続編製作も決定!サスペンス・ホラー『クワイエット・プレイス』が放つ斬新な試み

米映画批評サイト「ロッテン・トマト」で“95%Fresh”という脅威の高評価をたたき出した『クワイエット・プレイス』。すでに続編製作も決定しているという全米大ヒットのサスペンス・ホラーだ。

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『クワイエット・プレイス』(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
『クワイエット・プレイス』(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved. 全 9 枚 拡大写真
米映画批評サイト「ロッテン・トマト」で“95%Fresh”という脅威の高評価をたたき出し、公開されるやいなやSNSで“激押し!”の口コミが拡散したという『クワイエット・プレイス』。すでに続編製作も決定しているという全米大ヒットのサスペンス・ホラーだ。


舞台は音に反応して人間を襲う“何か”に支配されている世界。会話はもちろん、足音や笑い声さえも抑えながらの生活を強いられた一家のサバイブを、息もつかせぬ緊迫感で描いていく。

近年は、盲目の老人宅で強盗が戦慄の逆襲に会うショッキング・スリラー『ドント・ブリーズ』(2016年)、アフリカ系アメリカ人の若者が彼女の実家で絶体絶命のピンチに追い込まれる『ゲット・アウト』(2017年)など、新しい発想でつむがれたホラーがスマッシュヒットしている。どちらもジャンル映画の範ちゅうを超えたインパクトが絶賛されているが、本作もその系譜に連なる、ひと味違う斬新な試みが随所に盛り込まれているのだ。

とにかく設定が斬新!


本作では「音を立てたら、即死」という厳しい状況下にてストーリーが展開する。そのため主人公であるアボット一家は、手話やボディ・ランゲージ、そして光を使ったコミュニケーションで意思疎通している。


人類滅亡の危機に直面するも懸命に生き残る術を模索する父親リー(ジョン・クラシンスキー)と母性のかたまりのような母親のエヴリン(エミリー・ブラント)そして子どもたちのアボット一家。

エヴリンはもうすぐ出産を迎える妊婦で、長女のリーガン(ミリセント・シモンズ)は聴覚に障がいを抱えている。彼らは忌まわしい事故によって心に深い悲しみを抱えているが、これまで家族で手をとりあって過酷な環境を生き抜いてきた。


そんなアボット家に新たな命が誕生しようとしている。最大の喜びであるはずの赤ちゃん誕生が、一家に最大の危険をもたらすという矛盾…。この斬新で皮肉が効いた設定を見るだけでも、本作によってもたらされるスリルへの期待が高まることだろう。

会話に頼らないストーリー展開が斬新!


アボット一家は足音を立てないようにと、外出中であっても靴を履かずに素足のまま行動する。物資を確保するために訪れたスーパーでは爪先立ちで歩き、道には砂を細長くまき、食事の際のお祈りも無言で行うという徹底ぶり…。


彼らは目線や表情で感情を表現し、手話で日常生活を進めていくが、そんな風に会話を排除して暮らしながらもふとした瞬間に“音”が鳴ってしまうのは必然。そうした不確定要素が時に伏線、時にアクシデントとして複雑に絡み合い、会話はなくとも物語がぐいぐいと進んでいくストーリー展開は、まさに「斬新!」の一言に尽きる。

監督・脚本・出演・製作総指揮の4役を務めたジョン・クラシンスキーは、「脚本における大きな課題の1つは、未知なる“何か”に囲まれる恐怖に加えて、ほとんど言葉を使わずに、いかにしてフラストレーションや、不安や、悲しみや、反抗や、欲求や愛といった感情をかき立てるかだった」と語っているが、終盤、溜まりに溜まった緊張感の放出を皮切りに、散りばめられた伏線を回収しながら怒涛のラストへとつながっていく卓越した構成力に舌を巻くはずだ。

緩急の効いたBGMが斬新!


また製作にあたり、クラシンスキーは日常生活で生じる音を「安全な音」と「安全でない音」として詳細にリスト化。劇中ではそれらの“音”を効果的に使用することで“場”の雰囲気を完璧にコントロールしているが、その徹底ぶりはBGMにおいても同様のようだ。

本作では『3時10分、決断の時』(2007年)と『ハート・ロッカー』(2008年)の2度に渡りアカデミー賞にノミネートされた作曲家マルコ・ベルトラがサウンド・クリエイションに参加している。

しかし「この映画では音楽がキャラクターになる必要があると感じていたけれど、メインのキャラクターにしたくなかった。つまり、音楽の存在を感じさせたくなかったんだ」というクラシンスキーは、名匠が手掛けた数々の楽曲を控えめに使用し、アボット一家の静寂をキープ。


その一方で、あるシークエンスでは音楽がメインキャラクターとなってロマンティックな夫婦のひと時を演出するなど、緩急の効いたBGM使用で本作が描くテーマを強烈に印象づけている。

サスペンス・ホラーにして愛を描いた人間ドラマが斬新!


こうした練られた演出が随所に施されている本作だが、サスペンス・ホラーながら、<愛>を描いた人間ドラマである点も見逃せない“斬新ポイント”と言えるだろう。


劇中、大きなお腹を抱えたエヴリンは夫であるリーに「家族を守って!」と告げ、夫婦で困難な状況に打ち勝つ決意を新たにする。その言葉通り、彼らは身を盾にして子どもたちを守り抜こうとするのだが、そこに父にわだかまりを感じる娘の葛藤であったり、家族を守る男として目覚めの兆しを見せる長男の成長であったりという見ごたえある緻密な人間ドラマが交差する。

従来であれば恐怖が全編を支配するホラー映画において、本作は<恐怖>とともに夫婦や家族の深い<愛>がテーマとして鮮やかに浮かび上がってくるという驚嘆のハイブリット仕様となっているのだ。


エヴリンを演じたエミリー・ブラントとリーを演じたジョン・クラシンスキーは実生活でも夫婦として知られているが、実際に子を持つ親である彼らは本作に「子どもを守り抜く決意」と「子どもたちが自ら進んでいく力を育む」というメッセージを込めたと語っている。

圧倒的なパワーで迫りくる恐怖に対し、彼らは最後まで沈黙を守り続けられるのか…。斬新なアイディア満載の『クワイエット・プレイス』で描かれた、人類の明日に刮目せよ!

『クワイエット・プレイス』は9月28日(金)より全国にて公開。

《text:Miyuki Adachi》

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