ラインナップの目玉は、何と言っても「The Handmaid's Tale/ザ・ハンドメイズ・テイル」(原題)。先頃のエミー賞でドラマシリーズ部門の作品賞、主演女優賞などに輝いた話題作です。原作はマーガレット・アトウッドの同名小説で、舞台はアメリカ合衆国が様変わりした近未来。女性の権利を奪われた世界で、子孫を残す道具として扱われる主人公の苦闘が描かれていきます。その主人公オブフレッド役で主演女優賞に輝いたのが、実力派のエリザベス・モス。授賞式では彼女が主演女優賞の受賞スピーチを行った直後に作品賞の受賞も発表され、舞台裏から再度壇上に上がって仲間と共に受賞を喜ぶ姿が印象的でした。
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ただし、「ザ・ハンドメイズ・テイル」の配信は2018年予定。まだ先ですね…。そこで、原作小説を読みながら配信日を待つのも一案ですが、せっかくだから何か海外ドラマを見ながら待ちたいという方は、エリザベス・モスが出演し、エミー賞作品賞に4度輝いている「マッドメン」(Huluで全シーズン配信中)をどうぞ。

60年代アメリカの広告業界を舞台にした作品で、エリザベスは業界をのし上がっていく女性コピーライターのペギー・オルセンを演じています。“女性”とあえてつけたのは、「マッドメン」が男尊女卑の色濃い時代の物語だから。「ザ・ハンドメイズ・テイル」のオブフレッドのようにSFとして誇張した苦闘が描かれるわけではありませんが、「マッドメン」のペギーも男社会で当然のように軽んじられています。そんなペギー役でも、エリザベスはエミー賞に6度ノミネート。ときの運もあって受賞は一度もなりませんでしたから、今回の受賞はさぞ嬉しかったことでしょう。

また、「マッドメン」ではペギーが既婚の同僚と関係を持ち、子どもを産みます。その相手が、ヴィンセント・カーシーザー演じるピート・キャンベル。ちょっと面白いことにヴィンセントは、エリザベスが「ザ・ハンドメイズ・テイル」で共演するアレクシス・ブレデルの実生活の夫でもあります(アレクシスも「マッドメン」に数話出演していて、共演をきっかけにヴィンセントと結婚!)。そのアレクシスは「ザ・ハンドメイズ・テイル」の中でオブフレッドの侍女仲間オブグレンを演じ、大熱演でエミー賞ゲスト女優賞を受賞。

オブフレッド同様、オブグレンにも劇中では過酷な運命が待ち受けていて、クリエイターのブルース・ミラーが作品賞の受賞スピーチで「ローリー・ギルモアを酷い目に遭わせてごめんなさい」と茶目っ気交じりに謝罪していました。ミラーの言う「ローリー・ギルモア」とはもちろん、アレクシスが大人気ドラマ「ギルモア・ガールズ」で演じたヒロインの名前。「ギルモア・ガールズ」はNetflixで全7シーズン&特別編が見られますので、こちらもチェックしておくとクリエイターが謝罪した気持ちがわかるかも!