【ネタバレあり】「キャシアン・アンドー」12話:葬送曲が流れる圧巻のシーズン最終話、“普通の人々”が立ち上がる

「キャシアン・アンドー」のシーズン最終話となる12話、キャシアンの育ての母、マーヴァの葬儀が行われた「リックス通り」で民衆と帝国が激突した。

海外ドラマ コラム
『キャシアン・アンドー』12話(C)2022 Lucasfilm Ltd.
『キャシアン・アンドー』12話(C)2022 Lucasfilm Ltd. 全 8 枚
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「スター・ウォーズ」の実写ドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のシーズン最終話となる12話が配信。キャシアンディエゴ・ルナ)の育ての母で、惑星フェリックスの住民のリーダー的存在だったマーヴァフィオナ・ショウ)が亡くなり、帝国保安局:ISBのデドラ・ミーロデニース・ゴフ)監査官や、ルーセン・レイエルステラン・スカルスガルド)らはフェリックスの「リックス通り」で執り行われる葬儀にキャシアンが現れると踏んで待ち構える。

革命の目覚め、反乱軍の誕生に、一歩ずつ向かっていく本作。12話のポストクレジットには、キャシアンがナーキーナ5で作らされていた大量の部品が組み込まれ、着々と完成に近づく究極破壊兵器デス・スターも登場し、シーズン2への期待をさらに高めた。


主要人物が大集合した「リックス通り」に反乱の宣誓が響く


危険を顧みずにフェリックスに戻ってきたキャシアン。とあるレンガの壁の石に触れ、父クレム・アンドーゲイリービードル)との過去のやりとりを思い出している。前回説明されたように、フェリックスの習わしによって死者の遺灰はモルタルと混ぜられ、名を刻まれて死者の石として壁の一部になる。今度は、母マーヴァがその石となるのだ。

7話で、アルダーニの帝国基地を襲ったのは我が子キャシアンとも知らずに、“眠りから目覚めて”フェリックスで戦うことを決めたマーヴァ。「一緒にどこかへ行こう」というキャシアンに「逃げていては勝てない」とマーヴァは蘇った闘志を明かして、母子はそれきりになっていた。

そんな彼女のための葬送曲は壮大で、かつエモーショナル。住民たちが次々とリックス通りに集まってくる。その葬送曲は、監禁され拷問されて、やつれたビックスアドリア・アルホナ)の耳にも届いている。そのビックスのもとへ救助に向かうキャシアン。キャシアンの足取りを追うデドラたちISB、キャシアンを探すシンタヴァラダ・セス)やヴェルフェイ・マーセイ)、ルーセン、そしてシリル・カーンカイル・ソーラー)らの姿があり、緊迫は音楽とともに徐々に増してくる。

キャシアンはここに至るまで、4~6話で描かれたアルダーニの作戦で命を落としたネミックアレックス・ロウザー)の宣誓書を何度も聞いたことだろう。帝国の専制政治は恐怖の裏返しで、いつほころび滅ぶかもしれない恐怖から圧政を強めているのだ、とネミックが語りかける。忘れるな、小さな抵抗のさざ波が、やがて帝国を覆い尽くす洪水となる、のだと。その宣誓書や、父クレムの言葉、母マーヴァが最後に遺した言葉がキャシアンをここまで来させた。

さらに葬儀では、マーヴァのホログラムが「私たちは眠っていた。向き合いたくない真実から目を背けていた」と民衆に語りかけ、その間に「帝国の闇が錆のように広がり、自由を侵食してしまった」と語る。もう遅いかもしれなくても、目を覚まして戦うことを呼びかけるマーヴァ。帝国側も民衆の団結を恐れてキリキリとし始める中、「戦え!」という彼女の言葉が口火となり、フェリックスの民衆と帝国側が激突する。

それは例えば香港や、最近のイランでも起きている人々の戦いのよう。いまも実際に起きている蜂起そのものだ。キャシアンや、マーヴァの死者の石で帝国兵士を叩きつけていくブラッソ、父サルモン・パークを拷問で廃人にされたウィルモンなど、1人1人、名前を持つ者たちの権利と自由、愛、尊厳、歴史や文化を奪おうする者との戦いだ。このクライマックスの迫力、臨場感はやはりCGに頼り切りでは出せない。広大なセットならではだ。

民衆の心に炎を焚きつけた“フェリックスの娘”マーヴァに、「カッコよかったな」とボソッと呟くキャシアン。その後、ビックスやB2EMOたちを秘かに逃し、「君らのもとに戻る」と約束するキャシアン。さらには、一部始終を見守っていたルーセンの船に忍び込み、「殺すか、仲間にするか」と4話で交わした会話を逆に言い返すキャシアン。

今回のキャシアンは一匹狼を気取ることをやめ、“普通の人々”の連帯を促す立派な統率者にも見えた。マーヴァのように、彼も相当カッコいいじゃないかと誰もが感じたはずだ。


最高の「スター・ウォーズ」前日譚


広場で壮絶な攻防に巻き込まれたデドラは、シリルに助けられる。デドラにとって、反乱分子のまとめ役アクシス(ルーセン)へと繋がるカギだったアント・クリーガーの部隊をパータガス少佐アントン・レッサー)がアルダーニの報復として全滅させてしまったことは痛い。今回のフェリックスの“暴動”も全責任を負わされそうだ。彼女のISBでの立場はかなり危うくなったはずで、シーズン2ではシリルと2人でどんな形で登場するのか、気になるところ。

また、コルサントで人知れず動いてきたモン・モスマジェネヴィーヴ・オライリー)。彼女はISBのスパイの目を逸らすため、夫ペリンにギャンブル依存の嫌疑がかかるようにし、銀行家ダヴォ・スカルダンの息子と娘リーダブロンテ・カーマイケル)を見合いさせる。家族を犠牲にするしかなかったモン・モスマが、慈善好きな元老院議員という隠れ蓑を捨てたら、その行く道もたった1つ。これからは、さらなる犠牲も伴うはずだ。

本作は12話というボリュームながらも、『ローグ・ワン』へと、希望の始まりへと繋がる前日譚として、ひと言でいうなら「最高」の出来だった。銀河で生きる、“普通の人々”の目覚めの物語となっていた。現在撮影中というシーズン2では、『ローグ・ワン』の直前に至るまで4年間の彼らの旅路が描かれていくことをクリエイターのトニー・ギルロイは明かしている。

「キャシアン・アンドー」はディズニープラスにて独占配信中(全12話)。


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《上原礼子》

上原礼子

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。

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