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ひとりの勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性暴力を働いていたという事実が白日の下にさらされた。
この度解禁されたインタビュー特別映像では、本作で描かれた3人の被害者のうちの2人、フランソワ役のドゥニ・メノーシェとエマニュエル役のスワン・アルローが本作への思いを語っている。
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メノーシェ演じるフランソワは、教会側に宣戦布告するなど闘志あふれる被害者。オゾン監督はキャスティング理由として「彼のエネルギー、目に見える力強さがフランソワにぴったり」と語る。
本作で描かれた性的虐待と信仰について、「聖職者による事件が明るみになった時、別の地域や国でも同じ事例が判明した。真実が語られることを願っている。宗教を重んじる人にとって信仰はとても重要だ。信仰とは世界をよくするもの。問題があるなら議論すべきだ」とあくまで本作の意義は断罪ではなく、問題について議論していくことだという。
また、『危険なプロット』に続いてのオゾン監督作への出演に「見事な脚本だった」と賛辞を惜しまない。本作の、声を上げた被害者から次の被害者へとバトンを渡していくような構成には「人から人へ物語が手渡されていく。彼らが何をやりたいのかがよく分かる。事態が変わるかはわからないが、議論の場には上がるだろう」と希望を込めて語っている。
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続いてオゾン監督が、『ブラッディ・ミルク』を観て「感性の豊かさと脆さがぴったりだと思った」と配役理由を語るスワン・アルローは、肉体的にも精神的にも虐待のダメージを深く負ったエマニュエルを演じている。
役柄について「自分が演じる(実在の)人物には会わなかった。会えば真似をしたくなる。“脚本を元に演じてほしい”と、監督は強く願っていた」と、事実の綿密なリサーチの上に執筆した脚本を信じ、劇映画としてイマジネーションの広がりを俳優に託したオゾン監督の思惑を明かした。
本作については「(事件について)テレビやラジオで聞くことは単なる情報にすぎない。当事者の人生をよく知ることで、本当の苦しみが見えてくる。その役割を本作が果たすことを願う」と、自身の願いを語った。
フランスでは連日テレビやラジオで報道され、誰もが知る「プレナ神父事件」を基にした本作は、公開されるやいなや91万人を動員する大ヒットを記録した。事件のあらましだけではなく、その内部に観客を導き、心揺さぶるヒューマンドラマとして魂を吹き込んだ2人の熱演を劇場で確かめてほしい。
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』は7月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。