「イ・サン」の英祖(ヨンジョ)役などで知られる、韓国の国民的俳優イ・スンジェさんが、11月25日未明に亡くなったことが遺族により伝えられた。91歳だった。
1934年生まれのイ・スンジェさんは、ソウル大卒業後の1956年に演劇「地平線の彼方」でデビューし、舞台、映画、ドラマを行き来して俳優活動を続けてきた大ベテラン。
「イ・サン」ではイ・ソジン演じるサンの祖父・英祖役で日本でも親しまれ、「ホジュン~宮廷医官への道~」「馬医」「善徳女王」「六龍が飛ぶ」など時代劇ドラマの名作に出演。
70代で出演したシットコム「思いっきりハイキック」(2006)「明日に向かってハイキック」(2009)では、それまでのイメージを覆すコミカルな演技でも愛された。1992年には当時与党だった民主自由党から出馬し当選、国会議員を務めたこともある。
ドラマ遺作となった「犬の声」は、故郷の巨済島(コジェド)に戻った国民的俳優と、自分の声が聞こえる人間を見つけた元警察犬が、島で起こる様々な事件を解決していくミステリーコメディ。ワケありベテラン俳優を演じた同作で、「2024 KBS演技大賞」にて現役俳優として最高齢で大賞に輝いた。
だが昨年末から体調を崩していたと伝えられ、舞台「ゴドーを待ちながら」公演日程を取り消し、今年4月の第37回韓国PD大賞授賞式にも参加が叶わなかったという。
訃報を受け、イ・ジェミョン韓国大統領や、キム・ヘスら多くの後進から哀悼の意が寄せられている。

