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【ネタバレあり】「ロキ」S2・最終話 ロキは“神”として在り続ける…大切なもののために選んだ物語の終着

「ロキ」シーズン2がフィナーレ。誰よりも寂しがり屋で愛に飢え、居場所を求めていたロキは大切な友人たちを守るために、自ら時の終わりの玉座についた。

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「ロキ」シーズン2・6話  (c) 2023 Marvel
「ロキ」シーズン2・6話  (c) 2023 Marvel 全 8 枚
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トム・ヒドルストンが主演・製作総指揮をつとめた「ロキ」シーズン2がフィナーレを迎えた。最終話の第6話は、シーズン1・第1話と同じタイトルの「大いなる目的」。タイムスリップ(時間移動)を自分の意志で操れるようになったロキは、“在り続ける者”の物語を書き換えた。

その物語とは、誰よりも寂しがり屋で愛に飢え、居場所を求めていたロキが大切な友人たちを守るために、時の終わりの玉座につくこと、自ら巨大な“時間織り木”となって時空を司る神となることだった。うすうす予感していたことではあったが、ロキは身を挺して在り続ける者に代わる存在となったのだ。


ロキの“究極の選択”に涙が止まらない…


シーズン1・第1話といえば、TVA(時間変異取締局)に捕まったころのロキはかなり反抗的だった。「お前ら役人に私の物語を定めさせたりはしない」と吠えるロキに、当時判事だったラヴォーナ・レンスレイヤーが「あなたの物語でありません」と断言している。誰の物語かといえば、在り続ける者による神聖時間軸を守るための物語である。

それを書き換えるため、ロキはまずヴィクター・タイムリーが“TVAの心臓”時間織り機を修復しようとする場面(第4話)に戻る。だが、何度トライしてもやはりうまくいかないので、次はタイムリーとO.B.が初対面した時まで遡った。そして数百年をかけてO.B.並の知識を習得し、すべての段取りを把握した上で少々のアドバイスまで添えてタイムリーを時間織り機のもとへ送り出すことに成功する。

ところが、織り機が枝分かれした時間軸をまとめ始めたと思いきや、分岐は止まらず広がり続けてしまう。どれだけ織り機の処理速度を上げたとしても、無限に、永久に広がる多元宇宙はそもそも織り機で処理できるものではなかったのだ。

その後、シルヴィが在り続ける者を殺そうとする直前(シーズン1・最終話)へと時間移動したロキは、在り続ける者から時間織り機は神聖時間軸を守るための安全装置でしかなく、負荷がかかりすぎると神聖時間軸以外の余分な枝=分岐時間軸を強制的に剪定する仕組みだと聞かされる。織り機を直すためにロキが何度過去に戻り、どうあがいたとしても、途方もないほどの時間の無駄だったわけだ…。

やがて、在り続ける者の物語を書き換える“究極の選択”を決心したロキは、それを実行する前に再び時間移動して最も大切な2人に会いに行く。

最後に相棒のアドバイスを聞きたかったのだろう、まず向かったのはシーズン1・第1話、TVAでメビウスと初めてじっくり話したタイムシアター、「多才なロキの行動理由を知りたい」とメビウスが言う場面。ロキはこのときすでに、名誉ある目的とは何かと問われ「王座につくこと」と答えていた。「信頼できるのは自分だけ」とも、「私なら皆を楽にできる」とも話していたが、こんな形で繋がるとは思ってもみなかった。

さらにメビウスは、レンスレイヤーとの関係性を初めて話すことにもなった。「目的とは、名誉ある重荷。でも重すぎるからといって目的から逃げるな」と“後の相棒”メビウスは言う。「どの重荷を選んだとしても、試練はつきまとう」と話すメビウスと固く握手をするロキ。

次に会いに行ったのは、第5話のラストでスパゲティ化する直前のシルヴィ。「どうすればいい?」というロキの背中を押し、ロキはついに覚悟を決める。第4話でも、キーライムパイに囲まれながらシルヴィに「TVAをよりよい場所にしたい」と希望を話していたロキ。やっと見つけた居場所=TVAを救う、という目的のもと奔走してきたロキだが、この時からすでに意志は固まっていたのかも知れない。

時間織り機の制御室でメビウスやシルヴィたちが全員集合した様子をゆっくりと見渡した後、織り機への通路を進みながら神の姿になっていくロキ。そして織り機を破壊し、魔法で蔦のような時間軸をつかみ寄せてはより合わせていく。その姿は、まさしく巨大な“時間織り木”だった。

