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【インタビュー】サンドラ・ブロックが愛を感じるとき「私は彼らの母親になる運命だった」

スター女優の圧倒的なオーラを放ちながら、それでいて気さく。かつては“隣のお姉さん”的存在として語られることもあったサンドラ・ブロックだが、ならば『バード・ボックス』の彼女は“隣のお母さん”と呼ぶべきだろうか。

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Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
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スター女優の圧倒的なオーラを放ちながら、それでいて気さく。かつては“隣のお姉さん”的存在として語られることもあったサンドラ・ブロックだが、ならば『バード・ボックス』の彼女は“隣のお母さん”と呼ぶべきだろうか。ただし、劇中で彼女が身を置く状況はあまりにも過酷だ。演じる主人公マロリーは少年少女を連れ、終末世界をサバイブすることになる。生き残る術は、決して“それ”を見ないこと。“それ”を目にした者が次々と死に至る中、マロリーと子ども2人は目隠しをして逃避行を繰り広げる。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「私たちには素晴らしいアドバイザーがいたの。盲目の彼は、目以外の感覚を使うことを教えてくれたわ。彼は耳で、体で、見ることができる。おかげで撮影も後半になると、私は完全に目隠しをした状態で演じられた。撮影カメラに3回ほどぶつかったけどね。大抵はカメラマンがよけてくれたけど、一度なんて顔をぶつけた(笑)。でも、そういった出来事も、リアリティにつながったと思う」。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング

過酷な状況で母親を演じた苦労


「そんな私が子役たちをつかんで、文字通り引っ張っていたの」とやや申し訳なさそうにする姿から、マロリーの必死さや子どもたちとの複雑な関係が伝わってくる。マロリーは確かに“お母さん”だが、ステレオタイプの母親ではない。

「子役たちには、“これはお芝居よ!”と言う必要があった。“いまからあなたを強くつかんで、大声を出すから”とね。準備させ過ぎることはしたくないけど、それほど厳しい演技もあった。マロリーは“生きるために何をすべきか?”を考え、何でもする。だから彼女はときに厳しく、冷たい。そんな女性の強さや力は、これまでの映画の中では描かれてこなかった。でも、女性は“絆創膏を貼りましょうね”なんて常に言っているわけじゃないし、キッチンを不安げにうろうろし続けているわけでもない」。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
サンドラ自身、子ども2人の母親だ。マロリーほどの状況に直面する心配はしたくもないだろうが、子どもたちの人生に対しては「悲観的であり、楽観的でありたい」という。

「マロリーも私も、失敗を恐れている。私が失敗したせいで、子どもが傷ついたら? 毎日、そんなことばかり考えているわ。仕事をしていて電話が鳴ると、パニックになるもの。“学校で何かあったの!?”とね。マロリーもそう。防御を甘くして失敗した結果、子どもたちが傷つくのを恐れている。世の中には不安がつきものだから。私の子どもたちはアフリカ系アメリカ人で、難しい会話が必要なこともある。でも、私は彼らにこうも言いたいの。“人生がどれほど美しいかを見せるわ”とね」。

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実生活&ハリウッドを生き抜くサバイバル能力


そんなサンドラだが、「サバイバル能力には自信がある(笑)」とのこと。「私は世界の終わりが来ると常に考えている人間。軍用の食べ物や水の袋、薬、毛布、犬の生活用品が入った防水のトランクを常備しているし、“火事が起きたら窓からどう外に出る? よし、梯子の位置は完璧ね”なんてシミュレーションもしている。準備は万全よ(笑)」と明かす。では、ハリウッドでのサバイバル能力は? 「まだここにいるわ。奇跡よね」。そう。主演映画の配信を前に取材を受けていること。それがすべてを物語っている。

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「大事なのは、ユーモアのセンス。自分自身に対してユーモアを持つことね。仕事には真剣に取り組み、自分自身にはあまり深刻にならない。そうすれば、様々な人間が一丸となり、仕事をすることの素晴らしさを味わえるわ。浮き沈みを感じることもあるかもしれないけど、すべてがまた戻ってくる。洋服の流行みたいにね。流行の外にいるときは、ただ待つの。そうすれば、また戻ってくる。そして、親切でいること。偉そうな態度を取らず、ディーバにならない。私たちはチームで仕事をしているのだから」。

「誰が見る」「映画にする価値」を常に考える


『バード・ボックス』しかり、『ゼロ・グラビティ』しかり。真摯に、冷静にキャリアを築いてきたサンドラの出演作では、エンターテインメント性とメッセージ性が心地よく融合している。こう指摘すると、「そう言ってくれてうれしい」と笑顔を見せる。

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「私たちはエンターテイナーなの。“素晴らしい役がほしい!”と望んで探したとする。素晴らしい役は見つかるわ。でも、誰も見ない作品なの(笑)。だったら、意味がないでしょう? 脚本を読むときは、“誰が見る? 1本の映画にする価値はある?”と考える。その点、『バード・ボックス』は理想的だった。私には未経験のジャンルだったし、観客にはスリリングなエネルギーをもたらす。そして、家族や親密さ、愛やサバイバルや人間性についてのリアルで複雑で美しいメッセージがあった。私たち俳優は演技やシリアスなものに自己陶酔しがち。けれど、映画はエンターテインメントなの。その重要性を年々感じているわ」。

子供を持って初めて“愛”を知る


映画がエンターテインメントである重要性。それを年々感じるようになった背景には、長いキャリアはもちろん、我が子の存在もあるようだ。「私はずっと自分自身を知っていたつもり。でも、子どもを持って初めて知ったの。誰かを愛すること、愛を感じることがどんなものか、自分は知らなかったとね。私は彼らの母親になる運命だった。人生で経験したすべてのことが、私を小さな2人へと導いたように感じるわ」と言い、「ある意味、私は子どもたちのために映画作りをしている」とも明かす。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「でも、彼らは『バード・ボックス』を見ていないわ。幼い彼らにはまだ早いから。見せて、怖がらせて、言うことを聞かせるのもいいかもしれないけど(笑)。彼らは私の映画に興味がないの。全くね。矛盾して聞こえるでしょうけど、それってちょっと素敵なことよ。息子には『ミニオンズ』を見せたけど、彼は私が声優をしているとは気づかなかった。もちろん、私の仕事を知ってはいる。けれど、彼らにとって私はママなの。家に帰ると、脚本やいろんなものが入った私のバッグに彼らは寄ってくる。目当てはお菓子よ。脚本じゃない。家にはないお菓子を私が持っているかどうか。知りたいのはそれだけなの」。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』は12月21日(金)より独占配信開始。

《渡邉ひかる》

映画&海外ドラマライター 渡邉ひかる

ビデオ業界誌編集を経て、フリーランスの映画&海外ドラマライターに。映画誌、ファッション誌、テレビ誌などで執筆中。毎日が映画&海外ドラマ漬け。人見知りなのにインタビュー好き。

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