《text:YUKI》
恋愛ものに事件もの、痛快バディからヒューマンサバイバルまで、様々なジャンルのドラマが顔を揃えた春クール。日替わりで違った気分を味わえる楽しい3か月も、もうまもなく終了の時を迎えます。そこで今日は、毎クール全ての作品をチェックしているドラマニアな筆者が選ぶ総括「勝手にベスト3」を、ランキング形式で一緒に振り返っていきましょう。
第1位:“ワケあり”コンビの掛け合いが癖になる!
「合理的にあり得ない」

元弁護士の肩書きを持つも、ある傷害事件をきっかけに資格をはく奪された“ワケあり”女探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140でちょっぴり変わり者の相棒・貴山伸彦(松下洸平)とタッグを組み、警察には頼めない様々な依頼を大胆な方法で解決していく極上痛快エンターテインメント「合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明」。
つい不条理がまかり通ってしまう現代の「あり得ない」敵たちを、上水流エージェンシーならではの「あり得ない」手段で爽快に切り倒していく様が、観る者をスカッと良い気持ちにさせてくれる一作でした。
中でも、天才的な頭脳を持っているにも関わらず、色恋沙汰の嗅覚がめっぽう弱い貴山に対して、涼子がここぞとばかりに「恋愛のIQはゼロなんだね」ププッと小馬鹿にしては「やかましいわ」と返す、微笑ましいやり取りが癖になりましたね。
そんな涼子が逆にハニートラップを仕掛けられた際には、「僕は涼子さんが好きです」と勢い余って告白。驚く涼子に、「ツチノコとかイエティみたいな(好きの種類)」と付け加える辺りがこれまた恋愛IQの低さを忍ばせて大変面白かったです。2023年春クールを代表するバディものとして、記憶に残る作品になったのではないでしょうか。
第2位:人に言えない“秘密”が切ない事件を紐解く
「unknown」

ワケありといえば、この作品も忘れてはなりません。「あなたは、大切な人のすべてを本当に知っていますか?」というコピーが妙に胸に残る、衝撃のラブサスペンスドラマ「unknown」です。
本作は、吸血鬼の末柄だという正体を隠して働く週刊誌のエース記者・闇原こころ(高畑充希)×過去にトラウマのある交番警察官・朝田虎松(田中圭)が暮らす町で、かつて未解決だった連続殺人事件と同じ手口の殺人事件が発生。運命で結ばれた2人が抱える“秘密”が、事件を紐解く鍵となっていく切ないラブストーリー。
「この役者さんが登場したら、絶対に物語の鍵を握っている」と考察されがちな配役が散りばめられていて、放送を重ねる度、「この人、めちゃくちゃ怪しい」「真犯人は誰?」とSNSを中心に予測が白熱していましたね。予想外に、真犯人候補が次々と消されていくハラハラ・ドキドキの展開は、まんまと制作者側にやられた結果に――。吸血鬼という種族に限らず、どんな人間でも、育った環境の違いなどから価値観に差は生まれるもの。
立ちはだかる壁を家族、恋人、友人たちとどう手を取り合って乗り越えていくのか。大切なことを教えてくれるドラマでした。
第3位:マイナスをプラスに変えてくれる“運命の出会い”に共感
「わたしのお嫁くん」

仕事を完璧にこなし、同僚たちからも憧れの存在として羨望の眼差しを注がれている主人公・速見穂香(波留)。そんな彼女が、実は生粋の「ズボラ女子」である秘密を、偶然知ってしまった後輩の山本知博(高杉真宙)。この彼、実は最上級の家事スキルの持ち主で…!
凸凹コンビの2人がひょんなことから同棲生活をスタートするドラマ「わたしのお嫁くん」。人気漫画の実写化という点でも注目度の高かった本作――恋愛や結婚の等身大のあるあるがたくさん詰まっていて、非常に共感度の強いドラマだったのではないでしょうか。
本来なら、こんなに相性の良い2人、うまくいかないはずがないのですが――今作では、2人の恋路を邪魔する個性豊かなキャラクターたちが続々登場。弟の知博を溺愛する兄たち、お節介が過ぎる穂香の両親。そんな中、取り分け話題を集めたのが、2人の会社の同僚・「春らんまんで天真らんまん。かわいいは最高の褒め言葉」というキャッチフレーズで自己紹介する花妻(前田拳太郎)と、自宅に穂香の推しクローゼットを作り崇める赤嶺(仁村紗和)です。
影でネチネチ…ではなく、真っ向から「大好きなので、邪魔します!」と気持ちをストレートに表現する辺りが、まさに令和のラブコメならではの魅力だった気がしますね。とても面白かったです。
以上、春ドラマの総括は、いかがでしたでしょうか。次回は、夏ドラマのおすすめ作品を先取りしてご紹介予定です。お楽しみに。