《text:キャサリン/Catherine》
MCUドラマ第3弾が遂に登場。副題の“ザ・アトーニー(原題ではAttorney at Law)”とは弁護士のこと。これから弁護士としてさらなる飛躍を遂げる予定だった主人公のジェニファーが不慮の事故でハルク化する羽目に。今回はスーパーパワーへの向き合い方が一味も二味も違う方向性に1話目から期待が高まる。
直近の2作「ムーンナイト」と「ミズ・マーベル」ではじっくりとヒーローになるまでを描くパターンだったので、正直観る側としては今回もそうなんでしょ? と思う視聴者も多いのではないかと思われる。ただ、なんと今回は第1話から速攻主人公がハルク化してしまうところからスタート。ブルース・バナーの従兄弟であるジェニファーがどうやってハルク化する羽目になったのか、第四の壁を破り視聴者に問いかけながら進めるストーリー展開に開始早々心を掴まれる。しかも、現在配信されている第1話は当初第8話に持ってくる予定だったとのこと…(製作の裏側を想像するとゾッとするぐらいの大きな改変)。マーベルスタジオとしてもこの「シー・ハルク」ではこれまでと更に違った挑戦をしたいのだろう。
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また、本作は単純な「女性版ハルク」というだけでは決してないことを第1話から高らかに宣言しているようにも感じる。ブルース・バナーが先輩ハルクとして、自分自身がいかに苦労して自分の感情やアイデンティティをコントロールしたかをジェニファーに訥々と語るが、一方のジェニファーが、ナンパやマンスプレイニングを女性として生きている間中受けてきているから、感情のコントロールは慣れっこだと言い切るのも清々しい。弁護士として活躍する彼女が、女だから、新参者だから、劣っているという先入観をバンバン跳ね除け、ブルースを圧倒するのはアクションも含め観ていてワクワクする。
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何より主演のタチアナ・マスラニーがハマり役! 彼女のチャーミングで、自尊心が強く、自信に満ちたキャラクターにぴったりだ。そしてそんな彼女がヒーローになることを望まず、弁護士のキャリアに集中しようとすることも今までにない流れだった。唯一もったいない点としては、エンドクレジットシーンでも語られたスティーブ・ロジャースの童貞話は正直、今この時代に個人の性生活について語るやや下世話なシーンを入れる必要性があったのかは疑問に残る部分だった。いずれにしても、それ以外は40分弱と言う中で非常にテンポよくまとまった良いスタートだ。
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今回は直近2作よりも2話多い全8話予定の模様。VFXの都合から、そこまで常にハルク化できないという裏事情もあり、ドラマ部分も多めになるようだ。そう考えると、他作品とのクロスオーバー、特にすでに判明している「ドクター・ストレンジ」のウォンや「デアデビル」のマット・マードック以外も期待してしまう。MCUドラマはラスト2話くらいで畳みかけるように詰め込んで終わる傾向もあるが果たして今回はどうなるか。
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