愛があっても、心から楽しめない諸事情…。続編はある?
2作目の後、『ファンタビ』シリーズの最重要人物のひとり、グリンデルバルド役の交代劇は衝撃的なニュースとなった。前任ジョニー・デップを巡る裁判は約4年にわたり泥沼化、ジョニーからDVを受けたと主張していた元妻アンバー・ハードとの名誉毀損裁判には勝訴するも、アンバーの訴えも一部認められジョニーにも賠償金支払いが命じられた(現地時間2022年6月1日)。
また、2作目以降は全米興行成績が伸び悩んでおり、本作の週末3日間のオープニング成績は『ハリー・ポッター』シリーズから合わせても過去最低の約4300万ドル。日本を含む世界各国では約1億5000万ドルで、トータル2億ドル(1億9300万)に及ぶヒットとはなっているが、コロナ禍とはいえ、アメリカ国内では関心が冷めてきている印象を受ける(BOX OFFICE MOJO調べ)。
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魔法ワールドの生みの親で、本シリーズの脚本家であるJ・K・ローリングのトランスジェンダー差別発言の影響もあるだろう。これにはハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフやハーマイオニー役のエマ・ワトソン、チョウ・チャン役のケイティ・リューング、そして『リリーのすべて』でトランスジェンダーの女性役を演じたニュート役のエディも非難を表明した。
続いて本作のプレミア直前には、クリーデンス役エズラの逮捕・保釈や接近禁止命令(後に取り下げ)が明らかになるなど、“純粋な気持ち”で楽しめなくなったと感じるファンは確かにいる。
「ハリー・ポッター」で育ってきた世代はもちろん、エディやジュードらの俳優ファンなども取り込んできた本シリーズ。全5作の予定ではあるが、これだけゴタゴタが積もれば、もしかしたら本作で見納めになる可能性だってある。ダンブルドアが「歴史的な日」と語った、魔法界と人間界が結ばれた愛に包まれたラストの結婚式は、そのままシリーズが幕を閉じてもおかしくはない終わり方ではあった。
ニュートやラリーが劇中で話したように、誰もが完璧ではない。過ちを正す努力をしてシリーズが無事完結できるよう、魔法ワールドの1ファンとして願っている。
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は全国にて公開中。
<small>【更新】6月1日 ジョニー・デップの名誉毀損裁判について追記しました</small>