フランスで10週連続トップ10入りのロングランヒット、240万人を動員し2022年国内映画の年間興行成績No.1の記録を打ち立てた映画『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』。本作で描かれるのは、女性の権利のために闘い続け、フランス人に最も敬愛された女性政治家シモーヌ・ヴェイユ。その功績は劇中でも語られている。
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新聞の人気ランキングでは俳優やコメディアンに並んで上位ランキング入り、亡くなった際には国中がその死を悲しみ、国葬が執り行われ、偉人たちの眠るパンテオンへ合祀されたシモーヌ・ヴェイユ。なぜ、彼女はそれほどまでにフランス国民に敬われ愛されたのか。
本作ではシモーヌがひとつひとつ勝ち取った闘いと功績の数々が描かれている。
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■「大切なのは尊厳を守ること」
1957年、シモーヌが刑務所の管理を担う司法官のとき。「女性は刑務所内に連れていけない」と所長らに妨害されても、不衛生な環境の改善、診療所や図書館の設置に奔走し、囚人たちの精神と健康を守った。
また、当時フランス領だったアルジェリアの独立運動で収容された女性テロリストたちを、人間扱いされず拷問を受けている極悪なアルジェリアの刑務所からパリの刑務所に移送した。
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■「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」
最も知られているのが、1974年、保健大臣として実現した人工妊娠中絶の合法化。合法化される以前は中絶は犯罪とされ、国外や闇での違法手術による被害者は年間30万人にも及んだ。男性ばかりの国会では反対意見が大半を占め、アウシュヴィッツの生存者であるシモーヌには「人体解剖を行ったナチスの医師と同じだ」などと酷い言葉を投げた者も。
シモーヌは怯まず、レイプによる被害者や若いシングルマザーの窮状を訴え、情勢をひっくり返し、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。
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■「皆 選挙に勝つことに必死になりすぎて当選すると目的を忘れる。私は違うわ。政治家じゃないもの」
1979年、欧州議会選挙に出馬し、女性初の欧州議会議長に就任。理事部の大半が男性で、猛反対を浴びるも「女性の権利委員会」の設置を実現。
■「人類にとって苦難の世紀だからこそ、エイズは人道的に対応すべきです」
1994年、再び保健大臣に任命されたシモーヌは、訪れたブルッセ病院で周囲の反対を押し切り、エイズ患者と2人きりで話して彼らの不遇な扱いを知りショックを受け、その後、国連でのエイズサミット開催にこぎつけた。
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また、映画では描かれていないが、シモーヌは再び保健大臣に就任した際、無痛分娩を含む出産費用を無償にし、女性の妊娠による経済的負担を軽減。1990年代に本格的に少子化問題に取り組んだフランスは出生率の低下を反転し、EU内で最も高い出生率を誇る。
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『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』は7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国にて順次公開。