【インタビュー】知英、女優として自分らしく生きる覚悟を「自分を信じて歩んできた」

切なさで胸が締めつけられる一方通行の恋。誰もが経験したことがあるだろう。でも、そのカタチは人それぞれ。映画『全員、片想い』…

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『全員、片想い』知英/photo:Nahoko Suzuki
『全員、片想い』知英/photo:Nahoko Suzuki 全 12 枚 拡大写真
そんな知英さんですが、片想いの経験は?「幼稚園の時にあります(笑)。実はうそじゃなくて、片想いの経験がないんです。誰かを好きになるのが、すごく難しいタイプで。向こうが私を好きだと確信が持てないと、あまり意識できない。それに、片想いって切ないですよね。そんなの耐えられない。もちろん、淡い片想いはあったと思うんです。この人が気になるな、ぐらいの。でも、映画みたいに、ここまで想いを寄せて、心が痛くなるような片想いはない。そういう思いはしたくないから、自分で感情を抑えていたのかもしれませんね」。

そんな彼女にも、いつか感情が抑えられないほどに好きになってしまう人があらわれるかも。「そうですね。覚悟はしておかないと(笑)。今回の映画で、片想いってすごく素敵だなと思いましたし。自分が出演した『片想いスパイラル』だけでなく、8つの物語すべてが素敵だった。片想いでもなんでも、恋するのは素敵なんだとあらためて感じました」。

そう言って、輝く様な笑顔を見せる。それは、今回の映画では封印されているのだが。
「そういえば、全く笑ってないですね! あまり意識していなかったけれど。ソヨンはあまり笑わない子かなと思ってはいましたが、特に監督から指示があったわけではないですね。あまり笑わない男性が、何かのきっかけで顔をくしゃっとさせて笑うとキュンと来るなと想像して、役に反映させました。ルームメイトで片想いの相手でもあるユキと2人のシーンで、ちょっと笑うんですが、まさにそんな考えを意識して演じました」。

ころころと表情を変える感情表現豊かな役ではなく、感情があまり表面に出ないソヨン。内に抱え込んでいるさまざまな感情を、微妙な演技で表出させているのが見事だ。「性同一性障害、外国での孤独な暮らし、その結果のユキとの出会い。ユキは、これまでの誰とも違う優しい視線を向けてくれた。そのことが、すごくソヨンの人生では大きかったと思うんです。だから、心はとても揺さぶられていたんだと感じました。それをどうすれば、静かにでも確かに伝えられるか悩みましたね。だから、撮影中に本番の途中でも、ユキ役の佐津川愛美さん、監督と気が済むまで話をしました。結果的には台本とそれほど違わないのだけれど、このタイミングで立ち上がるとか、手を伸ばすとかそういうこと。そのひとつひとつがソヨンの感情を表すものだったので、疎かにできなかった。みんなで悩んで悩んで作り上げた作品です。そして最後には、ソヨンが素敵な恋に出会えるように、運命の人に出会える姿を想像しながら演じていましたね」。

難しい役を演じきった今、女優としての大きな手ごたえを得たのではないだろうか。「まず、この映画のヴィジュアルが公開されたときに、“これ知英なんだ!”という驚きの反応がすごく多かったので、嬉しかったんです。この役になりきれたという意味で、少しは成功だったかなと感じました。いろいろな役をこれからも演じていきたいし、それができる女優になりたい。自分が信じるそんな目標にちょっとは近づいたんじゃないかなと思いますね」。
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《text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki》

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