前作から15年「いつまでも幸せに暮らしました」には、続きがあった!
アニメーションで描かれたおとぎの世界から、現実のニューヨークに迷い込んだプリンセスが真実の愛を見つけるミュージカルコメディの傑作『魔法にかけられて』。あれから15年の歳月を経て、待望の続編『魔法にかけられて2』が「Disney+(ディズニープラス)」にて独占配信中だ。“Happy Ever After”(いつまでも幸せに暮らしました)で幕を閉じたはずの物語には、続きがあったのだ。さらに魅惑的に進化した最新作の魅力に迫った。
革新的だった『魔法にかけられて』
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まずは少しだけ、前作『魔法にかけられて』の魅力を振り返りたい。主人公は、アニメーションで描かれた美しい王国アンダレーシアで暮らす心優しいジゼル(エイミー・アダムス)。夢にまで見たエドワード王子との結婚式当日、彼女は魔女にだまされ、世にも恐ろしい世界へと追放されてしまう。たどり着いたのは、おとぎの世界とは正反対な現代のニューヨークだった。
大都会の冷酷さに戸惑うジゼルに手を差し伸べたのが、現実主義でバツイチの弁護士ロバート(パトリック・デンプシー)。動物とおしゃべりし、突然歌い出したり、家のカーテンでドレスを作ったり。そんなジゼルに最初は“引き気味”だったロバートも、時間をともに過ごすうち、その素直で心優しい姿に惹かれていくのだった。結末から言えば、冒頭で紹介した通り「いつまでも幸せに暮らしました」のハッピーエンド。
しかし、『魔法にかけられて』が革新的だったのは、そのプロセスで、いかにも“ディズニー”らしいジゼルの言動に鋭くツッコミを入れることもしばしば。ロバートがジゼルの純粋さに感化されると同時に、ジゼルもまた、現実的な考え方に触れることで、より複雑な感情を学び、「本当の幸せとは何なのか?」と模索する姿が公開当時、非常に新鮮なものとして、ファンに受け入れられた。
一体何が? ジゼルが“意地悪な継母”に変身!
そして、ファンが待ち焦がれた『魔法にかけられて2』でも、その革新的なストーリーテリングは健在。ジゼルとロバート、ロバートの娘モーガン、生まれたばかりの赤ちゃんは大都会ニューヨークから、新たな生活を始めるために郊外の町にお引越し。ジゼルにとって目下、一番の悩みはティーンエイジャーになった継娘・モーガンとの関係性だ。もともと、引っ越しに大反対だったモーガンとの衝突も日常茶飯事で、ジゼルはいつしか“何もかも思い通り”だった故郷・アンダレーシアに思いをはせ、魔法の杖を握ってしまう。
すると、移住した郊外の町は、歌と踊りにあふれたカラフルなおとぎの世界に大変身。願いがかなった! そう喜んだのも束の間、強力な魔法が原因で、純粋で可憐だったジゼルは、意地悪な継母(これもまた、ディズニーあるある)に変身してしまうのだった。
そんな本作で活躍するのが、成長したモーガン。多感な年ごろで、家族にも素直になれず、それでいて、自分の世界を切り開くには若すぎるデリケートな心情を、大抜てきされた新星ガブリエラ・バルダッチノが見事に表現して見せる。脚本の開発は数年前から始まっていたはずだが、ジゼルとモーガンの関係性を通して、くしくもコロナ禍で誰もが経験した“大切な人との距離感”がテーマに浮上している点も新鮮。通勤電車に揺られる働き方を見つめ直すロバートの姿も印象的だ。
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まるで「スター・ウォーズ」
貫禄ヴィランとの魔法対決は必見
そして、もうひとり忘れてはいけない新キャラクターが、郊外の町を牛耳る(?)“ボスママ”のマルヴィナだ。『リトル・マーメイド』のアースラ、『シンデレラ』のトレメイン夫人といった女性ヴィランの系譜を継ぐ貫禄を、人気コメディエンヌのマーヤ・ルドルフが、楽し気に演じている。闇落ちしたジゼルと繰り広げる魔法対決は、まるで「スター・ウォーズ」を思わせる迫力満点の必見シーンに仕上がっている。
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何よりうれしいのは、『魔法にかけられて』シリーズの魅力であるミュージカルシーンの数々。伝説的音楽家であるアラン・メンケンが前作から続投したことに加えて、舞台化もされた傑作ミュージカル『ヘアスプレー』や、合唱部の奮闘を描く『glee / グリー』シリーズを手がけ、著名なコレオグラフィーでもあるアダム・シャンクマンが監督に起用され、ミュージカル作品としての魅力が倍増した。
主演を務めるエイミーの可憐な歌声はもちろん、エイミー&マーヤの掛け合いが楽しめる楽曲「Badder」や、ガブリエラが自身の思いを歌い上げる「Perfect」など聴き応えも満点。ナンシー役のイディナ・メンゼル、エドワード王子役のジェームズ・マースデンの再登場もうれしい限りで、二人が歌う「The Magic of Andalasia」は文字通り、魔法にあふれた心踊るナンバーだ。さらにイディナのソロ楽曲「Love Power」は本作を象徴する一曲で、「アナと雪の女王」でのブレイクを経てさらに進化した歌唱力、表現力がいかんなく発揮されている。
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前作に引き続き、ディズニー作品へのオマージュ、いわゆる“イースター・エッグ”も随所に仕掛けられ、ますますパワーアップした。楽しみを奪わないため、本稿では具体的な作品タイトルは挙げないが、ディズニー作品のファンであれば、思わずニヤリとしてしまうオマージュがあちこちに仕掛けられており、何度でも見たくなるポイントになっている。
『魔法にかけられて2』を視聴する
(C)2022 Disney
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<提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン>