実はリドリー・スコット監督が手がけた前作『ブレードランナー』もまた、公開された1982年当時は、その先鋭的な内容とテーマ性が「難解」だとされ、興行が伸び悩んだ。
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いまではSF映画の金字塔として、幅広いジャンルに多大な影響を与えているだけに、当時の不遇は、早すぎた傑作ゆえの受難といえるかもしれない。同作が残した余白と余韻もまた、賛否両論を巻き起こしたが、ファンが長年議論を重ねることで、結果的には、作品をより豊かで特別なものにした。
『ブレードランナー 2049』もまた、明るく軽快なエンターテインメントではないし、1度見ただけで、すべてを理解しきれないハードルの高さはあるかもしれない。
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それでも、前作が提示した「結局、人間性って何?」という哲学、そして地球の未来に警鐘を鳴らす世界観は35年経っても劣化することはなく、レプリカント(人造人間)の実現にリアリティが増し、人工知能も進歩を遂げた現代だからこそ、そのメッセージはより身近な警告として響いている。見終わったら、自分なりに解釈し、誰かと意見を交わさずにはいられないはず。それが可能なのは『ブレードランナー2049』が前作に負けず劣らず、奥深い傑作だからこそだ。
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その立役者が『メッセージ』も話題だったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督であるのは言うまでもない。今後はSF作家フランク・ハーバート氏の小説「デューン/砂の惑星」の再映像化でも手腕を振るうことが決定しているが、同作はかつてスコット監督も演出に意欲を見せていた壮大なプロジェクト(それが頓挫した結果、生まれたのが『ブレードランナー』だ)。そんな運命にして必然的なバトンの受け渡しも、非常にドラマチックだ。“次世代への継承”は『ブレードランナー 2049』の重要なテーマにもなっている。
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