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【インタビュー】井浦新、海外出演作で伝える「違うを認めること」の大切さ

6月7日に公開となるアメリカ映画『東京カウボーイ』で、初の海外作品主演を果たした井浦新。役柄同様、勝手の異なる現場を体験したという井浦さんに、撮影について、そして映画の魅力について聞いた。

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6月7日(金)に公開となるアメリカ映画『東京カウボーイ』で、初の海外作品主演を果たした井浦新。

冷静沈着、効率至上主義のビジネスマンが、米国モンタナ州で思いがけず人生の豊かさに出会う物語の中で、異文化と触れ合ったことを機に自らを再生させる主人公ヒデキを演じている。

役柄同様、勝手の異なる現場を体験したという井浦さんに、撮影について、そして映画の魅力について聞いた。

多くの人が共感できる題材だからこそ「僕自身が試される」


――初めてのアメリカ映画主演作ですね。どのような経緯で出演されたのでしょうか。

マーク監督はこれまでの私の出演作をずっと観てくれていて、それで私に出演依頼が来ました。これまでも、私はとくに海外作品に出たいという意識はなかったのですが、俳優として取り組んできたことが、米監督からのオファーにつながった…ということが、日本の俳優として素直にうれしかったです。

――マーク・マリオット監督は、キャリア初期に来日し、山田洋次監督の『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』(1989)の現場に見習いとして参加したという日本映画通。「映画『朝が来る』を見て、新さんの素晴らしい自然な演技、純粋さに心を動かされて、この人が必要だ!とすぐに思い、今はそれは良い決断だったなと思います」とおっしゃっています。藤谷文子さんと共に脚本を担当したデイヴ・ボイル氏は、Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」(2023)の脚本・監督も務めています。オファーを受け、どのように感じましたか。

まず、好きな脚本だなと思いました。温かさを感じましたし、ある意味ヒデキの再生の物語でもありました。ヒデキを通して、人はどんな状況でも変化していくことができるという希望の物語でもあるとも思いました。とても普遍的で、自分の中にある身近なものにも寄り添える作品だと感じました。

だからこそ、この作品で自分がヒデキを演じることで、その思いをどうパフォーマンスしていけるかという点でも、これはすごいチャレンジになると思いました。たくさんの人たちが共感できる題材だからこそ、それに対してどういうアプローチをするかで、見え方や伝わり方は変わっていきますから、僕自身が試されるとも思いました。

――主人公のバックグラウンドはあまり語られていませんが、「再生の物語」と感じた理由は?

ヒデキには壮絶な過去があるわけではないと思います。こういう人っているよなと思わせる人物で、誰でも自分を重ね合わせられるような側面がある、そんな男だと思うんです。人によって幸せの価値観って本当に様々で、幸せの種類も人の数だけあっていいと思いますが、ヒデキは凝り固まった考えを持ってしまい、自分で自分の可能性をシャットアウトしていた。

きっと彼は、どちらかというと勝ち続けて来た人だったんだと思います。受験も、就職も勝ち続けて、周りが、もしくは自分が望むものをちゃんと手に入れてきて。恋人のケイコもそのひとつだったのかもしれません。ケイコは上司で、恋愛感情はあったとしても、どこか野心的な考えで付き合ったのかもしれない。

そんなヒデキがモンタナでは何にも通用しない。言葉も通じないし、価値観も違うし、何も伝わらない。そうして大負けすることができたんです。だからやっと恋愛や仕事で人とちゃんと関われるようになった。人と人とのコミュニケーションの中から、いろいろな幸せが生まれてくるんだということを知ることになり、生まれ変わっていく。そういう意味で、ヒデキの再生の物語だと思いました。


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《text:June Makiguchi/photo:You Ishii》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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