「見ることとはどういうことか」を追及 フランスの女性現代美術作家が個展を開催
世界中から注目されるフランスの女性現代美術作家、ソフィ カルの14年ぶりとなる固展「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」 が東京都品川区の原美術館にて3月20日(水・祝日)から開催中だ。
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本展では、失明した人々を取材し、写真とテキストで綴った「最後に見たもの」('10)、初めて海を見る人々の表情をとらえた映像作品「海を見る」('11)の2 部構成で、見ることとは何かを静かに思考する。別館ハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)で関連展示も行われる。
いまから14年前に原美術館で開催したソフィ カルの個展「限局性激痛」では、人生最悪の日までの出来事を最愛の人への手紙と写真とで綴った第1部(カウントダウン)と、その不幸話を他人に語り、相手の最も辛い経験を聞くことで、少しずつ心の傷を癒していく第2部(カウントアップ)から成る展覧会で、自分の人生をさらけ出し、他人の人生に向き合うカルの制作に、多くの鑑賞者が心を打たれたに違いない。
今回の「最後のとき/最初のとき」 では、生まれつき目の見えない人々に、美のイメージとは何か、と問いかける「盲目の人々」('86)(注)以来追究してきた、美とは何か、見るとはどういうことかを、寄せては返す波の音とともに静かに思考させる展示内容となっている。それはまた、「私が見たもっとも美しいもの、それは海です」(「盲目の人々」より)と答えたひとりの盲目の男性の言葉に触発された、視覚、認識に関するカルの問いの旅の、解の一つとなりうるかもしれない。
(注) 本展では「盲目の人々」('86)より1点展示される。杉本博司氏の「海景」を組み合わせた特別版('99)となる。
■ソフィ カル プロフィール
1953 年、パリ生まれ。10 代の終わりから7 年もの間放浪生活を送り、26 歳でパリに戻る。その頃より制作を始め、1980 年より展覧会へ出品。以後、ロンドンのテート ギャラリー(1998 年)やパリのポンピドゥー センター(2003 年)での個展の他、各国の主要美術館にて個展を開催。第52 回ヴェネチアビエンナーレ(2007 年)に参加するなど、フランスを代表するアーティストの一人。日本では、原美術館にて開催された「限局性激痛」(1999 年)や豊田市美術館(2003 年)での個展開催の他、「脱走する写真―11 の新しい表現」(1990 年、水戸芸術館現代美術ギャラリー)、「移行するイメージ:1980 年代の映像表現」(1990 年、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館)などのグループ展にて紹介。現在、パリ近郊のマラコフ在住。
「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」
2013年3月20日(水・祝)~6月30日(日)
原美術館 (東京・品川)
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