O・J・シンプソン事件やヴェルサーチの暗殺など、米国で実際に起きた犯罪を克明に描き、米テレビ界最高峰のエミー賞を席巻、世界的ヒットとなった「アメリカン・クライム・ストーリー」のシリーズ第3弾「アメリカン・クライム・ストーリー/弾劾裁判」がついに日本上陸。
本シーズンでは、当時の日本でも連日報道されたビル・クリントン米大統領を失脚させかけた不倫騒動の顛末を複数の女性の視点から描いている。ミレニアム直前のホワイトハウスを巡る騒動ながら、2024年現在でも他人事とは思えない、欺瞞に満ちた“不適切な真実”を私たちに突きつける。
ライアン・マーフィー製作総指揮!
とんでもなく面白い海外ドラマ、日本上陸
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「glee/グリー」や「POSE/ポーズ」、「アメリカン・ホラー・ストーリー」シリーズなど、多くの人気海外ドラマで知られるライアン・マーフィーが製作総指揮を務める「アメリカン・クライム・ストーリー」。
シーズン1では「世紀の裁判」といわれた元アメフトスター選手のO・J・シンプソン事件を、シーズン2では迷宮入りした世界的ファッションデザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチの暗殺事件を、豪華キャストの競演と当時にタイムスリップしたかのような没入感のある映像で描いてきた。
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第3弾でマーフィーが取り上げるのは、1998年に世界中が知ることになったビル・クリントン大統領とホワイトハウスの元インターン、モニカ・ルインスキーの不倫騒動とそれを発端にした大統領の弾劾だ。
大学卒業後、ホワイトハウスでインターンとして働き始めたルインスキーは、1995年11月から大統領と性的な関係を持つようになっていた。やがてペンタゴン(国防総省)に異動させられたルインスキーは同僚のリンダ・トリップと友人になるが、大統領との不倫関係を知ったトリップは彼女との通話を密かに録音し始め、ある人物にリークする。
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大統領は性的関係を一度は完全否定したものの、後に公に認め、「彼女と『不適切な関係』を持った」(I did have a relationship with Ms. Lewinsky that was not appropriate.)と告白したことで、全米が騒然。ルインスキーはマスコミの執拗な報道や世間からの好奇の目にさらされ、「不適切な関係」という言葉は日本でも流行語となるほど拡散された。
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現役の大統領と元インターンの不倫という強烈なゴシップのみならず、大統領を追い詰めたい司法・政治関係者やマスコミ、そして大衆からの無自覚な2次加害を受ける女性たちの知られざる“声”が本作のテーマだ。
多角的な視点で事件を捉えなおす―
主人公は何者でもない女性たち
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「アメリカン・クライム・ストーリー」シリーズでは実際の事件を複数の視点から見つめ、現代社会の歪みや暗部を詳らかにしてきた。「O・J・シンプソン事件」ではシンプソン側と女性検事側から人種差別や家庭内暴力、過剰報道、「ヴェルサーチ暗殺」では犯人側とヴェルサーチ側からゲイの苦悩や孤独、同性愛嫌悪といったものだ。
今回、本作には当事者でもあるモニカ・ルインスキー本人がプロデューサーとして参加。そのルインスキーと、不倫騒動発覚のきっかけを作ったリンダ・トリップ、そしてアーカンソー州知事時代のクリントンのセクハラを訴え出たポーラ・ジョーンズといった、政治家でも何者でもない女性たちを主軸に事件を捉えなおしている。
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脚本を手がけたのは、エミー賞にノミネートされたサラ・バージェス。事件をリサーチしたバージェスは「この話が、重要人物に会いに行く途中のデスクに座っている無名の女性たちについて語るものだと気づいたんです。そこから彼女たちの声が聞こえてすらすらと書けるようになりました」と語っている。
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こうした女性たちが例えば、職場で最も権力を持つ者と密室に2人きりになり、期待を持たせる言葉をかけられて性的関係を促されたとしたら…。キャリアだけでなく尊厳と人生の貴重な時間を奪われたとしたら…。
映画『スキャンダル』や『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』を思い出させるような、現在も連綿と続く権力と性加害の“不適切な関係”をも、本作は浮かび上がらせる。
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まもなく2か月後には米大統領選が控えている。米史上、弾劾の訴追を受けた大統領は3名のみ。南北戦争直後のアンドリュー・ジョンソン、そしてビル・クリントンと、ドナルド・トランプ前大統領しかいない。
実力派俳優陣の役作りと名演にくぎ付け
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脚本を読み、感銘を受けたマーフィー作品の常連サラ・ポールソンはリンダ・トリップ役を快諾。撮影前からトリップの声音を研究し、医学的アドバイスを受けながら体重を30ポンド(=13.6kg)増やし、専門トレーナーに付いて彼女の立ち振る舞いをマスター。ひと目ではポールソンと気づかないほどの変貌を見せる。
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モニカ・ルインスキー役は、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を見たルインスキーが「高校時代の自分のようだ」と思ったというビーニー・フェルドスタイン。2人は撮影前に対面して親交を深めたといい、彼女の苦痛や恐怖をフェルドスタインは見事に体現した。
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また、ポーラ・ジョーンズ役にはトニー賞受賞経験もあるアナリー・アッシュフォード、出版エージェントのルシアン・ゴールドバーグ役にはベテラン俳優のマーゴ・マーティンデイル。
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ヒラリー・クリントン役として「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」のイーディ・ファルコが出演するほか、ワインスタインを告発したミラ・ソルヴィーノや、『アベンジャーズ』シリーズのコビー・スマルダーズらも出演。
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さらに、アクセント・コーチを付け、特殊メイクでルックスを寄せたクリントン大統領役のクライヴ・オーウェン(『クローサー』)の存在感も際立ち、異様な後味を残す。
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時代の空気感を再現した衣装やヘアメイクなどとともに、実力派俳優たちが入念な準備をしてなりきった、さまざまな人間の思惑が絡み合うドラマは、あのとき見過ごされていた“不適切な真実”を白日の下にさらすのだ。
「アメリカン・クライム・ストーリー/弾劾裁判」は《字幕版》毎週月曜23時~ほか、《吹替版》毎週水曜23時~ほかBS10 スターチャンネルにて放送中(全10話)。
スターチャンネルとは…
日本初公開となる最新作、掘り出し映画、さらに日本独占放送となる海外ドラマなど、他では見ることの出来ない話題作を放送する専門チャンネル。日本語吹き替え比率70%と、映画専門チャンネルの中では最大級の吹替率となり、他放送やDVDでも見られない激レア番組の吹替版も視聴することができる。
2025年1月、スターチャンネルが無料放送のBSJapanextとひとつになり、「BS10〈ビーエステン〉」として生まれ変わる。毎週視聴からのリクエスト作品を放送するコーナーを新設したり、“オリジナル吹替え版”を制作・放送予定ということで今後の展開に期待したい。
「アメリカン・クライム・ストーリー/弾劾裁判」公式サイト
© 2021 Twentieth Century Fox Film Corporation and FX Productions, LLC. All rights reserved. Photograph © 2021 Twentieth Century Fox Film Corporation and FX Productions, LLC. All rights reserved.