父親役を演じたポール・メスカルがアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たした『aftersun/アフターサン』。この度、監督・脚本を務め、英国アカデミー賞英国新人賞受賞に選ばれたシャーロット・ウェルズの初来日が決定、メイキング写真も解禁となった。
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11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手掛けるスタジオ「A24」が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げ、オバマ元大統領のお気に入り映画にも選出された。
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若き父親と娘のひと夏の記憶を辿る本作の物語は、よく兄妹に間違えられたというシャーロット・ウェルズ監督と父が昔、トルコで2週間ほどともに過ごした実際の夏休みの思い出がベースとなっている。初めてのダイビング、古代遺跡との遭遇、泥風呂、大空いっぱいに広がったパラグライダーといった、そのときに感じた楽しさや驚きをフィルムの中に焼きつけている。
監督は、はじめは単に父と娘が休暇を一緒に過ごす分かりやすい物語を思い描いていたが、アイディアを構想しながら古いアルバムをパラパラとめくり、自身の思春期や両親、特に父との思い出をふり返っていくプロセスを経ることで脚本に回顧的な視点を与え、次第にパーソナルなものへと変化していったそう。
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そんな彼女の脚本に、第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが惚れ込み、自らプロデューサーに。テルライド映画祭での本作上映後Q&Aでは「もう6回も観ているのに、毎回号泣しすぎて壊れそうなくらいだ」と語るほど。
また、本年度第95回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞ほか最多7冠を獲得し話題の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の“ダニエルズ”監督は「ビデオカメラで撮影された人生の断片。僕は長い時間、あの最後の瞬間について考えることになるだろう。ブラボー!」と絶賛。
A24作品『フェアウェル』監督・脚本のルル・ワンも「なぜ映画が好きなのかを思い出させてくれるような作品」とTwitterに寄せている。
さらに、解禁されたメイキング写真はウェルズ監督とポール・メスカル、フランキー・コリオがそれぞれ写るもので、ロケ地であるトルコのイギリス人観光客向けリゾート地・オルデニズでの撮影現場の様子を捉えている。
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錚々たる顔ぶれが並ぶ中、本作でアカデミー賞主演男優賞に堂々初ノミネートを果たしたメスカルが、「彼女は自分の脚本とまわりの人たちの仕事を全面的に信用して、一からサポートしてくれるんです。俳優へのアプローチもすごく丁寧でした」と語るように、監督が自然体で俳優と向き合う和やかな現場だったことが伝わってくる。
4月の監督来日時には、都内で観客とのQ&A付き上映イベントの実施が予定されている。
『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。