■『シェイプ・オブ・ウォーター』は「いちばん大好きな作品」
今年のアカデミー賞で最多13部門にノミネートされ、4冠を達成した本作。米ソが冷戦を繰り広げていた1962年、政府の極秘研究機関で清掃員として働く女性イライザと、そこで出会った“不思議な生き物”が運命の愛を織りなすファンタジックなラブストーリーだ。

「奇妙で寓話的なテイストが強い映画だし、完成するまで『どんな映画なの?』って不安がる声もあった。だからこそ、監督として、テーマや題材に信念をもつことが一番大切だったんだ。実際、『シェイプ・オブ・ウォーター』は、自分なりの美意識と詩的なパワーを詰め込んだ、いちばん大好きな作品なんだ」とデル・トロ監督。ちなみに、2番目に好きな自分の作品は、『デビルズ・バックボーン』(2001年製作)だといい「公開当時はまったく評価されなかったけど、そんなこと、全然気にしていないよ」
■「僕は大人になったんだ!」とドヤ顔、その理由は?

来日するたび、秋葉原や中野ブロードウェイといった“聖地”に立ち寄っては、日本のアニメや特撮関連のグッズを大量に買い込むことで有名なデル・トロ監督。今回もさぞや、買い物したのかと思いきや、「中野ブロードウェイに行ったけど、何も買わなかったよ!」と驚きの発言。さらに「僕は大人になったんだ!」とドヤ顔まで!
「それくらい、僕は『シェイプ・オブ・ウォーター』という作品に、満足感と達成感を得たんだ。何かを買うとか、そういう物欲が抑えられるくらいにね(笑)」 うーん、ファンとしては少々さみしい“成長”だが、「これからも、誰もが楽しめるエンターテインメント全開の作品もたくさん作るから、安心してよ」と笑顔で語ってくれた
■「ちょっと待って…、いま口の中に」取材中にもぐもぐタイム

デル・トロ監督はインタビュー中、記者の質問に熱心に耳を傾け、それに対する回答も真摯かつウィットに富んでいて、何より作品に対する愛があふれている。ただし、通訳さんが回答を日本語に訳す“待ち時間”だけは、テーブルに並んだ薄焼きせんべいや、海苔巻きあられに手を伸ばしては、もぐもぐタイム(笑)。
写真撮影の際に、「じゃあ、次は笑顔でお願い!」とオファーを出すと、「ちょっと待って、いま口の中に、お菓子が残ってるから」と申し訳なさそうな表情。さっき「僕は大人になったんだ!」って言ったばかりなのに…。そんな飾らない人柄は、アカデミー賞監督になっても変わらないと願いたいし、実際、変わることはないはずだ。
『シェイプ・オブ・ウォーター』は全国にて公開中。