次世代を担う若手映画作家の発掘と育成を目的に、映像産業振興機構(VIPO)が文化庁から委託を受けて2006年度より運営している「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」。2022年度も実施が決定し、監督募集を開始した。
ndjcでは、ワークショップや製作実地研修を通して、作家性を磨くために必要な知識や技術を学び、プロのスタッフ指導の下、本格的な映画製作や完成作品の発表機会を得ることができる。
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まず書類選考による一次選考を通過した作家たちは、講師(プロデューサー、脚本家、編集技師など)が指導する“ワークショップ”に参加する。ここでは同一課題・条件のもと撮影・編集した5分の短編を完成させ、上映と講評会をおこなう。ワークショップ参加者のなかから最終選考で選ばれた4名が、次のステップとなる“製作実地研修”へと歩みを進めることとなる。
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製作実地研修では、オリジナル短編映画を製作する。約1ヶ月をかけて映画監督や脚本家による脚本指導を受け、脚本を改稿していく。その後、制作プロダクションのもとで撮影の準備に入る。プロデューサーをはじめとしたスタッフの指導を受けながら打ち合わせを重ね、いざ撮影へ。経験豊かなプロフェッショナルのスタッフやキャストとともに映画を完成させていく中で、多くの学びを得られることだろう。さらに完成作品は映画館等で上映され、有識者による講評を得る機会も設けられている。
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映画業界関係者向けの合評上映会には、現役で活躍するプロデューサーらが多数足を運ぶため、あらたな出会いやチャンスの場として大きな可能性が秘められている。さらに一般の観客に向けた劇場公開も行われ、舞台挨拶や各地で応じる取材を通して宣伝活動を経験することができる。
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なお本プロジェクトに応募するためには、映画関係団体等からの推薦を得ることや年齢制限など要件があるので、詳細は公式サイトの募集ページを確認してほしい。
過去、本プロジェクトに参加した監督たちには、『浅田家!』中野量太監督、『ずっと独身でいるつもり?』ふくだももこ監督、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大監督、劇場版『きのう何食べた?』中江和仁監督など、現在映画界で活躍しているクリエイターたちが多数いることも、本プロジェクトの大きな魅力の一つだ。
ここでは、2014年に製作実地研修で『エンドローラーズ』を手掛け、その後『水曜日が消えた』(2020年)、『ハケンアニメ!』(2022年)と、立て続けに劇場公開映画を監督した吉野耕平監督に、ndjcに参加したことで得た気づきや、本プロジェクトの意義、さらには5月20日(金)に公開を控える『ハケンアニメ!』についてお聞きした。