男女のほろ苦い恋愛模様が多くの観客の共感と反響を呼び、大ヒットを記録した『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督最新作『不死身ラヴァーズ』が5月10日(金)より全国にて公開となる。
「両想いになると相手が消えてしまう」という切なくも独創的なアイデアが効いた同名漫画を、映画的なギミックを駆使してエモーショナルに演出した本作。松居監督が秘かに温め続けてきた10年越しのラブストーリーの魅力を、ひも解いていきたい。
「好き」を伝え続ける、太陽のような恋愛映画
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思春期真っただ中の若者たちの野放図なパッションをまっすぐに映し出した青春グラフィティから、別れてしまった恋人たちの6年間を逆再生する『ちょっと思い出しただけ』のようなしっとりした作品まで、様々な恋愛の形を映し出してきた松居監督。その彼が長年諦めきれず、映画化の企画の提案を続けてきた念願の一作が、『不死身ラヴァーズ』だ。
原作は高木ユーナによる同名漫画。両想いになると消えてしまう運命の相手と結ばれるため、奔走し続ける物語と魅力的なキャラクターに心を奪われた松居監督は、約10年をかけて映画化。恋愛映画の名手として期待されるなか、その本質であり根源にある「好き!としか説明できない想い」を驚くべき純度で凝縮させ、「新生・松居大悟」を決定づける一作に仕上げた。
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近年の日本映画の流れとして『花束みたいな恋をした』や『ボクたちはみんな大人になれなかった』のような、等身大かつリアリティに重きを置いた共感性抜群の恋愛映画が多く生まれてきた。ただ、「両想いになると相手が消える=結ばれない」という特異な設定の“儚さ”や“切なさ”以上に、そうした障害をものともしないような途方もない「好き」を伝え続ける映画は、なかなか見当たらない。自分の気持ちを相手に伝える大切さをポジティブに伝える一作であり、松居監督が「無防備な恋愛映画」と評する愛らしさに包まれる。爽快さと共に、観る者の背中を押してくれる本作は、ままならしさが立ち込める現代のムードを晴らす太陽のような傑作だ。
見事にハマった!
見上愛、佐藤寛太の心揺さぶる演技
フレッシュな若手と組み、その魅力を引き出してきた松居監督。彼が今回組んだのは、見上愛と佐藤寛太という将来性あふれるふたり。
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主人公の長谷部りのに扮し、本作で映画単独初主演を飾った見上は、『レジェンド&バタフライ』のようなエンタメ大作から『星の子』『異動辞令は音楽隊!』『658km、陽子の旅』といった国内外で高く評価される作品群まで幅広く出演し、「恋は続くよどこまでも」「光る君へ」といった人気ドラマ等でも存在感を発揮する逸材。どこまでも「好き」を疑わずにひた走るりのの姿は、ともすれば観客を置いてけぼりにしかねないが、見上は持ち前のキュートさに芝居の説得力を組み合わせ、応援したくなる親愛なる主人公像を構築している。
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その相手役に扮した佐藤寛太は、国内の映画賞を総なめにした『正欲』が記憶に新しい。劇団EXILEのメンバーとして「HiGH&LOW」シリーズを牽引する一翼を担い、『イタズラなKiss』シリーズほか、若くして多くの代表作を誇る。本作では「毎回姿を変えてりのの前に現れる運命の相手・甲野じゅん」を絶妙な塩梅で演じ分け、どんな姿でも恋をしてしまう七色の魅力を放っている。時にユーモラスなセリフのボケ&ツッコミで笑わせ、繊細な感情表現で心を揺さぶらせる見上&佐藤の相性の良さは、「この2人しかいない」と思わせるほど見事にハマっている。
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また、『アイスと雨音』に出演し松居監督とも親交が厚く、『うみべの女の子』『MINAMATA ミナマタ』等々「作家性映画にこの人あり」な青木柚が扮する友人・田中、『くれなずめ』でも生き生きとした好演を見せていた前田敦子によるキーパーソン・花森ほか、本作を彩る多彩な共演陣×キャラクターのマッチングも絶妙だ。
ぜひ、劇場で“新世代”の恋愛映画のゆくえを目撃してほしい。
『不死身ラヴァーズ』公式サイト
〈提供:ポニーキャニオン〉