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【インタビュー】『セフレの品格 慟哭/終恋』行平あい佳×青柳翔「凪」な二人が語る恋心の変化

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行平あい佳、青柳翔/photo:You Ishii
行平あい佳、青柳翔/photo:You Ishii 全 12 枚 拡大写真

『アルプススタンドのはしの方』や『夜、鳥たちが啼く』、『悪い夏』など、近年多くの話題作を手掛けている城定秀夫監督。同監督が2023年に手掛けたのは、湊よりこによる大ヒットレディースコミック「セフレの品格」シリーズの実写映像化だ。その最終章にあたる『セフレの品格 慟哭』、『セフレの品格 終恋』が、2本連続で公開される。

主人公は女手一つで娘を育てているバツ2の森村抄子。同窓会で再会した“初恋の人”北田一樹と関係を持つ抄子だったが、一樹はセフレ以上の関係を望まなかった。しかし、二人は次第に離れられない情愛をはぐくんでいき…というのが前シリーズまでのストーリー。

その後の抄子&一樹が描かれる本作では、確固たる仲となった二人に元夫や元妻など、様々な試練が襲いかかる。一筋縄ではいかぬ展開は、まさに本シリーズのだいご味といえよう。

シネマカフェでは、抄子&一樹を続投した行平あい佳&青柳翔にインタビューを実施。本作を通して、自身の恋愛観が激変したという行平、さらには青柳も「セフレ」という言葉の印象に左右されない認識を持ったことなど、胸の内を語ってくれた。

――2023年に実写映像化されたシリーズの続編にあたる、『セフレの品格 慟哭』、『セフレの品格 終恋』です。久々に抄子と一樹に戻ってみて、いかがでしたか?

行平:撮影で久しぶりに青柳さんにお会いしましたが、何だかちょっと前にしていた話の続きをしている感覚とでもいうか、不思議な感じでした。お会いしていない間に、お互い何作品も仕事をしてきたはずだけど、私はその空白の時間を意識していなかったかもしれないです。完全に…安心しきっていました(笑)。

――それは青柳さんの空気がなせる技なんでしょうか?

行平:そうだと思います。現場でとても落ち着いているので。

青柳:僕のほうこそ前回と変わらず、楽しく現場に臨めそうだなと思いました。…唯一、僕が角刈りだったんですよね…。

行平:そうだ!そうですよね(笑)。久しぶりにお会いして、「ご無沙汰です」と言う前に「髪、短っ!」と言いましたよね。だから、話の続きみたいに感じたのかもしれないです(笑)。

青柳:そうでしたよね。前回と変わらずシーンごとに話し合うところは話し合って、城定さんに相談しつつ撮影していました。

『セフレの品格 終恋』©2025日活

――今回の撮影に臨むにあたり、城定監督からお二人それぞれにお話があったりしましたか?

行平:はい。撮影に入る前に、城定さんとお話する機会を作っていただきました。前作から続きの作品ではあるんですけど、作風が前の2作とは変わってくるので、抄子がどういうテンションでいるかをだいぶ相談しました。前作は、どちらかというと困っちゃうタイプの巻き込まれ型で「どうしよう、どうしよう」という感じだったんです。今回は元旦那や一樹の元奥さんなど、過去の対人関係が襲ってくる形になってくるので、全編を通してただ困っているだけになってしまうのも、と。その感情をどこまで出していいのか、チューニングの時間をいただきました。

青柳:僕は、そんなにしていなかったです。現場で指示をいただいて、撮影前に相談したぐらいでした。前作との比較で言うと、前回よりは一樹がなんかすごくいいやつっぽい感じがしたんです。あまりいいやつをやりすぎてもなと思ったので、その程度をどのあたりまで表現しようかなというのは、心の中では思ってやっていました。

――青柳さんのコメントで「城定監督は端的かつ的確に演出を伝えてくださり、時にユニークでチャーミングな一面もあって」とあり、気になりました。

行平:城定監督はモニターにいる時間もあるんですけど、結構現場に出てきてくださるんです。特に何か大事なことを言うときは、絶対近くにちゃんと来る方で。何なら1回自分でレクチャーするレベルの距離感でやってくださるので、わからないことをわからないままスタートをかけないようにしてくださっていました。

…ただ、本当に耳元でボソっと何か言って、面白いことを残して行っちゃうんです(笑)。残された私たちは笑ってしまうじゃないですか。そうすると「なんであいつら笑ってんだ?」みたいになって。

