるマーティン・スコセッシ監督の最新作『ヒューゴの不思議な発明』など、映画愛を謳った作品をどう思う?
「私は元々ノスタルジックなタイプで、朝食を食べていても何だかじんわりしてしまうことがあるくらい(笑)。それに、ハイテクは苦手だから、手紙を書くときもいまだに手書きなの。古き良き時代に対する思い入れは強いし、昔を伝える映画が作られるのは個人的にも嬉しいことよ」。
ところで、『王子と踊り子』はマリリンが主演のみならずプロデュースにも乗り出して意欲を注いだ1作。ミシェル自身は『ブルーバレンタイン』で製作総指揮にクレジットされていたが、今後の興味はプロデュース業にも向けられているのだろうか。
「正直に言って、いまのところは“ノー”よ。『ブルーバレンタイン』は8年もかかったプロジェクトだから、企画の立ち上げからずっと関わってきた私とライアン(・ゴズリング)へのご褒美として製作陣がクレジットしてくれたの。そもそも私にはプロデュースまでこなすほどの脳ミソはないし(笑)、どちらかと言えば一つのことにじっくり取り組むのが好き。ビジネスには向いていないと思うの。いつか自分のエネルギーがあり余っているのを感じ始めたら挑戦するのもいいかもしれないけど…、いまは母親業と女優業にエネルギーを使い果たしている感じね!」
特集:7stepで学ぶ、マリリンstyle
http://www.cinemacafe.net/ad/marilyn/
《photo:Toru Hiraiwa / text:Hikaru Watanabe》
特集
関連記事
-
新スーパーヒーロー軍団の映画化作品で主役候補に!期待の新星エディ・レッドメイン
最新ニュース -
マリリンの写真など20世紀を代表するアイコニックな品々が、オークションに出品
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズ、第2次世界大戦を舞台にした禁断の恋に挑戦?
最新ニュース -
マリエ、恋愛願望の高まり告白? 「期待しててください!」
最新ニュース -
2012年上半期をふり返り! 続々来日した新進ハリウッド女優、注目すべきは…?
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズの新恋人は、やはりあの人! うわさの彼が交際を認める
最新ニュース -
【ハリウッドより愛をこめて】春爛漫カップル続出!リアーナ&ミシェルの新カレは?
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズ、今度は2人の男性の間で揺れ動く…最新作が今夏公開!
最新ニュース -
女優であり愛されたいと願ったマリリン 魅惑的でキュートな入浴シーンを公開
最新ニュース -
椿鬼奴、マリリン・モンローになりきって「今年は結婚したい」と婚活宣言!
最新ニュース -
ミシェルのキュートな3変化に胸きゅん! 春先取り、来日ファッションをチェック
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズ、一番好きなモンロー映画は『お熱いのがお好き』
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズ、娘のマチルダちゃんと貯めた義援金を福島に寄付
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズが初来日! 純白ドレスで“現代のマリリン”を見事に体現
最新ニュース -
マリリンとミシェルの“女優魂”を重ねて見る『マリリン 7日間の恋』歌&踊りを公開
最新ニュース -
【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!〜セクシー編〜
最新ニュース -
【シネマモード】“ウェストマーク”が美のポイント、映画×クラシカル・ファッション
最新ニュース -
オスカー受賞期待のミシェル・ウィリアムズ、『マリリン 7日間の恋』引っさげ初来日
最新ニュース -
ミシェル・ウィリアムズが選ぶ、勝負服は? 注目すべきアカデミー賞ファッション
最新ニュース -
【ハリウッドより愛をこめて】“笑い”でオスカー助演俳優部門を席巻する、注目の2人
最新ニュース -
いよいよ決戦!アカデミー賞候補発表 『ヒューゴ』VS『アーティスト』の一騎打ち?
最新ニュース -
ジョージ・クルーニー、G・グローブ賞主演男優賞獲得! 『アーティスト』は最多3冠
最新ニュース -
J・クルーニー、レオ、ブラピの3大スター対決! ゴールデン・グローブ賞候補が発表
最新ニュース
この記事の写真
/