2025年のドラマも間もなく最後のクールに突入。この秋は、一体どんな作品が楽しませてくれるのだろうか。今日は、中でも注目の作品をドラマニアな筆者が先取りしてご紹介していこう。
群像劇からエスパーまで、オリジナル脚本が豊作の秋クール

一番の注目は、やはりこれではないだろうか。ヒットメーカーの三谷幸喜さんが25年ぶりにゴールデン・プライム帯の民放連続ドラマの脚本を手がけるドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ系・毎週水曜22時)だ。
1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で主演をつとめるのは、菅田将暉さん。演劇を志す主人公を演じるという。その他にも、二階堂ふみさんがミステリアスなダンサー、神木隆之介さんは新人の放送作家、浜辺美波さんは神社の巫女役に扮するようで…。巨大なオープンセットを作ってロケをしているという噂に、期待がどんどん高まっていく一作。気になる初回放送は10月1日(水)。

またオリジナル脚本といえば、野木亜紀子さんの最新作も忘れてはならない。大泉洋さんとの最強タッグで世界に届けるジャパニーズ・ヒーロードラマ「ちょっとだけエスパー」が、10月21日(火)21時~テレビ朝日系にて放送をスタートする。
本作は、会社をクビになり、人生詰んでしまったどん底サラリーマン・文太が、妻と離婚し、金欠でネットカフェを泊まり歩く日々の中、ある会社の最終面接で社長から「ちょっとだけエスパーになって、世界を救ってもらいます」と言われることにはじまる。しかも、「人を愛してはならない」という不条理で不可解なルールまで課されて…。共演に宮﨑あおいさんを迎えて描かれる、異色のSFラブロマンス。一体どんな作品になるのだろうか。

加えて、“僕シリーズ”や“戦争シリーズ”のスタッフが再集結し、草彅剛さんを主演に迎えた「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」(カンテレ・フジテレビ系/月曜22時)も注目の一作。妻を亡くし、幼い息子を男手ひとつで育てるシングルファーザー・鳥飼樹は、遺品整理の仕事をしている。孤独死をした方の特殊清掃や遺品整理~依頼主と直接向き合う生前整理まで、さまざまな事情を抱えた家族と出会うのだが、中には想像もつかない理由を抱えた人たちもいて――。感動必須のオリジナルストーリーから目が離せない。第1話の放送は、10月13日(月・祝)だ。

さらにこの作品についても紹介しておきたい。描かれるのは、なんと母親業のアウトソーシング!? TBS系・金曜22時に放送される「フェイクマミー」(10月10日スタート)は、ウソとトラブルだらけのファミリークライム・エンターテインメント。大手企業で順調にキャリアを築いていたものの訳あって退職。転職活動に苦戦する花村薫(波瑠)は、元ヤンでベンチャー企業の社長を務めるシングルマザー・日高茉海恵(川栄李奈)の娘・いろはの家庭教師として働き始める。やがて茉海恵から「お受験の日、私の代わりに“ママ”として面接を受けてほしい」と持ち掛けられて…。新しい角度で描くお受験ドラマ。禁断の“ニセママ”契約の先にあるものとは…?

最後にもうひとつ、アニメ「オッドタクシー」の此元和津也さんが原作・脚本としてオリジナルストーリーを書き下ろす話題作にも触れておこう。街の小さなバーガーショップを舞台に、複雑に絡み合う人間模様の中で謎が謎を呼ぶ男女8人の青春群像ミステリー「シナントロープ」が、テレ東系にて10月6日(月)23時6分~放送される。不可解な強盗事件をきっかけに、静かだった日常が少しずつ歪みはじめる恐怖…。選ぶべきは、恋愛、それとも友情か? 絆と裏切り、運命と選択。何が本当で、何が嘘なのか。手に汗握る展開をとくと堪能していただきたい。
原作アリの実写化は、新しい切り口での人間ドラマに期待が膨らむ!

