難しい挑戦は「新しい体験」に
――清野さんの声には、そんな葛藤もエリオを愛おしむ思いもきちんと乗っていました。多くの俳優が声優のお仕事は難しいとおっしゃいますが、清野さんは…。
(何回もうなずく)
――ものすごくうなずかれています(笑)、難しかったと!
本当に、難しかったですね!! どうやったら声に変化が出せるのか、右も左も何もかもわからなくて…。アニメーションの声優のお仕事は初めての経験だったので、本当に手探りでした。声を当てながら、監督から「こういう雰囲気に変えてやってみよう」というアドバイスをいただきながら、本当に少しずつ作り上げていきました。

――非常に繊細な工程を踏んだのですね。ご自身での練習は、どんな感じでやっていたんですか?
台本をひたすら声に出して読んでいました。本番に向けて、噛んだり焦らないように、何回も何回も練習しましたね。英語のセリフの上に日本語のセリフを入れるということと、キャラクター達の口の動きに合わせてセリフを入れるという作業に慣れるまで、すごく時間がかかりました。普段お芝居をする上では、自分の間でセリフを喋っていますが、すでにリズムが決まっているところに自分の感情も乗せるので、そこが難しくて、技術的な部分も含めてかなり苦戦しました。

――それでも見事にやりおおせたわけで、「自分の声、良かったな」と褒めてあげられる感じもありますか?
ええー…どうでしょうか(笑)。自分の声が流れるのはまだちょっと恥ずかしい気持ちになりますね。すごく不思議な気持ちです。それでも、「まだまだこういう新しい体験ができるんだ!」と思うと、すごくワクワクしました。
