【インタビュー】ナオミ・ワッツ、元皇太子妃・ダイアナを徹底研究…発見した魅力「ユーモア」
世界中に愛されながらも、孤独に苛まれ続けたイギリスの元皇太子妃ダイアナ。紆余曲折の末に真実の愛を手に入れるが、その幸せも長くは続かず、36歳の若さで謎の死を遂げた。
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「この役を引き受けるかどうかは、すごく迷ったわ」とワッツは話し始める。「私たちの生きている時代の最も重要な女性を演じることは、決断にとても長い時間がかかったの。実在の人物を演じるのは簡単なことではないし、誰もが自分なりのイメージを持っている女性になるのは至難の業よ。一つ間違えると、誰かの気持ちを害してしまうかもしれない。でも同時に、女優として大きな挑戦であればあるほど、それに挑みたいと思ったのも事実。ダイアナのように人を引きつける人物は多くない。人間としての強さや弱さ、カリスマ性、美しさ、思いやり、情熱…多くの面を持っていた人だったと思う。彼女のことを考えるほど、この挑戦にノーとは言えなくなった。ダイアナを演じる心が決まったら、彼女の人柄を研究して、手に入るものはすべて読みあさり、昔の映像をすべて確認するだけだったわ」と、女優人生をかけてこの大役に挑んだことが覗える。
本作では、ダイアナお気に入りのデザイナーたちが全面協力。彼女が実際に着用したドレスやアクセサリーを使用しており、見どころの一つとなっている。ワッツは水色のビーズのドレスを「あまりに短くて驚いたわ」と笑う。ダイアナのドレスを手がけてきたデザイナー、ジャック・アザグリーは、ダイアナの美しい脚を見せるために、ドレスを短めに仕立てていたそうだ。
最近ではヘレン・ミレンがイギリスの女王・エリザベス2世を、メリル・ストリープがイギリスの元首相マーガレット・サッチャーを演じて、共にアカデミー賞に輝いたのも記憶に新しい。
「単なるモノマネでは終わりたくないと思った」と話すナオミも、徹底的な役作りをしてダイアナを演じた。「演技は物語そのものであり、真実を映し、解釈を表現するべきもの。でもできるかぎり正確に再現しなければいけないわ。つまり声のトーンや視線など、彼女の特徴的な部分を表現することも大事だと思ったの」。
「彼女のことはよく知っているつもりでいた」というナオミだが、これまで知らなかったダイアナの新たな顔をいくつも知ることになる。「ほとんどのニュースは見ていたし、リアルタイムで体験したわ。たとえば結婚式があった日の記憶は鮮明だし、亡くなったときのこともはっきり覚えている。もちろんその間の出来事もよ。でも、この役を引き受けてから入手できる情報は最大限入手したわ」。
ダイアナについて書かれている多くの書物、古い新聞記事、映像もすべて目を通した。特に役づくりに有効だった資料は、BBCのパノラマインタビューだそうだ。
「情報源としてだけでなく、口調、アクセント、表情を学ぶことができたわ。それにあのインタビューを通して、彼女の持つ情熱や愛情が深く感じ取れたの。非常に魅かれたわ」。
ナオミが最も苦労したのは彼女の「声」だと言うが、これも弛まぬリサーチの結果、完璧と言える再現に成功した。
そして“ダイアナを演じる上で最も大切にしたことは?”と質問すると、意外な答えが。
「それはユーモアね。彼女がユーモアにあふれた女性だったということは、大きな発見だった。役づくりの上でもとても役立ったわ。ジョークを連発する映像も残っているのよ(笑)。実際の彼女はとてもお茶目な女性だった」。
「彼女が一途で情熱的だったことはよく知られていると思うだけど、彼女には反逆心もあった。そしてそれを貫く勇気も。BBCのインタビューを受けることは、とても勇気がいることだったはず」。
ハリウッドスターのワッツの周囲にもパパラッチは絶えないはずだが、ダイアナとは「格が違う」と話す。
「彼女に比べれば、私へのメディアの関心なんてちっぽけなものよ。彼女と比較できる人物なんて考えられない。だって死後もそれが続いていて、いまだに新聞の一面になるような人だもの。ダイアナのように1日中追いかけられたら、何かに閉じ込められている感覚に陥るでしょうね。孤独だし心が病んでしまいそうだわ。生きづらい環境だと思う」と悲しげな表情を見せる。
最後にダイアナとの共通点を聞いてみると。
「私はいつも善良で複雑で、さまざまなものを体現する女性の役を求めている。ダイアナはまさにそういう女性だった。賢くて、美しくて、強くて、傷つきやすくて、正直で、思いやりがあって優しい人。共感する点はたくさんあった。偉大な女性である彼女も、私たちと同じような悩みを抱えていることが分かって、とても親近感が沸いたわ」。
《text:cinemacafe.net》
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