日曜劇場(TBS系・21時)に登場するのは、早見和真さんが原作小説を手掛ける「ザ・ロイヤルファミリー」だ。大手税理士法人で働く主人公・栗須栄治(妻夫木聡)は、あることをきっかけに税理士としての挫折を味わい、希望を見いだせなくなってしまう。しかしながら、山王耕造(佐藤浩市)という馬主との出会いによって人生が一転。競馬の世界を舞台に、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語を描いていくという。脇をかためる共演には、目黒蓮さん、松本若菜さん、小泉孝太郎さん他の出演がすでに決まっており、どんな演技のぶつかり合いを見せてくれるのか。気になる初回放送は10月12日(日)。

加えて、10月17日(金)21時よりテレビ東京系にて始まるドラマ「コーチ」の存在もお忘れなく。本作は、元新聞記者ならではのリアリティーある描写でベストセラーを多数生み出している場瞬一さんによる小説の実写化。同局にて7年ぶりの主演をつとめるのは、唐沢寿明さんだ。捜査に失敗し、行き詰まり、逃げ出したくなっている若手刑事たち――そこに現れた“冴えないおじさん”向井光太郎を演じる。実は警視庁人事二課から派遣された特命職員だった向井は、的確なアドバイスで、刑事としてだけではなく、人間としても彼らを成長させていく。異色の警察エンターテインメント。

また、原作のある恋愛ものにも一目置いておきたいのが今回の秋ドラマ。第26回手塚治虫文化賞で新生賞を受賞した谷口菜津子さんが描く同名漫画を原作としたドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」が、10月7日より放送スタート。(TBS系・火曜22時)。恋人のために手の込んだ料理を作り、“恋人ファースト”な彼女を演じてきたゆえに、次第に自分を見失ってしまった女(夏帆)と、令和には少し珍しい「料理は女が作って当たり前」と思っている亭主関白思考な男(竹内涼真)。プロポーズをきっかけに別れてしまった二人が、互いの在り方を見つめ直し成長していく、再生ロマンスコメディとなっている。

そして、もうひとつがこちら。葵わかなさん×神尾楓珠さんが初共演にしてダブル主演をつとめる「すべての恋が終わるとしても」(ABC・テレビ朝日系/日曜22時15分)だ。高校の同級生で、卒業式の日に付き合い始めた由宇と真央は、それが“運命の恋”だと信じられるほど想い合っていたのだが…。大学進学を機に遠距離となり、次第にすれ違っていってしまう。高校・大学・社会人と、変わりゆく環境を生きていく二人の主人公を中心に男女8人の人間関係が丁寧に紡がれる切ない群像ラブストーリー。原作をつむぐのは、冬野夜空さんだ。初回放送は、10月12日(日)。
この秋は、過去作品のリターンも続々! 新展開に期待が高まる

天海祐希さん演じる叩き上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取調べを行う専門チームで活躍する人気ドラマシリーズ「緊急取調室」(テレビ朝日系)が木曜21時に帰ってくる! 密室の戦場で行われる、銃も武器も持たない生身の人間同士の死闘を描いた本作は、2014年1月期に誕生するや大きな話題に。これまで連続ドラマ4作品、ドラマスペシャル2作品を世に送り出してきたのだが、この度、映画と合わせた完結編として同枠へ戻ってくるというからドキドキだ。前シーズンのラスト、新たな配属先で各々別の道を歩むことになったはずのメンバーだったが、スペシャルドラマで再結成することが決定。田中哲司さん、塚地武雅さん、でんでんさん、小日向文世さんら鉄壁の取調べチームシリーズ史上最強の被疑者たちに挑む。10月16日(木)より放送スタートとなる。

そしてもうひとつ、2年前に第1弾が放送され、大きな話題を呼んだ「推しが上司になりまして」が、「フルスロットル」として10月8日(水)~テレビ東京系・24時30分の枠に帰ってくるのでこちらも要チェック。第2弾となる今作では、設定も役名も職業も年齢も違う、前作とは異なる世界線のドラマを描くそうで…。鈴木愛理さん演じる主人公・南愛衣はアパレル商社で社長秘書を務め、八木勇征さんが愛衣の最推しで上司となる年下イケメン俳優を演じるという。「最高のシチュエーション」として注目を集めた続編がどう描かれるのか。ぜひ新しいキュンに期待して視聴したいと思う。
以上、2025年10月スタートのドラマ作品おすすめピックアップ。視聴の参考にしてみてはいかがだろうか。


