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【インタビュー】芦田愛菜は“努力”でできている

「天才」。もうすぐ10歳を迎える少女について多くの人がそう口にする。間違ってはいない。芦田愛菜があふれんばかりの才能を持っていることは事実だろう。だが彼女の素晴らしさを才能なんて言葉だけで片付けてはいけない。

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芦田愛菜『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』/Photo:Naoki Kurozu
芦田愛菜『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』/Photo:Naoki Kurozu 全 13 枚
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「天才」。もうすぐ10歳を迎える少女について多くの人がそう口にする。間違ってはいない。芦田愛菜があふれんばかりの才能を持っていることは事実だろう。だが彼女の素晴らしさを才能なんて言葉だけで片付けてはいけない。撮影前、愛菜ちゃんは何度も、何度も、何度も繰り返し台本を読む。そうすることでセリフを覚えるのはもちろん、その中で新たな発見をし、役柄への理解を深めていくという。才能ではなく努力を積み重ね、愛菜ちゃんは役柄を作り上げていく。

ドラマ「Mother」や「明日、ママがいない」では、その涙やいたいけな表情で観る者の心を鷲掴みにしたが、まもなく公開する『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』では、過去の作品とはまた違った表情を見せてくれる。

映画化もされた『きいろいゾウ』など独特の作風が人気を集める作家・西加奈子の「円卓」を行定勲監督が映画化。ちょっぴり風変わりな小学3年生の“こっこ”こと琴子の家庭や学校での日々を中心に、彼女を取り巻くクラスメイトや大人たちの姿をも切り取ってゆく。

“他人と違うこと”を一番「かっこええ」ことと捉えるなど、独特の視点や感性を持った少女・こっこ。愛菜ちゃんはこの主人公をどのような視点で見ているのか?

「やっぱり、変わってるな、とは思います。普通、夏休みの自由研究を『蚊の研究(※そのために彼女は延々と蚊に腕の血を吸わせる)』にしようとか思わないし…(笑)。でも私も、決してこっこちゃんのように人と同じことが大嫌いというわけじゃないけど、人と違うことをしてみたいって気持ちは分からないでもないです。何にでも興味を持って、いつも疑問を抱いてるっていうことはいつも忘れないようにしました。好奇心いっぱいっていうところは似てるかも」。

そんな、小学3年生にしてパンキッシュとも言える魅力を持ったこっこちゃんは当然、外見も奇抜! 目玉や脳みそ、セミなどをかたどった髪留め、左右で少しズレて非対称の髪型など、普段の愛菜ちゃんなら「絶対にしない(笑)!」というファッションでスクリーンに登場する。

「最初はビックリしました。『何で、机の上に目玉が乗ってるんだろう…?』って(苦笑)。髪もズレてるし、前髪もオンザ(=オンザ眉毛/眉毛の上で前髪を切り揃えた状態)だし。こんな格好している自分を見たことがなかったので、不思議な気持ちでした」。

ちなみに本作のこっこは関西弁を話す。現在は東京暮らしで標準語での演技の印象が強いが、愛菜ちゃんは元々、兵庫出身の関西弁“ネイティブ”だが…。

「関西出身なんですけど、忘れかけていたところもあったので、関西に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんに確認しました」。

こっこちゃんのみならず、お隣に住む友人で吃音にコンプレックスを持っていたが、それをこっこから「かっこええ!」と言われて自信を持つぽっさん(伊藤秀優)を始め、個性的な子どもたちが数多く登場する。撮影現場でも同世代の子たちと話をする時間がたくさんあった。

「たわいもないことばかり話してました。学校のこととか、自由研究どうしよう? とか。この映画の撮影も夏だったので、(宿題を抱えるこっこたちと)重なりました。夏休みの宿題は…頑張ってやりました! 自由研究は世界一高い山のある国とか、長い河のある国とか、No.1を持っている国をまとめたのと、丸い地球儀のジグソーパズルを作りました。No.1の国の国旗を描くんですけど、細かい模様があったり、鳥とかいろんな文字が(国旗に)ある国もあって、大変なんですよ!」。

タイトルの通り、こっこ家で家族と円卓を囲むシーンは見ていて心温まるが、愛菜ちゃんは演じていて楽しいだけでなく、かなり大変だったよう。

「円卓を囲んでワイワイお食事するシーンは一番楽しいんですけど、みなさん、アドリブがすごくて…。八嶋(智人/父親役)さんと羽野(晶紀/母親役)さんがムードメーカーなんですが、アドリブも多くて『次、何を言われるんだろう?』ってドキドキしてました。そのシーンではこっこは、あまり家族と喋らなくていいキャラクターだったので助かりましたけど。テストで『お隣さんからジャガイモもらったよ』だったのが、本番で『人参』になったり…(笑)。『えー!? (ジャガイモのつもりで)考えてたのに!』とか(苦笑)」。

全編を通じて目立つのは、眉間にしわを寄せ、いろんなことへの怒りや不満を正直に表したこっこの表情。さらに顔だけでなく言葉でも、、時に「うっさい、ボケ!」とクラスの男子たちを一喝し、父親に向かってこっそりと「黙れ、平社員」と毒づくなど、意外にも愛菜ちゃん、“ダークヒロイン”ぶりが板について似合っている。

愛菜ちゃんはお芝居をすることを楽しんでいる。「自分じゃない誰かになりきれるというのが楽しいです」と笑顔で語る。そう、彼女は“ありのままの子どもらしい姿”や“素の自分”をカメラの前で出しているわけではない。台本を繰り返し読み、監督の指示を聞き、考えた上で作り上げた、自分とは全く違うキャラクターを自然に演じているのだ。“子役”ではなく“女優”――映画はこっこの姿を通じて、大人たちに多くのことを問いかけるが、それは女優・芦田愛菜の姿とも重なる。

こっこはジャポニカ学習帳に気になった言葉や初めて知ることなどを書き留めていくが、愛菜ちゃん自身のお気に入りの言葉は?

「好きな言葉は“努力”です」。

この言葉に芦田愛菜の凄さが詰まっている。

《photo / text:Naoki Kurozu》

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