青柳:そう、そう!監督、そういうところありますよね(笑)。

行平:監督は自分が落としていった爆弾に気づかないタイプの方なんです。大切なことを伝えてくださることが主なんですけど、そこにボソっとちょっと面白いことを入れるといいますか。切羽詰まっていたとしても、それで場が和んでいく感じなんです。

青柳:うん。なんか、本当にぼそっと一言残していきますよね。

行平:聞こえるか、聞こえないかだから、お互い「今、何か言ったよね…?」から始まるんですよね。

青柳:「思い切ってやってください」とか言った後に「●△×?…」(※と何かを言い去っていく城定監督の物まね)。

行平:(笑)!本当にこんな感じでした!

――長く愛されている作品ですが、どこが本シリーズファンの皆さんに刺さっている、またお二人にとっての魅力となっている部分でしょうか?

行平:抄子を通して、自分の中の感情がちょっとずつ引き出されるところが、たぶん観ている方にもあると思うんです。「もしかして、この人が私の一樹だったのかも…」と思うような人がきっとどこかにいて、自分の恋心をくすぐってくれる瞬間がこの作品にはたぶんいっぱいあると感じています。

だからこそ(原作の湊よりこ)先生も書かれていましたけど、20歳でわからなかったことが30代、40代、50代になり、自分の人生がステップアップしていくごとにいっぱいわかるピースがこの作品にはいっぱい散らばっていると思うんです。全年齢、共感できる部分や憧れる部分、ちょっと後悔している部分まであるので、自分の人生をちょっとだけ重ねることができるのが、この作品が愛されている理由なんじゃないかなと思います。

青柳:僕も…行平さんが言ったことと同じことが魅力だと思っています。

行平:ちょっと!横取り禁止ですよ(笑)!

青柳:20代ではわからなかったことが…。

行平:同じことです、禁止ですよ(笑)。

青柳:(笑)。魅力というか気づきのような話になりますけど、なんか…「セフレ」という言葉が、そもそもものすごく軽い言葉というか、そのワードだけを聞くと批判されがちかなと思うんです。けれど、それきっかけでもちろん幸せになる人もいるし、もしかしたら傷つく人もいるかもしれない。最初から排除するわけではなく、自分も決めつけてかからないようにしようかなと、そんな風に思えるきっかけになる作品かなと思っています。

あとは今回の2作だと、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、最後がすごく素敵だなと思っています。それぞれの未来を描きかけている、というのが想像を膨らませるので、観ていて惹かれるポイントかなと思います。

――今のお二人のお話にあった「20代でわからなかったことが30~50代でわかる」こと、ご自身の経験と照らし合わせて、思い当たることはありますか?

行平:あの…めっちゃくだらないことでもいいですか?好きだったアニメがリバイバルで作られたときに、声優さんが変わっても「何でだよ!?」と思わなくなりました。その良さを享受できるようになりました。…って、こういう話じゃないですよね(笑)?

青柳:いや、俺よりは合っていますよね。

――青柳さん、まだ何もおっしゃっていないですよね。

青柳:はは(笑)。

行平:今のは軽い例でしたけど、そうした心にあった「こうじゃなきゃ嫌だ」ということが減ってきました。キャパが少し広くなったと言いますか。真面目一辺倒はつまんない、と思うんですよね。ふり幅があって、ほかの人の意見を嫌でも1回聞くという。「私は私であるけれど、あなたの意見も尊重します」という姿勢は、少なくとも私が10~20代の頃はできずにいて、自分がなくなっちゃうパターンや全部合わせちゃうパターンばかりでした。その折衷案が取れるようになったこと、人との関わり方のときに自分を見失わないことは、30代からだいぶ変わりました。

青柳:僕は…自分の意見をあまり強要しなくなりました。こうしたほうがいいよ、みたいなことがだいぶ減りましたし、何より「でも」が減ったかなあ。今でもたまに言ってしまうけど、だいぶ減ったと思います。

――もともと「でも」を言ったり、強要する性格だったんですか?

青柳:いやあ…そこまですごく強要とかではないと思うんですけど。例えば、自分の中で素敵ないいお芝居みたいなものがあったんですけど、違うのを見ても受け入れやすくなったとか。「でも」の話で言うと、喘息があるのにタバコ吸っているとか。「やめたほうがいいですよ」、「でも…」みたいな。現場にいるときは吸いたいから…。

行平:今、やめているんですか?

