無実の罪で投獄され、すべてを失った男が決死の復讐劇を繰り広げることになるリベンジアクション「捏造された都市」。チ・チャンウクとEXOのD.O.ことド・ギョンスの豪華共演も話題の本作が、11月5日よりディズニープラスで配信開始。ここでは、初回に一挙配信される第1~4話に注目する。
同じくディズニープラスのオリジナルドラマとして話題になった「江南Bサイド」や「最悪の悪」でも、演技の幅を見せつけていたチ・チャンウク。近年、ハードな作品での活躍も光る彼が今回演じるのは、平凡に生きてきた善良な男パク・テジュンだ。
デリバリーの仕事をしながら自分の店を持つ夢に向かって1歩ずつ前進し、歳の離れた弟や優しい恋人、気心の知れた友人たちと穏やかな日々を送ってきたテジュンは、ある日の仕事中、持ち主不明の携帯電話を発見。だが、この携帯電話を持ち主のもとへ届けようとした彼の親切心が、身に覚えのない強姦殺人容疑へと導いてしまう。

会ったこともない女性を襲い、殺害した罪で起訴されたテジュンは、瞬く間に終身刑の判決を言い渡される事態に。事件は大きく報道され、彼は人生のすべてを奪われる。
第1話では、そんなテジュンの転落をスピーディに描写。恋人が雇った弁護士も用をなさず、ありとあらゆる証拠に首を絞められ、たちまち塀の中の住人と化すテジュンの運命にゾッとさせられる。
テジュン自身、突然の出来事に対応することなどできず、最初のうちは事の重大さすら実感できない。逮捕されてなおどこかのん気にも見えたテジュンの顔がみるみる青ざめていく様を、チ・チャンウクが丁寧に演じている。

続く第2話では、刑務所の恐ろしい実情に目が向けられる。
テジュンが収容されたのは、国内で最も凶悪犯が多く、環境も劣悪な刑務所。しかも、強姦殺人犯に向けられる目はとりわけ厳しく、テジュンは囚人たちを取り仕切るボスに早速目をつけられ、恥辱の限りを味わうことになる。
監督に名を連ねるのは、チ・チャンウクも出演している映画『ハード・ヒット 発信制限』(こちらも、1本の電話をきっかけに主人公が追い詰められていくストーリー)のキム・チャンジュ。脚本を手掛けているのは人気ドラマ「復讐代行人 ~模範タクシー~」などのオ・サンホで、スリリングな描写に長けた布陣が嬉々として腕を振るっていると言えるだろう。絶望的展開の容赦ない連打に、テジュンは自ら命を絶とうともする。

しかしながら、テジュンの停滞する気持ちとは裏腹に、ストーリーの速度が緩むことはない。
怒涛の展開に飲まれながらも彼はやがて刑務所内を生き抜く術を知り、良き理解者も得て、ささやかな光をつかみ始めることに。自らの心身を鍛え、絶望を抜け出そうと奮起する。このあたりの変化もチ・チャンウクの熱演の見せどころで、第2話で描かれるのはまさにテジュンの覚醒。
服役から5年、彼は所内でのサバイバル術を身につけた存在となっていく。そんな中、彼は自分を破滅に追いやった事件の裏に、大きな陰謀が横たわっていることを察知。その事実を受けて脱獄を決意し、事件の真相を自らの手で暴く道を歩み始める。

全12話から成る本作だが、初回に第4話までを一挙配信するのは極めて理に適ったスタイルだと言える。第3話以降、物語は覚醒したテジュンのリベンジドラマへと突入していくが、少なくとも第2話までは一気に見たほうがいい。痛みを伴うバトルアクションと生々しい流血など、凄惨でハードなタッチはそのままながらも、転落させられた主人公の目覚めに合わせ、物語には次第に爽快感が見え隠れし始めるように。
ここまで来ると、テジュンがいかにして犯人を突き止め、復讐を遂げるか、見届けたい気持ちに勝てなくなるはずだ。そんな中、第3~4話は“脱獄”が物語の中心に。脱獄計画を綿密に、思いのほかしたたかに立てていくテジュンの姿が「計画がバレる? バレない? 脱獄できる? できない?」のスリルを生む。立ちはだかるのは囚人を監視する刑務官たちだけではなく、厄介な囚人の面々も。また、真相に迫ろうとするテジュンの動きを嗅ぎ取った真犯人サイドも、彼の命を狙い始める。

こうした状況に合わせ、次第に正体を現し始めるのが、ド・ギョンス演じる謎の男アン・ヨハンだ。第3話から本格的に登場し、存在感を放つようになるアン・ヨハンは大勢を操ることのできる財力と地位を持った男で、どうやらテジュンの事件の黒幕らしい。まだ彼の存在までたどり着くことなく、脱獄を目指すテジュンの奮闘をよそに、我々視聴者にはヨハンのヴィランぶりが突きつけられ始める。
アーティストとしての活躍はもちろん、スウィートな魅力が光った主演ドラマ「100日の郎君様」や最新作となる主演映画『シークレット・メロディ』まで、演技力にも定評のあるド・ギョンスだが、本作では得体の知れないサイコパスに。大きな瞳と人好きのする笑顔が、そこはかとない恐ろしさを醸し出す。怒りに顔を歪ませ、ヨハンに殴り掛かろうとするテジュンと、彼に不気味な笑みを向けるヨハン。本編に先駆けて公開されているキービジュアルからも察するに、両者が直接対決を迎える日はいずれ訪れそうだ。

第4話はテジュンのスリリングな脱獄ドラマから一転、あっと驚く状況で幕を閉じる。タイトルの「捏造された都市」が物語るものも、第5話以降の展開がより浮き彫りにすることになりそうだ。
ちなみに、本作はチ・チャンウクの初主演映画で、2018年に日本公開された『操作された都市』の再構築版とも言えるもの。脚本家のオ・サンホは『操作された都市』にも参加しており、平凡な男が無実の罪を着せられて人生を奪われ、反撃に転じる大枠のストーリーは両作に共通している。
登場人物の設定や物語の詳細はかなり異なるため互いをリンクさせて捉える必要はなさそうだが、それぞれでチ・チャンウクが演じている主人公を見比べてみるのは面白いかもしれない。近年ますます脂が乗ってきた俳優チ・チャンウクの成長も実感できるはずだ。
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