そんな彼らの姿は眩しいばかりだが、とはいえファンとしては、やはり「ワン・ダイレクション」としての彼らも見たいところ。そこで、今後への期待と願いを胸に、改めて「1D」の軌跡をふり返ってみたい。
■オーディション番組「Xファクター」でグループ結成!
始まりは、英オーディション番組「Xファクター」から。歌手志望の参加者が歌唱力を競う「Xファクター」に、リアム、ルイ、ナイル、ハリー、そして、2015年にグループを脱退したゼイン・マリクが参加。顔見知りですらなく、それぞれ個人で参加していた5人はいわゆるライバルの立場にあったが、審査の過程で全員脱落。しかし脱落直後、5人に可能性を感じていた名物審査員サイモン・コーウェルの指示でグループを結成し、引き続き「Xファクター」での優勝を目指すことになる。そのときについたグループ名が、メンバー最年少のハリー発案による「ワン・ダイレクション」だ。
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残念ながら優勝は叶わず、第3位に留まった「ワン・ダイレクション」。しかし、もともと歌唱力自慢の5人が力を合わせて披露するエネルギッシュなパフォーマンスはもちろん、番組のカメラがとらえたキュートなオフショットも話題に。最年長であるリアムのお兄さんぶり、ルイとハリーの仲睦まじさ、ナイルの愛されキャラ、ゼインのシャイな笑顔。そのすべてが世界中の女性を夢中にさせ、「Xファクター」を高視聴率に導く要因ともなった。
■全英・全米チャートを席巻!たちまち世界的スーパーグループに
そんな彼らの人気が放っておかれるはずもなく、オーディション終了後の2011年に念願のデビュー。デビューアルバム「アップ・オール・ナイト」は全米チャート第1位に輝き、瞬く間に「ワン・ダイレクション」は全世界に知られるスーパーグループとなった。

その後も2ndアルバム「テイク・ミー・ホーム」、3rdアルバム「ミッドナイト・メモリーズ」、4thアルバム「FOUR/フォー」が英米のチャートで第1位を獲得するなど、記録づくしのグループであるのは確かだが、もちろん彼らの魅力は記録だけで語れない。「Xファクター」時代からフィーチャーされ続けた歌唱力は、アルバム制作に並行して行われたライブ活動を重ねてよりパワフルかつシャープに。ポップソングやロックチューンでステージを駆け回ることもあれば、しっとりしたバラードで聴かせることも。
あえてベストモーメントを1つ挙げるとすれば、2013年11月幕張公演のアンコール時かもしれない。NTTドコモのCMでもおなじみの名曲「Story of My Life」を、マイクすら使用しないアカペラで披露。心憎いパフォーマンスで、静かに耳を傾ける観客を魅了した。
ハリーのセクシーな歌声も、リアムの透き通る歌声も、一度聴いたら忘れられない。全員がリードボーカルであり、全員の声がオンリーワン。それは彼らのパーソナリティにも言えることで、突如グループとなった彼らの個性はバラバラだが、なぜか5人が並ぶとしっくりくる。だからこそ、ゼインの脱退が発表された2015年3月、ファンは悲しみに暮れた。それから約1年後、グループが活動休止に入ったときは、もっと大きな悲しみが広がった。
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■ソロ活動に専念しながらも「1D」愛は消えていない
活動休止中はソロ活動に専念。その言葉を、彼らは生真面目なほどに守っている。4人の活動をそれぞれ完璧に追う「1D」ファンがいるとしたら、なかなか骨の折れることではないか。まず、真っ先にソロアルバムを発表したのがハリーで、2017年5月に「ハリー・スタイルズ」をリリース。その中の1曲であり、ソロデビューシングルとなる「Sign of the Times」はハリーらしさ溢れるドラマティックなメロディが愛され、世界84カ国のiTunesチャートで1位を獲得した。また、活動休止中のハリーを語る上で欠かせないのが、映画『ダンケルク』で俳優デビューを果たしたこと。オーディションを勝ち抜いて役をゲットしたばかりか、劇中では共演俳優たちに負けない堂々たる熱演を披露。作品世界になじみながら、確かな存在感を放つ俳優ハリー・スタイルズの次回作を期待する声は多い。
そんなハリーに続いてソロアルバムを発表したのはナイルで、2017年10月に「フリッカー」をリリース。「1D」時代にもギターを片手にライブを盛り上げていたナイルだが、彼の楽曲はプラチナ認定されたソロデビューシングル「This Town」をはじめ、キュートな顔立ちとのギャップに萌えるファンも多い低めボイスを生かしたナンバーが中心。「1D」時代とはまた一味違う大人っぽさとセンスのよさを見せている。
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アルバムこそまだリリースされてはいないが、リアムとルイも充実のソロワークを進行中。人気DJスティーヴ・アオキとのコラボで話題を集めたソロデビューシングル「Just Hold On」をはじめ計3枚のシングルを発表済みのルイはアルバムも今年中にリリース予定。そして、「1D」ソロデビューの最後を締めくくったリアムのシングルは、エド・シーランらとの共作。その「Strip That Down」は世界総売上枚数500万枚を突破し、“「1D」メンバーのソロシングルで最もヒットしたシングル”となった。また、映画界に縁があるのはハリーだけでなく、リアムはリタ・オラとのコラボ曲「For You」を映画『フィフティ・シェイズ・フリード』に提供している。ちなみに、リアムとルイは揃ってパパとしても活躍中の身。ルイはスタイリストのブリアナ・ヤングワースとの間に長男フレディーくんが、リアムは歌手シェリル・コールとの間に長男ベアくんが誕生している。
それぞれがそれぞれのスタンスで、“いまやりたいこと”に突き進んでいるメンバーたち。その一方、メンバーは各自のライブで「1D」時代の曲を披露し、「1D」愛が消えていないことを示している。来日公演だけに目を向けても、ハリーは先頃の公演でデビュー曲「What Makes You Beautiful」や5thアルバム「メイド・イン・ザ・A.M.」からの「If I could fly」などを披露。「1D」は5thアルバム発売後にライブを行っていないため、この選曲に涙したファンは多い。また、リアムは「POPSPRING 2018」で「1D」の軌跡をたどる映像を流しながら、休止前最後のシングル曲「History」などを披露。昨年の来日公演で4thアルバムの1曲「Fool’s Gold」を披露しているナイルが、6月の公演で「1D」の楽曲をプレイする可能性も高い。
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しかも、頼もしいのは、彼らがそれぞれの持ち味を活かしたアレンジで「1D」ソングを生まれ変わらせていること。ソロとしてスポットライトを浴びたことで、それぞれのカリスマ性も以前より増している。いつになるかはまだわからない。けれど、活動を再開した「ワン・ダイレクション」が、よりパワーアップしたグループになるのは確かだ。