実写版『キングダム』勝算は? 製作費は「日本映画最大規模」で中国公開も視野か

実写化決定の第一報から約半年。累計発行部数3600万部を超える原泰久の人気コミックを原作にした映画『キングダム』の主要キャストが10月9日、都内で行われた製作報告会見の席で発表された。主人公の信を演じるのは山崎賢人。果たして、本プロジェクトの勝算は?

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『キングダム』ポスター(文字なし)
『キングダム』ポスター(文字なし) 全 19 枚 拡大写真
実写化決定の第一報から約半年。累計発行部数3600万部を超える原泰久の人気コミックを原作にした映画『キングダム』の主要キャストが10月9日、都内で行われた製作報告会見の席で発表された。主人公の信を演じるのは山崎賢人。果たして、本プロジェクトの勝算は?

実写版『キングダム』製作報告会見

原作の原泰久氏が脚本に参加!「僕は5回泣きました…」


人気コミックの実写映画化において、一番のキモとなるのが脚本。長年、連載を重ねた原作の壮大な世界観を、およそ2時間の映画に収めるのは至難の業であり、結果的には“それっぽい”シーンをただ詰め込んだり、原作とは逸脱した“新機軸”に踏み込んだりと、ファンにとっては「コレジャナイ」作品に仕上がってしまうこともしばしばだ。

原泰久「キングダム」(C)原泰久/集英社原泰久「キングダム」(C)原泰久/集英社
『キングダム』実写化に関しては、原作者の原氏が脚本に参加(脚本としてクレジットされているのは原氏をはじめ、黒岩勉氏と佐藤信介監督)。製作報告会見では、以下の通り、原氏のコメントも発表された。

「実写化不可能と言われた『キングダム』が、ついに映画になります! 『激情』と『躍動』――。監督、役者の方々をはじめとした映画チームの本当に妥協なき取り組みで、原作に込めたテーマを見事に映画化していただけました。また、僕自身も脚本に関わらせていただけました。原作とは異なる場面の追加、改編、セリフを一から生み出したシーンもあり、早く皆さんに見てほしい気持ちでいっぱいです! 仮編集の段階ですが、僕は5回泣きました…(笑)。公開が本当に待ち遠しいです!」

原作者の太鼓判が、必ずしも作品のクオリティを保証しないことは、原作ファン、映画ファンなら一度や二度は経験済みのはず。それでも本作においては、原作者と映画化の距離感が非常に密接だと考えれば、世界観の崩壊という悲劇は起こりにくいのではないだろうか。

いま『キングダム』を撮れるのは、この人しかいない!


当然ながら、誰がメガホンをとるかは最重要ポイント。その点で、佐藤信介監督は「いま『キングダム』を撮れるのは、この人しかいない!」と断言できる人選だ。近年のフィルモグラフィーをふり返っても『GANTZ』『図書館戦争』両2部作、『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』『BLEACH』など話題作が多数。その特徴は、日本映画離れしたVFXとアクションの追求と、それらの融合を通したダイナミックなストーリーテリングである(製作報告会見の場で公開された約3分間の予告編&本編映像からも、その一端は垣間見えた)。


そんな佐藤監督は、製作報告会見の席で「まだ、完成に向けたポストプロダクションの段階ですが、大きな手応えを感じている。作品を送り出せるのを、いまから心待ちにしている」と自信を示した。「本作にいちばんふさわしい」(佐藤監督)中国での大規模ロケを敢行。製作費は非公表だが、佐藤監督によると「日本映画としては最大規模の予算」が投じられ、現地では中国のプロダクションとのコラボレーションも実現した。

ソニー・コロンビア・ピクチャーズが製作に参画しており、「日本的なファンタジー色もあり、中国の皆さんにも新鮮に見えるはず。ぜひ、中国の方々にも見ていただける機会があれば」という佐藤監督の発言からも、現段階で中国公開を視野に入れているのは間違いないはず。すでに『銀魂』が大ヒットを記録した巨大な中国市場で、勝負に打って出る価値は大いにあるだろう。

佐藤信介監督 実写版『キングダム』製作報告会見佐藤信介監督

キリがないキャスティングの賛否、ファンの意識に変化も


主演を務める山崎さんについては、2年前に制作された『キングダム』連載10周年記念動画にも主演していたため、現時点でSNSなどでは「やはり…」という意見が多数を占めている。もちろん、「役柄に合っている」という肯定意見、「またあ?」という否定的な声が入り混じってもいるが、「そもそも、生身の人間が演じる以上、キャスティングについて議論してもキリがない」というファンの意識変化もあり、以前のような激しい拒絶反応は見受けられない。

『キングダム』ポスター(文字あり)
何より、さまざまな実写化作品で主演を張り続ける山崎さんの“意地”と“覚悟”こそが、『キングダム』実写化という巨大プロジェクトには必要不可欠。柔和で穏やかなイメージが強い山崎さんだが、『キングダム』製作報告会見の席では「こういう仕事をしていますので、僕自身もどんどん上がっていきたい気持ちがあります。なので、信にはとても共感しました」と役柄に自身をシンクロさせながら、静かな野心を燃やしていた。この“役柄への共感”は、ときに俳優を大いに覚せいさせる。山崎さんにとって、実は本作が大きな転換点になる可能性があるのだ。

また、他キャストに目を向けると、特に吉沢亮(後の秦の始皇帝となる若き王・えい政)、本郷奏多(成きょう役)に対する「ハマっている」「やばい」の声が数多くあがっており、早くも盛り上がりを見せている。長澤まさみ(楊端和役)、橋本環奈(河了てん役)ら女性キャストの躍動。大沢たかお(王騎役)、高嶋政宏(昌文君役)らベテラン勢も参戦し、層の厚いキャスティングが、壮大な時代スペクタクルに命を吹き込む。本編が完成していない現段階では、まだまだ判断材料が乏しいが、もしも実写版『キングダム』が興行的な成功を収めれば、長らく続く「実写邦画の低迷」を打破するかもしれない…。そう期待させるだけの好条件はそろっている。

実写版『キングダム』製作報告会見実写版『キングダム』製作報告会見に登壇したキャスト陣

《text:Ryo Uchida》

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