芝居や歌、いろんなことに挑戦して「七変化できる自分を目指す」
「でも、まだまだ応えられなくて。もっと時間があれば、もっと応えられる気がする」とも。「ただ、それはありがたいことでもあるんです。求められるものが多ければ多いほど、自分がこの世界にいる意味が大きくなるから。忙しくてなんぼの世界というか(笑)」。
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もちろん、“意外性”と距離を置いているわけでもない。「えっ? これを片寄涼太がやるんだ! みたいなこともしたい」という。
「大事なのは、意図ですよね。僕にお話をくださる方が、受け手に投げかけたいものの中にある意図。それさえ押さえられれば、何でもやれるんじゃないかなって。“えっ?”という驚きの中に、必ず意味が出てきますから。言い換えるなら、自分の望みや好奇心だけに固執するのは避けたいし、そんな世界じゃないことも分かっているつもり。むしろ思い通りにならない中で、七変化できる自分を目指すというか。それに、24歳のいまは、どんな波も止める必要は全くないと思っていて。お芝居も、歌も、いろんなものを食べる時期。表現者としての自分を確立しきるのは、酸いも甘いも山盛り経験してからで遅くない」。
「新しい波はどんどんやって来る。いい波ばかりじゃないから見送ることもあるけど」。劇中の港は、ひな子にこう言う。その言葉が響いてくるのは、来る波にどんどんのるたくましさ、いい波に変える力強さが、いまの片寄さんにあるからだ。
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