【シネマモード】カンヌで賛否両論…N.W.レフン監督が挑発作を描き続ける理由
いま、世界の映画ファンから注目を集める俊英のひとり、ニコラス・ウィンディング・レフン監督。2011年にカンヌ国際映画祭で彼に監督賞をもたらした…
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監督の作品の中で、重要な意味を持っている音楽についてはどう捉えているのだろう。「デバイスとして、映画の中で音楽を使うことをとても楽しんでいるんだ。もちろん、音楽自体を聴くのも好きだ。同時に沈黙も愛している。世界で最も大きな音だから。音楽と沈黙のコントラストが、また好きなんだ。僕にとって、最大のインスピレーション源は音楽だ。物語をどう綴ろうか模索しているとき、音楽が助けになる。企画中のプロジェクトでも、ではこれは音楽だったらどんな風になるだろうと考えるんだ。楽器もできないし、楽器も弾けない、専門的知識は何もないけれどね」。
作品自体はもちろん、映画作りの発想からして、レフン作品が既存の枠を超えているのは明らかだ。「映画とは何であるかには興味はない。何が映画でないかに興味があるんだ。そうすれば発見があるから。すべてのクリエイティビティは、定義づけることを避けるべきだ。なぜなら、定義づけることによって神秘が取り除かれる。僕にとってクリエイティビティの半分は、その神秘によって成り立っているんだ」。では映画監督と定義づけられるのも嫌い?「職業欄に“director”と書くのは苦手だね。そもそもその意味するところが、自分にとって腑に落ちていないから。それに、人が映画監督と呼ぶような領域に、自分が達しているかどうかもわからないから恥ずかしさもあるし。だから、どこかで職業を書かなくてはならないときは、“unidentifiable (正体不明)”としておくよ(笑)!」
映像作家として、「自分のフェティッシュを形にして生きていくことをとても楽しんでいる」と語るレフン監督。「でも、その他の部分は現実世界に即して生きている。妻、子供は何より大切だというのは間違いない。ただ、僕は欲望に正直に生きていくことしかできない。だから、現実とフェティッシュのバランスをどうとっていくかを、長いこと模索してきた。クリエイティビティとは、その人の欲望の延長線上にあると思うからね」。
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