不世出の天才シンガー、ビリー・ホリデイと合衆国の知られざる対決とその真実を明かすサスペンス・エンターテインメント『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』。この度、アメリカ合衆国が禁じた「奇妙な果実」を歌い、警官に追われるビリー・ホリデイをとらえた本編映像が解禁された。
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昨年11月24日(現地時間)に発表されたグラミー賞でも「最優秀映像作品コンピレーションサントラ部門」にノミネートされ、先に公開した韓国では「BTS」のVからの推薦も寄せられ、大注目されている本作。
解禁された本編映像は、1947年、フィラデルフィアのアール劇場。満員の会場に警察が並び構える異様な光景から始まる。緊張感漂う重々しい空気の中、ビリー・ホリデイ(アンドラ・デイ)がステージに立つと会場は一気に拍手と歓声に包まれる。「『奇妙な果実』を頼む」という声が飛ぶ中、ビリーが「奇妙な果実」を歌いだしたその刹那、警官が「やめさせろ」と動き始める。歌うことを止められていた夫のモンローを一瞥しながらも歌い続けようとしたビリーだったが、「逃げるぞ」とバンドメンバーに抱えられステージを降ろされる。「私はこの歌を歌うのよ。邪魔しないで!」とビリーが激しく叫び、観客と警官がステージに押し寄せる、というシーンだ。
このシーンは、観客には白人も多くおり、ビリーが歌う「奇妙な果実」が肌の色や身分の違いを超えていかに人々を魅了していたか、そしていかに合衆国から危険視されていたかが分かる本作の中でも特に象徴的なシーン。アンドラはその理由について、「彼女にはまるで磁石のように人を引きつける魅力がありました。そして、彼女はその力を利用して、アメリカの人種差別の恐ろしさ、リンチについて語ったのです。彼女には人々をひとつにまとめる力があり、当時の国の体制や(人種差別という)大衆文化に反駁したから、(当局が)あれほど怖がったのだと思います」と語る。
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そして「この歌に刺激されて、私たちには物事を前に進めさせる力が確かにあるのだと、どうか思い出してほしい」と力強いメッセージを送っている。公民権運動の音楽的出発点とも言われる「奇妙な果実」圧巻のフル歌唱シーンは、映画本編で確認できる。
『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』は2月11日(金・祝)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。