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【インタビュー】橋本愛が語る日本映画の今と未来「心や感性を育てることが大きな役目」

様々な意味で“変革”の意味合いが強い今年の東京国際映画祭。その“顔”であるフェスティバル・アンバサダーを務めるのは、橋本愛だ。シネフィルとしても知られる彼女に、映画祭への想いや、映画界が変革していくべきことなど、じっくりと語っていただいた。

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映画館での映画体験が一番「情報を超えた体験」


――映画好きとしてももちろんですが、若年層へのリーチも期待されているかとは思います。「若年層の映画館離れ」については、どのように受け止めていらっしゃいますか?

いちばん腑に落ちたのは、例えばスマホだったり家で映画を観る行為そのものは“体験”ではなく、情報を受け取っているに過ぎない、という意見です。私はなかなか家で映画を観る気になれなくて、映画館という空間や、席を立てないという制約が私にとっては大事なんだなと感じます。映画館で観ることで情報を超えた体験になるし、人生の一部のような2時間を過ごせた、という感覚が大きいんだなと。

あとは、一つひとつにお金を払うことですね。例えばサブスクのように定額で何本も観られるというのはすごくお財布に優しいし、生活的に厳しい人でも文化に触れられるというのはとても素敵です。でも私自身は何に対しても、対価を払った分しか受け取れないと考えています。だからやっぱり、自分の一番の血肉になるのは映画館での映画体験なんじゃないかと思います。

――特に映画祭だと、劇場公開時はミニシアターで上映される作品が、巨大なスクリーンで観られるのも大きなメリットですよね。

そうなんですよね。それは本当に大きいなと思います。ミニシアターで映画を観ていて「小さいな…」と思う時もありますし(笑)、独特のにおいや、同じ部族で観るみたいな感じがありますよね。それはそれですごく好きなのですが(笑)。

――確かに、ミニシアターだとお客さん同士が顔見知りになることもありますし、妙な連帯感がありますね(笑)。

(笑)。あとは映画祭だと、海外の方々と一緒に観る体験が面白いです。反応が全然違いますよね。私はコメディだったり、面白いシーンを観ると結構声を出して笑ってしまうのですが、日本だと静かに観る方が多いから「自由でいいものだと思っていたけど違うんだ。気を付けよう」と思うきっかけがあったんです。そんなときに映画祭で、海外の方と一緒の空間で観たら本当に皆さん自由で、すごく楽しかったんですよね。

――今回のアンバサダー就任もそうですし、「THE FIRST TAKE」等も含めて、近年より多角的に活動されている印象があります。ご自身が今後やってみたいことなどはありますか?

いま、自分がこの数年間求めていた感覚というか、脱出する感覚があります。今も十分充実しているし幸せなのですが、「出口が近いな」と光が見えてきたんですよね。それは音楽をさせていただいていることも大きくて、音楽をできる時間が、ものすごくお芝居に還元されていると感じます。最近だと、ダンスもやりたいなと思っています。

自分にとって、お芝居自体が一番喉から手が出るほどやりたいものというよりも、歌とダンスがそれに近い天然の欲求なんです。その分野で表現できることで、お芝居も肩の力を抜いて最高のパフォーマンスが出せる。そういうサイクルがすごく良いなと感じます。

私は、音楽やダンスの教養も元々ゼロで、バレエやピアノを習っていたことは一切ないんです。だからこそ、自分にとっては“魂の解放”のようなところがあります。経験がなくても、環境に恵まれていなくてもできるんだ、ということを自分自身にも教えてあげたいし、私がそれを体現することで「自分も本当にやりたいことをやってみよう」と見てくださった方々にも思ってもらえるなら、すごく幸せです。

第34回東京国際映画祭は、2021年10月30日(土)~11月8日(月)より日比谷・有楽町・銀座地区にて開催。

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《text:SYO/photo:You Ishii》

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