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【インタビュー】別所哲也×『この場所の香り』榊原有佑監督 コミュニケーションが企業と生活者をつなぐ――ブランデッドムービーの未来

ブランデッドムービーとは何か? ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)代表を務める俳優の別所哲也はこんな解釈を加える。

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別所哲也&榊原有佑監督『この場所の香り』
別所哲也&榊原有佑監督『この場所の香り』 全 12 枚
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ショートフィルムは「一言に深みを持たせられるように」強く意識


劇中、オフィスでの仕事に加えて、涼子の家庭の様子も描かれており、特に娘との会話が重要な位置を占めている。仕事と家庭のバランス(ワークライフバランス)といった昨今の社会の変化を短い作品の中に巧みに描き出しているように見えるが、榊原監督は「決してそこを意識して作ったわけではなかった」と明かす。

榊原監督:打ち合わせの段階でそういう話は出たかもしれませんが、決してそこを強く意識したわけではなく、映画的なつくりとして、主人公が悩みや葛藤を抱えながら「どこ」でその答えに気づくか? と考えたとき、自然と家庭での娘のやりとりにたどり着いたんですね。

別所:娘との会話は見ててドキッとしました。「ママは? やりたいことができてるの?」って。自分が娘にそう言われたら…と想像して、「いや、もちろん幸せなんだけど…」と「YES」と答える前に少しだけ言い淀む自分がいそうな気がして(苦笑)。

それから【See you篇】で、牧野がカフェオレを飲もうとするシーンもすごく好きです。木野が「牧野さんがカフェラテって珍しいですね」と言って「いろんな味を試してるんだ」って。すごく短いやりとりの中で、彼らの距離感や関係性、人間性が見えてくる。さりげない日常の会話の積み重ねが、実は選び抜かれているんですよ。

「この場所の香り」『この場所の香り』
榊原監督:これは長編映画でももちろんそうすべきなんですが、ショートフィルムを撮る際はより一層、セリフをなるべく短く、でも洗練されたやりとりになるように、一言に深みを持たせられるようにというのは強く意識しています。

別所:ショートフィルムって、無駄なところがハッキリと見えちゃうんです。「画家のデッサン」という言い方をしますけど、作り手の意図やむき出しの骨格がハッキリと透けて見えてくるので、そこは気を付けないといけないところなんですよね。

ブランデッドムービーにおいて大切な「共感」であったり、「違和感」みたいなものが見え隠れするんです。この作品はそこが絶妙で、日常の会話や表情に、それぞれの登場人物が大切にしていることや戸惑いが凝縮されているんです。

別所哲也
他人のミスのせいで残業しないといけなくなった涼子が「いいよ」と引き受けるシーンで、隣に座っている同僚が一瞬だけ映るんですよね。何も言わないけど表情だけで「頑張りすぎてない?」と心配しているのがちゃんとわかる。そこで見ている人が、自分に置き換えて「あぁ、わかる」って共感できるんですよね。

娘が「笑ってるママが好き」って言うところも泣けちゃいます! じわーっと泣ける感じ(笑)。ブランデッドムービーとして、“ターゲット”の心をしっかりと掴むシーンですよね。

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《シネマカフェ編集部》

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