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映画界は“団地”ブーム!? 名匠を魅了する昭和の象徴に注目『団地』『海よりもまだ深く』ほか

経済の長期低迷、デフレ脱却もままならぬ中、かつての高度経済成長期の象徴ともいえる”団地”が、いま映画界でちょっとしたブームになっている。当時、地方から都市部へ移り住む人の流れに合わせて各地に次々と建設されたが、時代の移り変わりとともに

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『団地』(C) 2016「団地」製作委員会
『団地』(C) 2016「団地」製作委員会 全 9 枚
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経済の長期低迷、デフレ脱却もままならぬ中、かつての高度経済成長期の象徴ともいえる”団地”が、いま映画界でちょっとしたブームになっている。当時、地方から都市部へ移り住む人の流れに合わせて各地に次々と建設されたが、時代の移り変わりとともに、その一帯がどこか取り残されたかのような印象を受ける不思議な建物、“団地”。奇しくも、この春からそんな“団地”を舞台に、名監督や新進クリエイターたちが三者三様のアプローチで描いた映画が続々と公開される。

■藤山直美×阪本順治監督『団地』…「うわさのコインロッカーや!」
阪本順治監督の書き下ろし完全オリジナル脚本に、稀代のコメディエンヌ・藤山直美を再び主演に迎えて贈る会話劇『団地』。映画ファンが待ち望んだ新作でありながら、多くの観客の予想を遥かに上回る物語の企画の発端は、藤山さんのスケジュールがぽっかり空いたことから。撮影スケジュールの兼ね合いもあり、ワンシチュエーションものが良いということで、ふと監督の脳裏に“団地”を舞台にした本作のクライマックスシーンが浮かんだことからスタートした。

さまざまな人生が交差する団地という“小宇宙”を舞台に、ごく平凡な夫婦の全然普通じゃない日常を、独特のオフビートな感覚で描きだす。藤山さんの新境地ともいえる、未知なる魅力を引き出した“妄想としゃべくりのハーモニー”には、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代、宅間孝行、さらに斎藤工など、クセとアクの強いキャスト陣も集結する。

■単身高齢者を追うドキュメンタリー『桜の樹の下』…「故郷を離れ、流れついた」
神奈川県・川崎市にある市営団地に暮らす単身高齢者たちを追ったドキュメンタリー。戦前から工業都市として発展した川崎は、高度経済成長期に多くの労働者を抱え、当時の公営団地は地方などから来る若き働き手の、そして現在では単身高齢者の受け皿となっている。

孤独を感じつつも毎日を生き、そして自らの死とも向き合う高齢者たち。団地で暮らす4人の高齢者たちにカメラを向け、彼らの日常、思いを切りとった本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015の日本プログラムに正式出品され、大きな話題を呼んだ。監督を務めるのは、20代の女性監督・田中圭。

■阿部寛×是枝裕和監督『海よりもまだ深く』…「パパはなりたいものになれた?」
『海街diary』『そして父になる』の是枝裕和監督が、『歩いても 歩いても』『奇跡』に続いて阿部寛と3度目のタッグを組んだ『海よりもまだ深く』。阿部さん演じる主人公の良多はある台風の日、別れた妻(真木よう子)や1人息子と、母(樹木希林)の暮らす団地で一夜を過ごすことになる。

本作の主な舞台としなったのは、是枝監督が9歳から28歳まで実際に暮らしていた東京都清瀬市の旭が丘団地。本作について是枝監督は、「登場人物は皆、“こんなはずじゃなかった”という思いを抱きながら、夢見た未来とは違ういまを生きている大人たち。映画の舞台である団地も建設された当時は思いもしなかったであろう、老人ばかりの現在を生きている。本作はそんな等身大の人々のいまに寄り添ったお話」とコメントを寄せている。

コメディ、ドキュメンタリー、人間ドラマと異なったスタイルだが、それぞれの“団地”描写の中に込められた、その限られた空間にしか醸し出すことのできない日々の暮らし。まさに昭和の象徴であり、失われた家族や地域のカタチが色濃く残る“団地”。その個々の思い出や人間関係、時間と空間の“濃密さ”が、クリエイターたちを刺激し、惹きつけるのかもしれない。

『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座・新宿シネマカリテほか全国にて公開。

『桜の樹の下』はポレポレ東中野ほか全国にて順次公開。

『海よりもまだ深く』は5月21日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。

《シネマカフェ編集部》

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