『マイティ・ソー』で、ロキが氷の巨人の国ヨトゥンヘイムを滅ぼそうとしたときのビフレストが大木のようだったことをふと思い出し、ソーがジェーンに話していた北欧神話に登場する世界樹(ユグドラシル)が思い浮かんだ。ソーが言っていたように、アスガルドは魔法(フィクション)と科学(サイエンス)が等しい場所だ。時間移動でO.B並の科学を習得したロキは、さらに魔法によって時間軸が有機的に絡まる1つの巨木を作りあげた。費やした途方もない時間は、決して無駄ではなかった。

もう彼は裏切り王子でも、嘘と悪戯を愛する神でもない。「ひとりは嫌」だったはずなのに、大切な人たちが自由意思を持って生きられるよう見守ることのできる孤独な玉座についた。ロキ自身が、いわば“在り続ける者”(He Who Remains)となった。あのロキが見せた、究極の自己犠牲だ。神聖時間軸では叶わなかった居場所を、ついに見つけたのだ。

その結果、TVAは様変わりした。“未来を木にかけ共に伸びよう”のポスターが張られ、ミス・ミニッツは初期化。O.Bの手元にはTVAガイドブック第2版が到着した。ヴィクター・タイムリー少年にはガイドブックが届けられることもなく、プロトタイプの時間織り機をシカゴ万博で発表することもない。呆然として仕事に身が入らない様子のメビウスは、TVAを辞めるという。子どもたちと遊ぶ自分自身を眺める姿は、やや寂しそうではあるが、吹っ切れた様子でもある。


今後のMCUと「ロキ」 再登場の可能性は!?


そんなメビウスのデスクには在り続ける者の変異体のリスク報告書が届いており、“616周辺で騒ぎを起こした”とあった。アース616とは、MCUの舞台である神聖時間軸のこと。シーズン1・第1話でロキが見た、神聖時間軸での運命のビデオのリールには「ETH-616 ロキ・ラウフェイソン」との表記があった。

また、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でも、ドクター・ストレンジにクリスティーンが「ここは838、あなたの世界は616」と言うシーンがある。616周辺の騒ぎとは、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』での出来事だろうか。

在り続ける者もヴィクター・タイムリーも、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』に登場し、次なるアベンジャーズシリーズ『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』(原題)のメインヴィランとされる征服者カーンの変異体だ。新しいTVAでは、カーンの変異体たちを監視しているのかも。そうなると、ロキが同作に登場する可能性もありそうだ。

「ロキ」シーズン1より ディズニープラスにて独占配信中

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でカーンをよく知るジャネットが言い表したように、カーンは自分を神だと思っている怪物である。在り続ける者がそうであったように、決して見くびってはならない存在だ。

ちなみに『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』は、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のディステン・ダニエル・クレットン監督がメガホンをとり、2026年5月1日全米公開予定とされている。アントマンと娘キャシーほか、サム・ウィルソンの新キャプテン・アメリカ、ケイト・ヴィショップとホークアイ、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のネイモアなどの登場がうわさされ、新たなアベンジェーズとカーンの変異体たちとの戦いが予想されている。

ただ、MCUの物語は広がり続ける。「Variety」の特集記事「Crisis at Marvel」ではマーベルが現在抱える様々な問題をあぶり出しているが、新アベンジェーズが立ち向かうヴィランを、征服者カーンから『ファンタスティック・フォー』の宿敵ドクター・ドゥームに書き換える案が出ているという。MCU版『ファンタスティック・フォー』(2025年5月2日全米公開予定)も進行中であるため、十分あり得る話だ。想像を超えるサプライズがいつも得意なMCUだけに、『デッドプール3』(2024年7月26日全米公開予定)に登場する可能性だってある。全米映画俳優組合と全米脚本家組合のWストが終結したいま、今後はどんな物語を描くつもりだろうか。

カーン=在り続ける者=ヴィクター・タイムリーを演じる俳優がDVの疑いで裁判にかけられる(現地時間11月29日に初公判)影響は無視できない。少なくとも私自身、1ファンとして看過できない。どんな物語が待っているとしても、どうか、ずっとMCUのファンでいさせてほしいと願うばかりだ。

「ロキ」シーズン2はディズニープラスにて独占配信中(全6話)。


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《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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