2023年、第75回カンヌ国際映画祭プレミア部門出品、第48回セザール賞で最多受賞を果たしたドミニク・モル監督の映画『12日の殺人』から、捜査の核心を突く女性たちの場面写真が解禁。さらに、2019年東京国際映画祭にて観客賞と最優秀女優賞を受賞した同監督の『悪なき殺人』が1週間限定再上映されることも決まった。
監督は、東京国際映画祭で2冠、日本公開でも口コミでヒットした『悪なき殺人』(原題:Only The Animals/映画祭上映タイトルは『動物だけが知っている』)のドミニク・モル。その最新作となる本作は、前作を圧倒する多数の映画賞受賞を果たし大きな注目を集めた。
本作で、被害者・クララの殺人事件を追う主人公ヨアン率いる捜査班は、男性7人。さらに容疑をかけられる容疑者らも全員男性。そんな男性ばかりが登場する本作で行き詰まる捜査に核心を突いていくのは女性たちだ。
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まずはクララの男性関係から捜査していくと、彼女と関係を持っていた男たちは、一様にして彼女が「奔放な女性」だったことを示唆する。捜査陣は、間違いなく男性による犯行であると疑いもしない。しかし、クララの親友ナニーに尋ねると「なぜクララが誰と寝たかを知ることがそんなに重要なのか」とヨアンに泣きながら問い詰める。
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そして事件から時が経ち、迷宮入りしていた捜査を男女関係に正解も間違いもないと諭し、男性による犯行だと疑わないヨアンらの偏った先入観を排除して、捜査再開を示唆する女性裁判官ベルトラン。
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新たに捜査チームに加わることとなった新人女性捜査官のナディアは、「罪を犯すのも捜査するのもほぼ男性って変ですよね。男の世界ですね」とヨアンに投げかける。
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そんな彼女らのひと言ひと言は、ヨアンとほかの男性たちが気づかなかった部分を洗い出していく。まるで事件を解決するかのように――。
ドミニク監督は、「男性による暴力事件を捜査するのはほとんどが男性です。もし殊勝にも映画やドラマで女性の捜査官が活躍している姿が描かれていたとしても現実は、今だに“男社会”なのです」と言う。
「彼ら男性捜査官が自分の娘やパートナー、女性の友人や姉妹が犠牲になった事件を捜査することになったら何を思うだろうか? 容疑者を、そして被害者をどう見るだろうか? これらすべての要素が彼らにどのような感情を引き起こすだろうか? 映画を観る人がそういった疑問を抱くきっかけになり、いわゆる”実存的不安”を感じてもらえればと思います」と、物語の中核を女性に担わせ、疑問を抱くきっかけとしてほしいという思いを込めたことを語っている。
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未解決事件を追う刑事たちをリアルに描くだけでなく、現代社会に対するフェミニズム的な問題提起も同時に描いていく。
さらに、本作の公開に先駆け、ドミニク・モル監督の前作『悪なき殺人』が新宿武蔵野館にて3月8日(金)~14日(木)まで再上映されることも決定した。
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『12日の殺人』は3月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。