【インタビュー】エル・ファニング 王子様とのキスシーンは少々「問題あり」!?
ころころと笑う。とは、まさに彼女の笑い声を指すのではないか。「昨日は1日オフだったから、原宿や渋谷に行ったの。109で可愛いものをいろいろ買い込んじゃったわ。ソックスに、スマホケースに…
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とは言え、滞在はわずか数日。プロモーション活動の合間を縫い、多忙な16歳は「カワイイもの」を求めて精力的に東京の街を駆け巡ったようだ。日本に到着した際は開口一番、「キディランドに行きたい!」と目を輝かせていたが?
「もちろん行ったわ! 時差ボケで朝早くに目が覚めちゃったから、丸1日ショッピングできたの。ハローキティのグッズも買ったし、ブライスドールも買ったし…。夜には新宿のロボットレストランに連れて行ってもらったのよ。何だかキラキラピカピカしていて、アメリカにはない雰囲気だった(笑)。アメリカにない感じと言えば、女の子たちのファッションね。着こなしに自信を持っていて、本当にクールだと思う。私の地元には個性を周りに合わせようとする子も多いけど、日本の女の子たちは“目立って何が悪いの?”って感じ。重ね着も上手だし、気分に合わせてファッションを選ぶ姿勢が素敵だわ」。
そんなエル自身の本日の装いは、『マレフィセント』で演じたオーロラ姫を思わせるワンピース。ガーリーなシルエットを長い手脚でキュートに着こなす姿からはすでに女性らしさも漂っていて、映画の中のあどけない“オーロラ姫”とは少々印象が異なるが、「そうなの。おかしいわよね。自分でも、映画を観ていて『あれ? 私、ちょっと若くない?』って思ったわ(笑)。でも、撮影当時は14歳だったんだもの。今は16歳だし、2年って大きいわね」と笑う。
ディズニーの名作アニメ『眠れる森の美女』のヒロインにして、邪悪な妖精・マレフィセントに呪いをかけられる悲運のプリンセス、オーロラ。エル自身もディズニーアニメを観て育ち、「大人になったら何になりたい? と聞かたら、『ディズニーアニメのお姫様』と答えるような子供だった」という。
「だから、ある意味、今回の作品でオーロラを演じられたことは人生のゴールよね(笑)。プリンセスを演じた自分を誇らしく思っているわ。しかも、ディズニープリンセスの中で、オーロラは一番のお気に入りだったの。私もオーロラも髪がブロンドで外見に共通点があるし、ドレスは私の大好きなピンク色だし(笑)。そんな思い入れのあるキャラクターに息を吹き込むことができただけじゃなくって、新しい世代に向けてオーロラ姫を演じられたのが私にとっては特別なこと。だって、まだ幼い従妹は『マレフィセント』や『アナと雪の女王』を観ながら育っていくんだもの。そう思うと、本当に嬉しくなるわ」。
しかしながら、この『マレフィセント』はおとぎ話の単なる実写化ではない。悪役として知られるマレフィセントの事情を描く挑戦的な姿勢が、すでにそれを物語っている。
「生まれながらにして邪悪な人間は誰もいない。それが、この作品のメインテーマなの。マレフィセントがそうしたように、人は自分の身に起きたことを受け、自分を守ろうとしたり、行動を起こしたりする。そうすることで、時に誤解を受けてしまうものなのよね。オーロラの父もそう。結構な悪者だけど(笑)、実は可哀想な人なんじゃないかしら。でも、自分で選択して運命を決めたわけだから、哀しいけど仕方のないことよね」。
また劇中には、エル曰く「おとぎ話の中だとあっさり受け入れられがちだけど、よくよく考えるとちょっとおかしいこと(笑)」を、愛情と敬意をもってユーモラスに描くシーンも見られる。ハンサムな王子がオーロラ姫にキスをするシーンがまさにそうで、本作のフィリップ王子は一目惚れして恋に落ちたとは言え、出会って間もない姫へのキスを「していいのかな…」とためらう。
「ちょっとユーモアがあっていいわよね。おとぎ話のそういった部分にあえて言及しているのが、この映画の面白い部分でもあると思う。確かに、出会って間もない上に、寝ている女の子にキスをするなんて問題があるもの(笑)」。
ちなみに、エルがキスシーンに初めて挑戦したのは『ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界』の撮影にて。その時は「どうしよう!? って思った」そうだが、今回のあまりにも有名なシーンにはどのような気持ちで臨んだのだろうか。
「そうよね。あまりに有名なシーンだったのはよく分かってる。でも、笑っちゃったりして、なかなか撮れなかったの(笑)。オーロラは眠っていて、まつ毛も動かしちゃいけないから、私はとにかくじっとしていなくちゃいけなかった。けれど、目をつむっていても、顔が近づいてくるのって気配で分かるでしょう? 息もかかってくるし! だから、どうしてもビクッと身構えちゃうのよね。恥ずかしさもあったのかな…。いろんなアングルから何度も撮ったから、撮影には1日かかったの」。
2歳8か月で女優人生が始まり、ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』、J.J.エイブラムスの『SUPER8/スーパーエイト』、フランシス・フォード・コッポラの『ヴァージニア』、キャメロン・クロウの『幸せへのキセキ』など、錚々たる監督たちの作品に次々と出演。順調にキャリアを重ねる中、「ここまで大きな規模の撮影に参加したのは初めて。しかも、共演はアンジェリーナ(・ジョリー)だし」と目を輝かせる。
「特殊効果を多用した作品という点でも、私にとってはものすごい挑戦だった。髪型や衣装が変わるたびに全身をスキャンされるなんて、今までの撮影にはなかったことよ。台の上に立って、ちょっとずつ台を回してもらいながらスキャンされるの(笑)。グリーンバックでの演技も慣れなかったし、初めての経験だらけだった。そんな中、演じるキャラクターに思いを注ぎ込むことの大切さを知ったし、演じることの楽しさを改めて感じたわ。すぐそばには、世界一素晴らしいお手本がいたしね。マレフィセントが自分のかけた呪いの恐ろしさに気づき、眠っているオーロラの隣で涙するシーンのアンジェリーナには本当に胸を打たれた。目をつむっていても、感情がひしひしと伝わってきたの」。
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