※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【ネタバレあり】「キャシアン・アンドー」4話:反乱にも金が要る!? 壮大なロケにも注目

「キャシアン・アンドー」4話では、アルダーニという惑星で帝国の基地から、彼らの“給与資金”を奪う作戦に加わることになったキャシアン。反乱分子たちは資金調達が急務の様子で…

海外ドラマ コラム
注目記事
『キャシアン・アンドー』(C)2022 Lucasfilm Ltd.
『キャシアン・アンドー』(C)2022 Lucasfilm Ltd. 全 7 枚
拡大写真

前回の「キャシアン・アンドー」で、指名手配されたキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)は、買い取り屋を装ったルーセン・レイエル(ステラン・スカルズガルド)とともに惑星フェリックスを後にした。

ルーセンはキャシアンに問う。ここから再び逃げて捕まり絞首刑になるか、それとも大義のためにある重要な任務に手を貸すか。究極の選択を迫られたキャシアンは、ルーセンとアルダーニという惑星へ向かうことに。厳重警備の帝国の基地から、彼らの“給与資金”を奪う作戦に加わるが…。


これまでのSWドラマとは異なる、懐かしい目新しさ


ルーセンはもちろん、新たに合流したヴェル(フェイ・マーセイ)たち作戦チームの素性もよく知らぬまま仲間に加わることになったキャシアン。船を操縦でき、銃を扱え、何言語かを話せて、身寄りもない彼こそを“求めていた”とルーセンは話している。いわば、反乱の“駒”としてはぴったりというわけだ。

しかし、作戦決行は3日後とあまりに急な話で、おそらく寄せ集めの精鋭であるヴェルの仲間たちは動揺や猜疑心を隠しもしない。彼らも命をかけた作戦になることを重々承知しており、「彼は決意している人だと思う」というネミック(演じるのは「このサイテーな世界の終わり」『最後の決闘裁判』アレックス・ロウザー!)の言葉でようやく渋々納得することになる。

大義のために身を投じるとキャシアン自身は(まだ)宣言していないものの、彼の肝の座り方からヴェルやネミックたちは何かを感じ取っていたはず。すでにこの時点で、「君は連中(帝国)と戦って死ぬ」と『ローグ・ワン』での展開をルーセンに“預言”されているのも興味深い。

帝国とは、アルダーニような雄大な自然や、神秘的な歴史とその価値、定住していた人々の暮らしなどを度外視して、権力の拡大と支配のために聖なる川の流れをせき止め、兵器や物資・資金の大規模な中継補給基地を作りあげてしまうような連中だ。この辺りは、現実の肥大化するグローバル企業などとも近しいものがある。

舞台となる惑星アルダーニを表現した壮大なロケーションは、とにかくすばらしかった。実は「キャシアン・アンドー」は、これまでの『スター・ウォーズ』ドラマシリーズとは異なり、多くのシーンでロケ撮影や大規模セットでの撮影が実現している。「マンダロリアン」のために開発されたという仮想の背景を巨大なLEDスクリーンに投影させる「ステージクラフト」は確かに画期的な撮影技術で、観る者をすぐさま遙か彼方の銀河系にいざなってくれたが、その革新的技術を過信するようになっていた感は否めない。

今作では前回も、ロンドンのパインウッド・スタジオに建設されたフェリックスの大規模セットが迫力とリアリティにひと役買っていたし、今回は「ゲーム・オブ・スローンズ」を思い起こすようなスコットランド・ハイランド地方でのロケ。帝国のタイファイターの音を聞きつけたキャシアンとヴェルがとっさに岩場に隠れ、その上をタイファイター2機が飛んでいくシーンには、「これだ!」という忘れかけていた懐かしい感触があった。劇中で語られる神秘的な星ならではの出来事と“帝国の侵蝕”も、こうした光景を目の当たりにしたからこそ納得がいく。


反乱にも、資金が必要


一方、キャシアンと別れたルーセンがどこへ向かうかと思えば、久々に登場した旧共和国(現・銀河帝国)の首都にあたる惑星コルサント。反乱分子のブレインから高貴な古物商へ、ステラン・スカルスガルドだからこその一瞬の豹変演技も「待ってました!」といったところ。また、個人的希望も含むが、ルーセンの船のコンピュータが『ローグ・ワン』のK-2SOの声によく似ていたような気もする。

そして、ここで登場してくるのが、モン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オライリー)だ。やがて反乱軍のリーダーとなる、惑星シャンドリア選出の女性議員。夫への贈り物を選びに…とか言いつつ、ルーセンと密談する。アルダーニでは帝国兵士や職員の給料を横取りする作戦が行われようとする傍ら、ここでも「資金はあるけれど(いまは危険で)動かせない」とお金の話が出てくる。反乱分子たちが組織化し、帝国に刃向かえるだけの船や物資を備えるにはやっぱり先立つものはお金なのだ。

もはや「スター・ウォーズ」の看板がなくとも、今作は立派にスパイ・スリラーやパルチザンのドラマとして成立している。さらに、政敵と同じテーブルを囲めという夫に振り回されて外でも内でも戦うことになるモン・モスマには、韓国ドラマの財閥の女性たちさえ重なってしまう。

デドラ・ミーロ(デニース・ゴフ)に注目すれば、巨大企業で出世を目指して“身の丈以上の評価を望むな”と責められる女性の戦いともいえ(「オビ=ワン」ではリーヴァが同じことを言われていたような…)、シリル・カーン(カイル・ソーラー)はトラブルの対応に大失敗してしまった理想主義のエリートだ。

今回の脚本は、本作のクリエイター、トニー・ギルロイの弟で『ボーン・レガシー』『キングコング:髑髏島の巨神』『ナイトクローラー』などを手掛けたダン・ギルロイ。監督は、スカルスガルドとユアン・マクレガーが共演したジョン・ル・カレのスパイ小説の映画化『われらが背きし者』の女性監督スザンナ・ホワイト。この布陣で引き続き5、6話も手掛けるらしく、スパイ・スリラー&パルチザン・ドラマ(+お仕事ドラマ)の色あいはますます濃くなるだろう。

「キャシアン・アンドー」は毎週水曜、ディズニープラスにて独占配信中。


Disney+公式サイトはこちら

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

+ 続きを読む

特集

関連記事

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]