青柳:いや、やめてない(即答)。

行平:今、やめているやつを言うターンでしょ(笑)。

青柳:やめてる、と言いたいんですけどやめてないんです。「でも」です(笑)。

――抄子と一樹はセフレに端を発し、紆余曲折ありカップルとなりました。今の世の中には、結婚という形を取らなかったり、セフレにとどまっていたりなど、様々な形があるかと思います。お二人があこがれる恋やカップルの形とはどのようなものですか?本作を経て気持ちに変化はありましたか?

行平:私は「家で爆笑できるレベルのサメ映画を観て、観終わったらコンビニにアイスを買いに行って帰る恋愛がしたい」と、10年ぐらいずーーっと言い続けていたんです。それがこの作品に出会ったことで、やっと変わりました。そんな大学生みたいなことをいつまでも言っていちゃダメだと思って、ようやく「やっぱり生活だ」と認識を改めました。抄子と一樹は「生活」をしているじゃないですか。餃子のシーンとかがわかりやすいんですけど、ああいう積み重ねがあって、生活の中にもイベントごとじゃなくなっている。それを目指す恋愛がしたいです。

あと、抄子はかわいらしい女性だと思うんですね。同性から見ても純粋ですし。そういう純粋な面を持ちつつも、ちゃんと積み重ねられる恋愛のほうが、やっぱりいいなあ、憧れに近いなと思いました。

――抄子を演じた行平さんが、抄子に影響を受けて変わりたいと思ったと。

行平:私、本当に一度も結婚したいと思ったことがない人生なんです。だから結婚について考えたことも、本当になくて。でも今回、作品を通して初めて真剣に向き合ったので、いろいろ考え方が変わりました。周りもちょうど結婚していったり、子供が生まれたりする時期だったのもあり、考えるタイミングにちょうど合っている作品でした。だいぶ柔軟になったと思います。視野が広がった感じで「こう!」というのがなくなりました。先ほどの20代ではわからなかったことのお話にも該当するかなと思います。

――おっしゃる通りですね。青柳さんはいかがですか?

青柳:あまり美化したくはないんですけど、親父とおふくろ、ですかね。少し前ですけど、年齢が70くらいになって、二人の関係性がより密になった感じがしたんです。たぶん親父はこれまで家でご飯を作ったことがなかったと思うけど、定年を過ぎて働いたのが終わった後に親父は自分のご飯を作って、別々で、みたいな。なんかちょっと逆転しているというか(笑)。今は亡くなったんですけど犬がいたので、その犬の朝の散歩だけは、毎日二人で行っていたんです。その年月の長さを…いろいろあったと思うんですけど、それを超えて二人が毎朝日課にする散歩がちょっと笑っちゃって、いいなあと思いました。

――最後に、抄子が行平さんで、一樹が青柳さんでよかったと感じた点をぜひお聞かせください。

行平:私は一樹が青柳さんでよかったと、ずっと思っています。原作の一樹は、行平としては、「とっつきにくいよな、かっこいいけどねぇ…」と斜に構えた感想を持っていたんです(笑)。でも、いざ自分が抄子で青柳さんが一樹になると、青柳さんの一樹は落ち着いていて、地に足がついていて、とても頼れる感じがありました。青柳さんは、現場でまったく動じないんです。その落ち着きに助けられる部分が、本当に多くありました。撮影はいつもせわしなく撮っているので、全部が全部スムーズにいく撮影なんてない中、青柳さんは「凪」の状態でいてくれて。何度も助けられました。

青柳:ありがとうございます。「凪」。僕も現場が終わった後もこうして楽しくお話できたり、「この作品、良かったな」と思えるのは、ほかの共演者の皆さんもそうですが、相手役が行平さんだったからだと思っています。僕こそ、すごく支えられました。

――行平さんは青柳さんを「凪」と表現されましたが、青柳さんが行平さんを表現するなら何ですか?

青柳:うん。より「凪」です。

行平:ええっ、本当ですか?

青柳:はい。全然落ち着いているように感じました。

行平:じゃあ、よかったです。お互い「凪」ということで(笑)。

映画『セフレの品格 慟哭/終恋』予告編【R15+】

『セフレの品格 慟哭/終恋』公式サイト

《text:赤山恭子/photo:You Ishii》

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