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先日、撮影がクランクアップを迎えたという報告とともに、出演キャスト21名の“身体の一部”を映したビジュアルが解禁された本作。出演キャストの顔はまだ分からないものの、豪華キャストの競演と前作以上の衝撃を予感させるビジュアルが話題となっている。
そんな本作では、メガホンをとる白石和彌監督から「みんなが楽しい、働きやすい環境で映画を作りたい、という思いが強く、今回のリスペクト・トレーニングを『孤狼の血II』(仮)の撮影前に全員で勉強したい」と東映に提案したことにより実現。日本における映画会社としては初の試みとなった。
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リスペクト・トレーニングとは、日本では主にNetflix製作の作品で実施されているもので、約1時間にわたり、「差別」や「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」の定義や、受けた場合の対処法などが説明される講習。今回の講習は職場でのハラスメント対策をサポートしてきた「ピースマインド株式会社」によるもので、実際に撮影現場で問題が発生した場合の対処方法なども資料とともに解説された。コロナ禍ということもあり、リモートで実施された。
■「連鎖を断ち切ることが重要」と白石監督
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白石監督は、このリスペクト・トレーニングを受けるという決意をした理由について、「自分の出来る範囲の中で、セクハラ・パワハラなどのハラスメントをしないようにしようねと声を掛けてきた。勿論人間なので、感情的になってしまうときは絶対にある。こういった研修はスタートするきっかけがないといけないので、今日がいい機会になったと思う」と語る。
その一方で、「とある監督が現場で怒鳴るとか、1人の俳優以外とはコミュニケーションをとらないという話も聞いたことがある」といった映画界の“慣習”にも触れ、「自分の作品だけで行っているだけでは変わらない。今回の実施をきっかけにマスコミの皆さんにも是非広げていただくことで、日本の映画界にとっていい広がりになるのではないかなと思っています」と訴えかけた。
さらに、監督自身の経験として「監督が黒いカラスを白だといえば白といわなければならないと思っていましたね」とも話し、日本映画界においてハラスメントが起きやすい原因として「上下関係ですかね?」と言う。「基本フリーで、口約束で仕事を貰うみたいなところがあると思うので、告発したら次に繋がらなくなってしまうということもある。そういったハラスメントを今まで受けてきた方たちがいらっしゃるので、連鎖を断ち切るということが重要だし、そのタイミングは今なのではないかなと思っています」と思いを語る。
■「当たり前に尊敬される職場、自慢できる職場であってほしい」
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「日本の映画界って貧しくて、とにかく時間がない。撮れなかったら現場の責任・監督の責任みたいになってしまうところも問題点の一つだと思います。そもそも働く環境から変えないと、日本映画は世界で戦えないと、僕自身何年か映画を作ったり見たりしている中で強く感じています。当たり前に尊敬される職場、自慢できる職場であってほしい。そういった豊かな環境にしていかないと、日本映画界は変わらないと思います」と、日本映画界が抱える根深い問題点にも言及する白石監督。
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ハリウッドでは映画やドラマの撮影前に、スタッフに向けた講習が行われることは習慣化してきている。今後の課題として白石監督は、「続けていかないと意味がないので、まずはこの講習の内容を浸透させ、現場が変わったということを感じてもらえるようにしたい。若い人たちが映画界から居なくなっているので、今後もみんなで考えてやっていき、いい業界に変えていきたいと思っています」と力強く目標を語った。
正義や悪、モラルの在り方を描いた『孤狼の血II』(仮)という作品において、ハラスメントの問題点に言及するリスペクト・トレーニングを実施することは、今後の日本映画界の在り方を考える上で大きな意義がある取り組みとなるはず。そして今後も定着させていくことが、映画業界のリテラシー変革へとつながっていくことになるだろう。
『孤狼の血II』(仮)は2021年、全国にて公開予定。