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【シネマモード】パガニーニに魅せられて…“クラシック”の見方が変わる

いつの世にも、どの世界にも、スーパースター、つまり才能で人々を惹きつけ、崇拝の対象となる人がいるものです…

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『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』 -(C) 2013 Summerstorm Entertainment / Dor Film / Construction Film / Bayerischer Rundfunk / Arte. All rights reserved
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』 -(C) 2013 Summerstorm Entertainment / Dor Film / Construction Film / Bayerischer Rundfunk / Arte. All rights reserved 全 9 枚
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いつの世にも、どの世界にも、スーパースター、つまり才能で人々を惹きつけ、崇拝の対象となる人がいるものです。

それは、1800年代のヨーロッパでも同じこと。この時代の音楽といえば、クラシックですが、その世界にも、前代未聞のスーパースターがいたのです。それが、イタリアのバイオリニスト、ニコロ・パガニーニ。その人間離れした超絶技巧から、いまも“悪魔に魂を売り渡した男”として語り継がれ、類い稀なる才能を讃えられています。何せ、記録メディアがない時代の話ですから、その演奏を聴くことはできないわけですが、彼が遺した楽譜からも分かります。パガニーニの音楽には超難曲が多い、というのは有名ですから。

いまも、その才能でクラシック界を圧倒しているパガニーニですが、その才能ゆえに、破滅的でスキャンダラスな人生を送ったとも言われています。そんな彼の半生を描いているのが、『パガニーニ 愛と狂気のバイオリニスト』

本作では、お酒、ギャンブルを好み、女性にもだらしない男として描かれていますが、それだけ本能に正直で純粋というようにも見えます。しかも、そういう危険な男は、女にとって魅力的。単にダメな男ならばいざ知らず、人間的に模範とも言えない人物なのに世にも美しい旋律を奏でるとなれば、かえってそのギャップがまたもや女心を捉えて離さないのです。

そんな彼のカリスマ性、大物ぶりを表現するため、まるでロック・スターさながらに描いているのが本作。かつて、クラシック音楽家たちが、どれほど人々にとって憧れの存在、モード(流行の中心)だったのかが想像できます。

数々の伝説に彩られたパガニーニの物語ですから、クラシック好きにはもちろん、「ほとんどそのジャンルの音楽を聴かない」とか、「パガニーニって誰」という人にもぜひ観ていただきたい。きっと、退屈だと思っていたクラシック音楽が、どれほどエキサイティングで官能的になりうるか、気づくことでしょう。

それに一役買うのが、パガニーニ役を演じているドイツ出身のデイヴィッド・ギャレット。8歳から国際的に活躍してきた本物のスーパースター・ヴァイオリニストで、13歳で名門レーベル、ドイツ・グラモフォンと史上最年少で専属契約。その後、クラウディオ・アバドと演奏したり、ジュリアード音楽院で学んだり、イツァーク・パールマンに師事したりと、何から何まで超一流。

本作では製作総指揮、音楽も担当しています。ロックスターのような風貌と、見事な演奏で、クラシック音楽のイメージを一新させてくれる彼。スキャンダラスで不世出の天才パガニーニが描かれているのに、指使いが素人、というのでは興ざめですが、彼ならばっちり。クラシック好きの私ですが、勉強不足で彼のことは未確認。興味深い発見となりました。監督は『不滅の恋 ベートーヴェン』のバーナード・ローズ。本当の音楽にこだわり、筋金入りのクラシックファンをも納得させる作りですから魅力いっぱいです。

この作品は、映画として楽しむだけでなく、あなたの新たな楽しみを発見するきっかけになるかもしれません。デイヴィッドがヴァイオリンをガンガンに奏でるあの姿、そこから生まれる音の勢いを肌で感じれば、高尚すぎて入り込めないというクラシック音楽の間違ったイメージなど、どこかに吹き飛んでしまうはず。それもそのはず、デイヴィッドの掲げる目標は「若い人々にクラシック音楽を紹介し、シリアスな音楽であるべきクラシックを熱中できるものとして目覚めさせること」。あなたも、騙されたと思って、デイヴィッドが用意した新しい扉を開いてみては。

《シネマカフェ編集部》

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