惹かれやってきた結果「役者と言ってもらえるように」
ゴッホと絵画、ウィレム・デフォーと芝居。どちらも、美しい関係で結ばれている。
「その通りだと言いたいところだけどね。ただ、少し複雑なのは、そう言ってしまうと自分を評価することになりかねない。それは決して、健全ではないように思うんだ」。

「僕は演劇学校に通い詰めて役者になったわけじゃなく、ダンサー、アーティスト、建築家らが集うグループに所属し、プロとしての道を歩み始めた。人が夢を語るとき、それがモチベーションになるのは理解できる。でも、僕の場合は『役者になりたい!』と口にするよりも、人に惹かれ、状況に惹かれてここまで来た。その結果、役者と言ってもらえるようになった」。
「とは言え、いまの僕は64歳で、かれこれ45年ほど芝居を続けてきた。なのに、芝居と美しい関係を結べていなかったら悲劇だね! こんなにも時間をかけてやってきたのに、間違った道だったとしたら最悪だ(笑)」。

失敗を恐れず「行動すること」が後の評価に繋がる
生前のゴッホは評価を得られなかった。一方、ウィレム・デフォーは愛され、尊敬されている。本作ではヴェネチア映画祭男優賞を受賞。アカデミー賞主演男優賞候補にもなった。
「いい役者になるには、いい人間にならなくてはならない。皮肉なことにね。芝居をすることは、行動すること。そして、学び、思いやり、自分の感覚に挑戦を突きつけること。それがすべてだ」と語る彼の俳優人生は、ゴッホすら羨むものかもしれない。

「生活のために役を選ぶこともあるけどね(笑)。でも、そこもやはり、“人”と“状況”。興味を持てる相手となら、挑戦を突きつけてくる相手となら飛び込む価値はあるし、それを求める俳優人生だとも思う」。
「僕は冒険が好きだ。冒険には情熱的な人、聡明な人、謎めいた人と出掛けたい。それさえ叶えば、たとえ作品が失敗しても大丈夫。興味深い体験はできたのだから。糧となるものは、進みたい道とは逆の方向にあったりもするしね。キャリアは後からついてくるものだと思う」。
